ジェネティックアナライザでフラグメント解析を行っている方の多くはApplied Biosystems™ GeneMapper™ソフトウエアを用いてデータを解析されているかと思います。
解析した際に、検証項目の一つであるSQ(Sizing Quality)がLow Qualityとなり、サンプルピークを確認できないことはないでしょうか?
これはサイズスタンダードを手動修正するだけで解決できるかもしれません。
そこで今回は、GeneMapperソフトウエアでのサイズスタンダードの設定変更方法について、ご紹介いたします。
▼こんな方におすすめです!
・GeneMapperソフトウエアでの解析にお困りの方
・フラグメント解析のトラブルシュートに興味をお持ちの方
SQ(Sizing Quality)とは?
フラグメント解析の場合、ジェネティックアナライザでランを行う前に、蛍光標識したサンプルとサイズスタンダードを混ぜます。
サイズスタンダードには、蛍光標識された既知の長さの断片が複数含まれています。
例えば、Applied Biosystems™ GeneScan™ 600 LIZ™ dye Size Standard v2.0には、LIZで標識された20bp~600bpの計36本の断片が含まれています。
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ランデータを用いたGeneMapperソフトウエアでの解析時には、これらのサイズスタンダードの情報を利用して検量線が作成されます。この検量線を用いて各サンプルピークのサイズ値が算出されます(サイジング)。
SQ(Sizing Quality)は定義されているサイズスタンダードのピークパターンとランデータのサイズスタンダードのピークパターンの類似性に基づいて計算されます。SQが「Pass」はなく、「Check」や「Low Quality」の場合、サイジング精度が低下したり、サイジングが行われなかったりすることがあります。
SQが「Check」や「Low Quality」となる原因は?
サイズスタンダードの「ピークが存在しない」もしくはサイズスタンダードが「正確に認識されていない」場合、SQが「Check」や「Low Quality」となります。
この原因としては主に下記が挙げられます。
- プライマーピークなどのサンプルピークのプルアップピークが影響している
→ サイズスタンダードの定義を変更するか、後述の手動修正で解決できます。 - サイズスタンダードのピークが無い、または低すぎる
→ サンプルの希釈倍率を改め、再度ランを行います。 - サイズスタンダードピークのうち、サイズの大きなピークが存在しない
→ 消耗品交換など装置のメンテナンスを行い、再度ランを行います。
サイズスタンダードの手動修正
下記手順にてサイズスタンダードの手動修正が行えます。
※手動修正の場合、検量線の精度が高くない場合がありますのでご了承ください。
1.該当のサンプルを選択
2.Size Match Editorアイコンをクリック(Analysis > Size Match Editor)
3.右枠のSize Matchesタブにて、誤って読み取られたピークを選択
4.右クリックし、Deleteをクリック
5.正しいピークを選択
6.右クリックし、Addをクリック
7.該当のサイズをダブルクリック
8.複数ある場合、3~7の操作を繰り返します
9.OKをクリックし、修正内容を保存
10.Analyzeをクリックし、修正した内容で再解析を実施
まとめ
- SQはGeneMapperソフトウエア解析時に確認すべき指標
- SQが「Pass」ではない場合は対処が必要
- サイズスタンダードの手動修正で解決できる可能性がある
関連情報
- 関連製品Webページ : フラグメント解析ワークフロー
- カタログ : キャピラリー電気泳動によるフラグメント解析
フラグメント解析アプリケーションガイド(日本語版)
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。