ガ(蛾)やゴキブリ、ユスリカなどの昆虫がぜん息やアレルギー性鼻炎の原因アレルゲン、増悪因子のひとつであることが報告されています1)-3)。
ガは、屋内では穀類やお菓子、ペットフードなどの食品に発生するメイガ、ウールなどの動物性繊維を使用した衣類に発生するイガ(衣蛾)が見られます。
ガは、幼虫のフンや成虫の 鱗粉(リンプン)、粉砕され微細化した死骸がアレルギーの原因となります。ガは、春から秋にかけて(特に秋に多く)屋内外でみられます4),5)。
ゴキブリは、特に夏に多く見られ、フンや死骸がアレルギーの原因となります。
ユスリカは、1年を通して発生しますが、成虫の発生のピークは初夏から秋にかけてです。
死骸がアレルギーの原因となります。
ノシメマダラメイガ(食品害虫)
穀類、乾燥果実、お菓子やペットフードなど、食品を害する食品害虫です。成虫の大きさは6~9㎜です。
写真提供:武藤敦彦
衣蛾-イガ(衣類害虫)
ウールなどの動物繊維を使用した衣類や布団に発生する衣類害虫です。成虫の大きさは4~6㎜です。
写真提供:東奥日報社
セスジユスリカ
河川や溜池、湖沼に生息します。蚊に似ていますが、吸血せず光(灯り)に誘引されます。
治療の基本は薬物療法とアレルギーの原因(アレルゲン)の除去、可能な限り避ける生活をすることです。処方された薬物を毎日、定期的に(用法・用量を守って)使用しながら、原因となるアレルゲンがどの季節、どんな場所に存在しているかを知り、できる限りアレルゲンを体に入れないように過ごす環境づくりを心がけましょう。
症状の原因となるアレルゲンは血液検査で調べることができます。アレルギーの原因や診断は、検査結果をもとに医師が総合的に判断します。
昆虫(ガ、ゴキブリ、ユスリカ):セルフケアのポイント
ガ
ゴキブリ
ユスリカ
ガ(幼虫):光を嫌い暗い場所で活動します。衣類を食べる(衣類の虫食い)のは、主に衣類害虫であるイガの幼虫です。
ガ(成虫):夜行性で室内を飛びます。そのため屋内にいるガは目にする機会が少ないです。
ゴキブリ:昼間は暗くて狭い所に潜み、夜間に活動するので目にする機会が少ないです。気温が25度以上になると活動が活発になります。
ユスリカ:用水路や側溝などの水域に発生します。
植生および時期は地域により若干異なります
ガ:春から秋、特に秋
ゴキブリ:一年中、特に夏
ユスリカ:一年中、特に初夏から秋
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アレルギーかも?と思ったら医師に相談しましょう。
日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。
1)足立満ほか.成人気管支喘息における感作アレルゲンの全国調査アレルギー・免疫.2006;13(4):548-554.
2)奥田稔ほか.アレルギー性鼻炎における昆虫アレルギーの全国調査.日耳鼻.2002;105:1181-1188.
3)一般社団法人日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会監修.喘息予防・管理ガイドライン2018.協和企画. 2018;47.
4)武藤敦彦.汚染源としての昆虫.アレルギー・免疫.2000;17(4):448-458.
5)T.KINO et al:J Allergy Clin Immunol.1987;79,857-866.
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日本医科大学多摩永山病院
准教授・部長
後藤穣 先生
1991年日本医科大学医学部卒業。2004年より日本医科大学耳鼻咽喉科学講師、2011年日本医科大学耳鼻咽喉科学准教授、2014年日本医科大学多摩永山病院病院教授、2018年日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科学准教授、2022年より日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科学准教授。日本アレルギー学会常務理事・指導医、日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医、日本鼻科学会代議員・鼻科手術暫定指導医就任。
2023年7月時点