秋のアレルギー 鼻水や咳の症状、花粉症やハウスダストに注意

秋のアレルギー

秋は花粉症やハウスダストに注意

アレルギーの症状と風邪の症状は似ており、秋に鼻水や咳が出ると、アレルギーでも「風邪かな?」と間違えやすいです。

屋外で鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状が続くようであれば、秋の​花粉が原因かもしれません。また秋は、屋内でハウスダストなどさまざまアレルギーの原因物質が増加する季節です。「アレルギーかな?」と思ったら、秋の花粉やハウスダストなど、何が原因かをアレルギー検査で調べることができます。アレルギーかも?と思ったら医師に相談しましょう。

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秋の花粉症

秋の花粉症は、空き地や道端、河川敷など身近で見られるブタクサやヨモギ、カナムグラなどの雑草の花粉が原因となり、8月~11月に花粉を飛散します。

秋の花粉は、春の樹木花粉と比べて花粉の飛散距離が数十メートルと短いため、原因の雑草を知ることで近づかないなどの対策が可能となります1)

秋の花粉症の主な症状

花粉症の症状は、繰り返すくしゃみや鼻づまり、水のような鼻水、目のかゆみ・赤くなるなど目や鼻を中心に出るのが特徴です。

鼻:くしゃみ、さらっとして水のような透明な鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ

目:目のかゆみ、ごろごろする(異物感)、目やにが出る、目が赤くなる

秋の花粉症の原因 -秋はブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉に注意

秋の花粉症の原因となる植物は、道端や空き地、河川敷など身近な場所で見られます。

夏から秋にかけてブタクサやヨモギ、カナムグラ花粉が飛散し花粉症の原因となることが報告されています2)。セイタカアワダチソウ(セイタカアキノキリンソウ)は、昆虫が花粉を運ぶ虫媒花のため花粉の空中飛散数は少量3)ですが、大量に吸い込むことでアレルギー症状を起こすことがあります4)。ヨモギやブタクサ花粉症の人は、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)を合併することがあります。

ブタクサ
ヨモギ
カナムグラ
セイタカアワダチソウ

秋の花粉、注意が必要な時期はいつ

秋の花粉は、特に8月~10月まで注意が必要です。

花粉カレンダー

花粉アレルゲンカレンダー

植生および時期は地域により若干異なります

秋から冬のスギ花粉の狂い咲き

通常スギの雄花は、6月から10月にかけて形成され、11月上旬に花粉が熟成し雄花は休眠に入ります。そして冬の低温によってスギ雄花の休眠は徐々に目を覚まし花粉を飛ばす準備を開始します。しかし、秋の気温が異常に高かった場合、狂い咲きと呼ばれる季節外れの開花現象が生じることがあります5)。年によっては11月を中心に10月~12月にかけてもわずかなスギ花粉が観測されています2)。敏感な方は秋から冬にも症状が出るかもしれません。

子どもの花粉症、しぐさや症状に注意!

子どもは自分で症状を訴えられない場合もあり、花粉症が見過ごされやすいです。このようなしぐさや症状は花粉症に関連しているかもしれません6)。​

近年では花粉症の低年齢化が進んでおり、2019年の鼻アレルギーの全国疫学調査では 5-9歳のスギ花粉症有病率は、2008年と比較し倍以上に増加、最も多い年代は10歳代で49.5%の有病率と報告されています2)。症状をうまく伝えることが難しい子供のしぐさは花粉症のサインかもしれません。気になることがあれば医師へ相談しましょう。

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目や鼻をこするしぐさ、瞬きが増える、鼻をすする、鼻出血、くしゃみ、水性の鼻水、いびき、口呼吸

目や鼻をこするしぐさ、瞬きが増える、鼻をすする、鼻出血、くしゃみ、水性の鼻水、いびき、口呼吸

花粉症の人にみられる食物アレルギー 花粉-食物アレルギー症候群にも注意 

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS:pollen-food allergy syndrome)は、花粉症に合併する食物アレルギーで、果物や野菜を食べた後に口・唇・のどなどにイガイガ感やかゆみ、腫れがみられ口腔アレルギー症候群(OAS:oral allergy syndrome)とも呼ばれます。ハンノキやシラカンバ花粉ではリンゴやモモ、大豆(豆乳)などの食物で症状を起こすことがあります。関連する食物は医師の診断を受けたうえで適切な方法で避け、原因となる花粉対策をすることが重要です。

花粉-食物アレルギー症候群の主な症状7) 

特定の野菜や果物を摂取した直後~1時間以内に、口の中がかゆくなったり、のどがイガイガして腫れたりすることが多く、息苦しくなったりするなどの症状が現れることもあります。

口のかゆみ、くちびるや舌など口周りの腫れ

のどのイガイガ(チクチク)やかゆみ、腫れ

花粉症の人が気をつけたい時期と主な食物
花粉症の人が気をつけたい時期と主な食物

気になる症状があればアレルギーチェックしてみよう

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ハウスダストアレルギー

秋のアレルギーはハウスダストにも注意!

ハウスダストとは屋内にたまるホコリ(室内塵)のことです。ハウスダスト中には主にダニ、ガ、ゴキブリ、カビ、ペットのフケなどが含まれ、秋にアレルゲン量が増加します。ハウスダストはアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎だけでなく、ぜん息やアトピー性皮膚炎を引き起こしたり悪化させる原因となります。

ハウスダストによる主なアレルギー症状

ハウスダストに含まれるダニや昆虫、カビ、ペットのフケなどのアレルゲン物質が鼻や目、のど、皮膚などに接触したり吸い込んだりすることにより症状が現れます。

主な症状

鼻:くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ

目:目のかゆみ、ごろごろする(異物感)、目やにが出る、目が赤くなる

呼吸器:ゼーゼー、ヒューヒューして息苦しい、咳がつづく

皮膚:湿疹が悪化する

ハウスダストアレルギーの原因

ダニ:屋内でもっとも主要なアレルゲンです。高温多湿の環境で増殖するため夏に増えたダニのアレルゲン量が夏から秋にかけて増加します。主に寝具、じゅうたん、ぬいぐるみなどに生息しています。

ゴキブリ:夏に繁殖し虫体のフンや死骸が秋に増加しアレルギーの原因となります。水回りなどに生息しています。

ガ:樹木や街灯などの屋外だけでなく屋内で穀類や菓子類、衣服に発生する種類がいます。主に蛾の翅についている鱗粉(リンプン)がアレルギーの原因となります。

カビ(真菌) 湿気の多い浴室や台所、結露した壁などに発生するカビや、靴箱や押し入れなど比較的乾燥した場所に発生するカビなど、生活環境にみるカビは湿度状態により異なります8)。カビアレルゲンは梅雨時期と秋に増加します8)

ペット(イヌ・ネコ):主にフケがアレルギーの原因となります。飼育していなくても、飼育者の衣服などに付いて公共の場に持ち込まれて症状を起こすことがあります。

花粉症やハウスダストの対策 - うまく付き合うためには原因の診断が重要 

治療の基本は薬物療法とアレルギーの原因(アレルゲン)の除去、可能な限り避ける生活をすることです。処方された薬物を毎日、定期的に(用法・用量を守って)使用しながら、原因となるアレルゲンがどの季節、どんな場所に存在しているかを知り、できる限りアレルゲンを体に入れないように過ごす環境づくりを心がけましょう。

症状の原因となるアレルゲンは血液検査で調べることができます。アレルギーの原因や診断は、検査結果をもとに医師が総合的に判断します。

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原因の診断は悪化や重症化を回避するセルフケアに繋がります
セルフケアのポイント

アレルゲン免疫療法について2)

アレルゲン免疫療法は、以前は減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因となっているアレルゲンエキスを注射(皮下免疫療法)や舌下(舌下免疫療法)から身体に入れていく方法です。アレルゲンに対する反応を弱めていく方法ですので、長い期間(3~5年が推奨)の治療が必要ですが、治療の中で唯一アレルギーを治すことができるかもしれません。​ダニが原因によるアレルギー性鼻炎の場合は時期に関わらず治療は始められます。治療開始時期や原因の確定診断については、医師とご相談ください。

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ダニ
動物
昆虫
カビ(真菌)
花粉症

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1)竹内裕美 ほか.アレルギー・免疫.2006;13(9):1254-1257.
2)鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症-2020年版(改訂第9版).ライフ・サイエンス.
3)アレルギーの臨床.1989;9(2):139-145.
4)花粉アレルギーと高原植物-セイタカアワダチソウの謎を追う.黎明書房.1975
5)アレルギー53,1187-1994,2004
6)耳鼻免疫アレルギー(JJIAO)37(1):17-20,2019
7)日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン月2021年.協和企画.2021;204-208.
8)高鳥浩介.生活環境中の真菌とその生態.アレルギー.2005;54:531-535.

監修医の紹介

本ウェブサイトの監修医のご紹介、ご担当ページの詳細はこちら

日本医科大学多摩永山病院 
准教授・部長 
後藤穣  先生

1991年日本医科大学医学部卒業。2004年より日本医科大学耳鼻咽喉科学講師、2011年日本医科大学耳鼻咽喉科学准教授、2014年日本医科大学多摩永山病院病院教授、2018年日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科学准教授、2022年より日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科学准教授。日本アレルギー学会常務理事・指導医、日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医、日本鼻科学会代議員・鼻科手術暫定指導医就任。

2023年7月時点