食物アレルギーの治療では原因と特定された食物を除去することが基本になります。具体的な進め方は、自己判断で行うのではなく、除去するべき食品、摂取可能な食品や、その量、調理による工夫の検討など、医師や管理栄養士から適切な指導を受けましょう。また、定期的に受診して栄養がきちんと取れているか確認をしてもらいます。
牛乳アレルギーの人は代替食品の摂取など工夫することで、カルシウム不足を防ぐことが大切です。
下の表のように、加工食品の容器には、「アレルゲン」として特定原材料7品目が法律による義務として表記されています。そのほかの原材料は、特定原材料に準ずるものとして21品目が表示を推奨されています2)。 (2019 年9月現在)推奨の21品目は義務ではないため表示されていない場合もあります。特定原材料7品目以外のアレルゲンに関してきちんと知る場合には、製造・販売会社へ問い合わせが必要です。
また、過去に食べたことのある商品に関しても、加工食品は原材料が変更されることがあるため、購入するごとに表示を確認するとよいでしょう3)。
加工食品のアレルギー表示に関しての詳しい情報は、以下のホームページを参考にしてください。
消費者庁ホームページ 「アレルギー表示に関する情報 加工食品のアレルギー表示制度の徹底について」
お弁当やお惣菜などの対面販売や外食では、原材料のアレルゲン表示は義務ではありません2)。任意にアレルギー表示をしていても、法規定に則ったものではない点に気をつけてください。
家庭をはなれ保育所(園)幼稚園や学校生活でも安全な生活を続けるために、関係する周りの方にアレルギーを理解してもらい、協力をしてもらうことが大切です。
アレルギー疾患をもつ子どもたちは、保育所(園)、幼稚園や学校における給食や活動に影響があるためそれぞれの場で適切な対応が求められます。
学校でのアレルギー対応としては2008年に日本学校保健会から「学校のアレルギー疾患に対するガイドライン」が発行され(2019年度改定予定)、2011年には保育所(園)でのアレルギー対応として厚生労働省より「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が発行されています(2019年4月改定)。
アレルギー疾患と診断された園児が、保育所の生活において特別な配慮や管理が必要となった場合に保護者から申し出ると配布されます。保護者の方は、主治医などに必要事項を記入してもらい、これを保育所へ提出します。
アレルギー疾患を有し、かつ幼稚園、学校で特別な配慮が必要な場合に、保護者から申し出ると配布されます。
アレルギーをもつ子どもおよび保護者が学校側と対応について話し合うために医療機関から医療情報を提供してもらうことが主な目的で、入園、入学時、進級時に学校側から提出の案内があり保護者と対応について話し合う際の基本情報となります。幼稚園、学校では必要に応じて全ての教職員がこの情報を共有し、緊急時の対応や給食・運動に関する指導に活かします。
家庭では医師と相談しながら原因食物でも必要最小限の除去を行っていたとしても、給食(提供される食事、間食なども含む)では安全性を最優先とするため、食べるか食べないかの完全除去対応が原則です。
給食などのほかにも、旅行、行事の豆まき、調理実習や、工作で使用する小麦粘土、牛乳パックの回収作業などにも注意が必要です。
たとえば遊戯の時間に、小麦粉の入っていた大きい空き袋を再利用して制作し、残っていた粉からぜん息症状を起こすなど、いろいろな場面でもヒヤリとするアクシデントの可能性は潜んでいます6)。
災害時は、ライフラインが寸断され自治体などの備蓄食品を含めアレルギー対応食が手に入りにくい状況が予想されます。日本小児アレルギー学会発行の「災害時の子どものアレルギー疾患対策パンフレット」を参考に、日ごろより、もしものときのことを考えておきましょう。
アトピー性皮膚炎の治療は、1.薬物療法、2.スキンケア、3.悪化因子の検索と対策の3つを基本とし、症状の程度や背景などを見極めたうえで、それぞれの方法を適切に組み合わせて行います7)。
このように、症状をコントロールし上手く付き合っていくためには、しっかり炎症を抑えること、スキンケアを行って皮膚炎が現れたり、悪化したりするのを防き、それらの原因となる因子を知って除去回避することがポイントです。医師に相談し指示に従いましょう。
治療の基本は薬物療法とアレルゲンの除去、可能な限り避ける生活をすることです。処方された薬物を毎日、定期的に(用法・用量を守って)使用しながら、原因となるアレルゲンがどの季節、どんな場所に存在しているかを知り、できる限りアレルゲンを吸いこまないように過ごす環境づくりを心がけましょう。
植生および時期は地域により若干異なります
アレルギーでは原因アレルゲンの除去、可能な限り避ける生活をすることです。
原因を知ることにより日常生活のちょっとしたセルフケアで悪化や重症化を回避することもできます。症状の原因となるアレルゲンは医療機関で調べることができます。
アレルギーの受診と検査について詳しくはこちら
アレルギーかも?と思ったら医師に相談しましょう。
日本アレルギー学会運営サイトにて、全国の拠点病院やアレルギー専門医を検索できます。
1) 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》.協和企画.2018;111-119.
2) 消費者庁ホームページ(最終閲覧日:2019年09月24日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
3) 厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養指導の手引き2017.海老澤元宏研究(最終閲覧日2019年9月26日)
https://www.foodallergy.jp/wp-content/themes/foodallergy/pdf/nutritionalmanual2017.pdf
4) 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会・海老澤元宏・伊藤浩明・藤澤隆夫監修.食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》.協和企画.2018;164-172.
5) 海老澤元宏. 保育所(園)・学校における食物アレルギー対応.アレルギー2013.62(5);540-547.
6) 独立行政法人 環境再生保全機構. ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー 対応ハンドブック;67.
7) アレルギー総合ガイドライン2019;305-306.
本ウェブサイトの監修医のご紹介、ご担当ページの詳細はこちら
独立行政法人国立病院機構 相模原病院
臨床研究センター センター長
海老澤元宏先生
広島市立広島市民病院 病院長/
広島大学病院 特別顧問
秀道広 先生
アレルギーセンター長
中村陽一 先生
准教授・部長
後藤穣 先生