ダニ、ハウスダストアレルギー

ダニ、ハウスダストアレルギー

屋内にたまるホコリのことをハウスダストといい、ダニはハウスダストに含まれる主要アレルゲン(アレルギーの原因物質)で、そのフンや死骸がアレルギー性鼻炎やぜん息、アトピー性皮膚炎を引き起こしたり悪化させる原因となります1),2)

ダニは虫体からでたフンや死骸がアレルゲンとなり、高温多湿の環境で増殖するため、夏に増えたダニのアレルゲン量が夏から秋にかけて増加します(図)。

そのため、ダニアレルギーの人は秋に症状が増悪すると言われています。

また、ダニが繁殖しやすい寝具は、年間を通して対策をすることが重要です。

アレルゲン量の季節変化のグラフ

株式会社ペストマネジメントラボ 高岡正敏先生調査

図 ある家庭の床面にいるチリダニの数とダニアレルゲン量の季節変化
 
アレルギーの原因となる主なダニ

家塵ダニ:ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ

貯蔵庫ダニ:サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ、アシブトコナダニ

ダニ・ハウスダストアレルギーの主な症状

ダニアレルギーはアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎だけでなく、ぜん息やアトピー性皮膚炎を引き起こしたり悪化させる原因となります。

鼻:くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ

目:目のかゆみ、ごろごろする(異物感)、目やにが出る、目が赤くなる

呼吸器:ゼーゼー、ヒューヒューして息苦しい、咳がつづく

皮膚:湿疹が悪化する

ダニ・ハウスダストアレルギーとうまく付き合うためには原因の診断が重要です

治療の基本は薬物療法とアレルギーの原因(アレルゲン)の除去、可能な限り避ける生活をすることです。処方された薬物を毎日、定期的に(用法・用量を守って)使用しながら、原因となるアレルゲンがどの季節、どんな場所に存在しているかを知り、できる限りアレルゲンを体に入れないように過ごす環境づくりを心がけましょう。

症状の原因となるアレルゲンは血液検査で調べることができます。アレルギーの原因や診断は、検査結果をもとに医師が総合的に判断します。

  日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

原因の診断は悪化や重症化を回避するセルフケアに繋がります

ダニ:セルフケアのポイント

  •   寝具のカバーは定期的に洗濯する
  •   寝具は干した後、掃除機がけをする
  •   床は1㎡あたり20秒以上ゆっくりと掃除機がけする
  •   カーペット類は避ける
  •   ソファーやオモチャ類は布製を避ける

アレルゲン免疫療法について3)

アレルゲン免疫療法は、以前は減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因となっているアレルゲンエキスを注射(皮下免疫療法)や舌下(舌下免疫療法)から身体に入れていく方法です。アレルゲンに対する反応を弱めていく方法ですので、長い期間(3~5年が推奨)の治療が必要ですが、治療の中で唯一アレルギーを治すことができるかもしれません。​ダニが原因によるアレルギー性鼻炎の場合は時期に関わらず治療は始められます。原因の確定診断や治療開始時期については、医師とご相談ください。

気になる症状があればアレルギーチェックしてみよう

  あなたのアレルギー症状をチェック

  日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

家の中にも原因はさまざまです1-8)
アレルゲンと生息場所の早見表
注 : 室内でペットを飼っている家庭では、ペットが出入りする箇所はすべてに分布します。上記では主にアレルゲンが停滞しやすい場所を記載しております。
参考 1)アレルギー免疫20(3),418-425,2013 2)アレルギーの臨床22(9),675-679,2002 3)アレルギーの臨床22(9),692-696,2002 4)アレルギー免疫7(4),448-458,2000 5)日小ア会誌24(2),203-216,2010 6)耳喉頭頸62(4),297-303,1990 7)アレルギー56(3,4),145,2007 8)アレルギー・免疫7(4),468-473,2000
アレルゲンカレンダー
アレルゲンカレンダー

植生および時期は地域により若干異なります

一年中、特に夏から秋に注意が必要です

パンケーキ症候群

小麦粉やお好み焼き、ホットケーキミックスなどの粉製品は、開封後の保存方法が適切ではない場合、ダニが大量に繁殖することがあります。ダニが繁殖した粉製品で作られたお好み焼きなどを食べた時に、粉に含まれたダニが原因でアレルギー症状を起こすことが報告されています4)5)。お好み焼きやホットケーキミックスなどの粉製品は開封した後は、早めに食べる、保存する場合は密閉した容器へ入れて冷蔵保存が好ましいです。

アレルギーの受診と検査について詳しくはこちら

アレルギーかも?と思ったら医師に相談しましょう。

日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

1)一般社団法人アレルギー学会.東田有智監修.アレルギー総合ガイドライン2019.協和企画.2019;7
2)一般社団法人日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会監修.喘息予防・管理ガイドライン2018.協和企画. 2018;47.
3)鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版).ライフ・サイエンス.
4)日本アレルギー秋季学術大会.2013;O4-7
5) 原敦子ほか.お好み焼き粉に混入したダニが原因と考えられたアナフィラキシーの1 例.アレルギー.2006;55(5),574-577

監修医の紹介

本ウェブサイトの監修医のご紹介、ご担当ページの詳細はこちら

日本医科大学多摩永山病院 
准教授・部長 
後藤穣  先生

1991年日本医科大学医学部卒業。2004年より日本医科大学耳鼻咽喉科学講師、2011年日本医科大学耳鼻咽喉科学准教授、2014年日本医科大学多摩永山病院病院教授、2018年日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科学准教授、2022年より日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科学准教授。日本アレルギー学会常務理事・指導医、日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医、日本鼻科学会代議員・鼻科手術暫定指導医就任。

2023年7月時点