秋のアレルゲン 秋になると鼻・咳の症状がでたり悪くなることはありませんか?

秋のアレルゲンに注意!

鼻水や咳が出ると「風邪かな?」と思うことが多いですが、秋に症状が現れやすいアレルギーかも知れません。秋は、身近な植物の花粉や屋内のアレルギー原因物質(アレルゲン)が増加する時期で、アレルギーの原因が分かりにくい時期でもあります。

アレルゲン量が増えると、普段はでないアレルギー症状が発現したり、アレルギー症状が悪化することが知られています 1)

アレルゲンカレンダー

アレルゲンカレンダー

植生および時期は地域により若干異なります

秋にもある花粉症

花粉症といえば、春のスギ花粉症がよく知られていますが、秋にも花粉症の原因となる花粉(ブタクサやヨモギ)が飛散しています。これらの植物は道路わきなどに生育し、身近な場所で花粉を飛散させます。ヨモギやブタクサ花粉症の人は、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)を合併することがあります2)

ブタクサの特長
ヨモギの特徴

秋から冬はスギ花粉の狂い咲きにも注意!

通常スギの雄花は、6月から10月にかけて形成され、11月上旬に花粉が熟成し雄花は休眠に入ります。そして冬の低温によってスギ雄花の休眠は徐々に目を覚まし花粉を飛ばす準備を開始します。しかし、秋の気温が異常に高かった場合、狂い咲きと呼ばれる季節外れの開花現象が生じることがあります3)。年によっては11月を中心に10月~12月にかけてもわずかなスギ花粉が観測されています2)。敏感な方は秋から冬にも症状が出るかもしれません。

 

秋に注意が必要な屋内アレルゲンはさまざまです

特に注意が必要なアレルゲンはダニアレルゲンです。

ほかにもカビや昆虫(ガやゴキブリなど)も秋に増加するアレルゲンとして注意が必要です。

ダニ

ダニは屋内で注意が必要な原因アレルゲンでアレルギー性鼻炎やぜん息の増悪因子のひとつです3,4)
ダニのフンや死骸がアレルゲンになります。
ダニは高温多湿の環境で増殖するため夏に増えた虫体からでたフンや死骸がアレルゲンとなりダニアレルゲン量が夏から秋にかけて増加します(図)。
そのため、ダニアレルギーの人は秋に症状が増悪すると言われております。ダニ対策が重要となります。

また、ダニが繁殖しやすいのは、寝具ですので年間を通してダニ対策が重要となります。

アレルゲン量の季節変化のグラフ

株式会社ペストマネジメントラボ 高岡正敏先生調査

図 ある家庭の床面にいるチリダニの数とダニアレルゲン量の季節変化
 

カビ(真菌)

カビは湿気の多い浴室や台所、押入れ、靴箱などに発生します。環境中のカビの胞子には季節変動があり梅雨時期と秋に増加します5)。カビはぜん息を悪化させることが多く、発生しないように対策することが重要です。

昆虫(ガ・ゴキブリ)

屋内外で発生するガのアレルゲン量は、春から秋にかけて(特に秋に多い)みられ6,7)、幼虫のフンや成虫の 鱗粉 (リンプン) 、死骸が原因となります。

 屋内では、ウールなどの動物性繊維を使用した衣類などに発生するイガ(衣蛾)、穀類、お菓子、ペットフードなど食品に発生するメイガが見られます。

 ゴキブリは、特に夏に多く見られ、フンや死骸がアレルゲンとなります。

ペット(イヌ、ネコ)

ペット由来のアレルゲン(イヌおよびネコのフケ)は、飼育している家庭の中だけでなく、飼育してない家でも検出されます8)。これは、ペットを飼育している人の訪問またはペットを飼育している家に訪問することで、衣類などに付着したペットのフケが持ち込まれることによります9)。また、学校などの公共施設でも同様の理由でペットのアレルゲンが持ち込まれます9)ので飼育していなくても注意が必要です。

セルフケアのポイント

アレルギーでは原因アレルゲンを除去・回避し、症状を悪化させないことが大切です。原因を知ることにより日常生活のちょっとしたセルフケアで悪化や重症化を回避することもできます。症状の原因となるアレルゲンは医療機関で調べることができます。

アレルゲンへのセルフケアの早見表

アレルゲンの生息場所

家の中にも原因はさまざまです1-8)
アレルゲンと生息場所の早見表
注 : 室内でペットを飼っている家庭では、ペットが出入りする箇所は全てに分布します。上記では主にアレルゲンが停滞しやすい場所を記載しております。
参考 1)アレルギー免疫20(3),418-425,2013 2)アレルギーの臨床22(9),675-679,2002 3)アレルギーの臨床22(9),692-696,2002 4)アレルギー免疫7(4),448-458,2000 5)日小ア会誌24(2),203-216,2010 6)耳喉頭頸62(4),297-303,1990 7)アレルギー56(3,4),145,2007 8)アレルギー・免疫7(4),468-473,2000

アレルギーかも?と思ったら医師に相談しましょう。

日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

1) アレルギー免疫21,10,2014
2) 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症-2020年版(改訂第9版).ライフ・サイエンス.2020;26,102.
3) アレルギー53,1187-1994,2004
4) アレルギー免疫21,10,2014
5) アレルギー54,531-5,2005
6) アレルギー・免疫17(4),448-458,2000
7) J Allergy Clin Immunol 79,857-866,1987
8) J Allergy Clin Imunol 102,143-144,1998
9) アレルギー・免疫 20 (3),418- 425,2013

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