花粉症

花粉症

花粉症は、空気中に浮遊する花粉を吸い込み、鼻や目の粘膜から体内に入ることによって起こるアレルギー反応です。毎年同じ季節に起こることから「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれています。

アレルギー性鼻炎には、「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」のほかに、ダニなどのハウスダストが主な原因となり、年間通して起こる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。

花粉症の主な症状

花粉症の症状は、繰り返すくしゃみや鼻づまり、水のような鼻水、目のかゆみ・赤くなるなど目や鼻を中心に出るのが特徴です。

鼻:くしゃみ、さらっとして水のような透明な鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ

目:目のかゆみ、ごろごろする(異物感)、目やにが出る、目が赤くなるなど

花粉症の原因花粉

春はスギやヒノキ花粉、ブナ目カバノキ科のハンノキやシラカンバ花粉、4月頃から夏を中心に秋にかけてイネ科のカモガヤやハルガヤ花粉、秋ではキク科のブタクサやヨモギの花粉など、一年を通して花粉症の原因となる花粉が飛散しています。

花粉カレンダー
アレルゲンカレンダー

植生や地域によって飛散時期は若干異なります。

花粉カレンダー(北海道版)
北海道アレルゲンカレンダー

*  北海道札幌市花粉カレンダー 北海道立衛生研究所http://www.iph.pref.hokkaido.jp/ より

春の花粉症の原因となる花粉

春の花粉症の原因となる花粉は、スギ、ヒノキ、シラカンバ、オオバヤシャブシなどの樹木花粉、カモガヤやハルガヤなどイネ科の花粉です。

スギ
ヒノキ
ハンノキ
シラカンバ
オオバヤシャブシ
カモガヤ カモガヤ

スギ、ヒノキは、春に飛散する代表的な花粉です。東北から九州地方で見られます。スギとヒノキ花粉は、アレルゲンとなるタンパク質の構造が似ているため、スギ花粉症の人の多くはヒノキ花粉でもアレルギー症状が出ることにより結果的に症状が長引きます1)

ハンノキ、シラカンバ、オオバヤシャブシなどのカバノキ科花粉は、春の花粉症の原因となります2)

ハンノキは全国に自生し、シラカンバは北海道や長野で見られ、オオバヤシャブシは関西地方で見られます。ハンノキやシラカンバ、オオバヤシャブシなどのカバノキ科花粉症の人は、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)を合併することがあります2)

夏の花粉症の原因となる植物花粉

夏の花粉症の原因となる植物は、カモガヤやオオアワガエリ、ハルガヤなどの花粉で4月頃から夏を中心に秋まで注意が必要な植物です。

カモガヤ
ハルガヤ
オオアワガエリ
ギョウギシバ

カモガヤやハルガヤなどのイネ科植物の花粉は4月頃から夏を中心に秋にかけて花粉が飛散し花粉症の原因のひとつであることが報告されています2)

河川敷や空き地・道端と、広く身近な場所に自生しています。お子さんが校外学習や遠足に行ったときに症状が出る、大人ではゴルフ場で症状が出るようなときはイネ科花粉による症状が考えられます。花粉の飛散距離が数十メートルと短いため近づかないことで回避が可能です3)

カモガヤやオオアワガエリなどのイネ科花粉症の人は、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)を合併することがあります2)

  日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

秋の花粉症の原因となる植物花粉

秋の花粉症の原因となる植物は、ブタクサやヨモギ、カナムグラなどの花粉です。

ブタクサ
ヨモギ
カナムグラ
セイタカアワダチソウ

ヨモギやブタクサ、カナムグラは夏から秋にかけて花粉が飛散し花粉症の原因のひとつになることが報告されています2)

セイタカアワダチソウ(セイタカアキノキリンソウ)は、昆虫が花粉を運ぶ虫媒花のため花粉の空中飛散数は少量4)ですが大量に吸い込むことでアレルギー症状を起こすことがあります5)

ブタクサは河川敷や身近な道端に、ヨモギは身近な道端などの平地から高原に自生します。

花粉の飛散距離が数十メートルと短いため近づかないことで回避が可能です3)

ヨモギやブタクサ花粉症の人は、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)を合併することがあります2)

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日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。

1) 岡野光博.スギ花粉症ではなく,スギ・ヒノキ花粉症であることの意味.アレルギー・免疫.2014;21(1):27-36.
2) 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版).ライフ・サイエンス.
3) 竹内裕美 ほか.アレルギー・免疫.2006;13(9):1254-1257.
4) 油井康雄 ほか、アレルギーの臨床.1989;9(2):139-145.
5) 花粉アレルギーと高原植物-セイタカアワダチソウの謎を追う.黎明書房.1975

監修医の紹介

本ウェブサイトの監修医のご紹介、ご担当ページの詳細はこちら

日本医科大学多摩永山病院 
准教授・部長 
後藤穣  先生

1991年日本医科大学医学部卒業。2004年より日本医科大学耳鼻咽喉科学講師、2011年日本医科大学耳鼻咽喉科学准教授、2014年日本医科大学多摩永山病院病院教授、2018年日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科学准教授、2022年より日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科学准教授。日本アレルギー学会常務理事・指導医、日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医、日本鼻科学会代議員・鼻科手術暫定指導医就任。

2023年7月時点