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Accelerating ScienceLearning at the Bench / その他 / バイオ医薬品の品質を守る!クリーンルーム適合CO2インキュベーターとはどんなものか?

バイオ医薬品の品質を守る!クリーンルーム適合CO2インキュベーターとはどんなものか?

Written by LatB Staff | Published: 05.08.2024

細胞・遺伝子治療および再生医療において、貴重な培養物の汚染防止の観点から、クリーンルーム環境の維持と管理は極めて重要です。2008年から2012年にかけて、粒子状物質は無菌注射剤の米国FDAリコールの22%を占め1、2009年から2019年ではリコール原因の第2位と報告されています2。微粒子の医薬品への混入は、意図しない免疫反応から肺塞栓症までさまざまなリスクを患者に引き起こす可能性があり、医薬品の調製や加工を行うクリーンルームの微粒子発生源を特定し管理することはcGMP製造担当者にとって向き合うべき課題の一つとなっています。

ここでは、GMP製造従事者が抱える課題と、第三者機関の厳密な試験によりISO Class 5およびGMP Grade A/Bクリーンルーム環境の適合認証を受けたThermo Scientific™ Forma™ Steri-Cycle™ CR CO2インキュベーターCTS™シリーズの特長について解説します。

▼こんな方におすすめ
・細胞加工施設(CPC)の従事者および管理者
・バイオ医薬品のプロセス開発担当者
・細胞加工施設の設計およびコンサルティングをされている方

▼もくじ

  • クリーンルームにおける微粒子の発生源
  • 第三者機関による厳密なクリーンルーム適合試験の実施
  • クリーンルーム適合CO2インキュベーターのその他の特長
  • まとめ
    • クリーンルーム対応CO2インキュベーター

クリーンルームにおける微粒子の発生源

クリーンルームの粒子状物質の大部分は、そこで働くスタッフに由来するものである一方で、推計15%はクリーンルーム内に設置した設備に由来するものと報告されています3。これらの粒子状物質は、塗装面、プラスチック、断熱材、包装材、ガラス、鋭利なエッジを持つ金属部品など、さまざまな構造材料から発生する可能性があります(表1)。

表1. 米国FDAによる注射薬のリコールにおける外因性粒子の種類とその相対的な保有率4
1 ガラス
2 活性医薬品成分
3 ステンレススチール
4 毛髪
5 シリコン、プラスチック
6 繊維
7 ゴム

第三者機関による厳密なクリーンルーム適合試験の実施

バイオ医薬品製造工程における培養物の品質維持の観点から、クリーンルーム環境に適合したCO2インキュベーターのニーズが高まっています。GMP製造環境下では標準的な研究用のCO2インキュベーターではなく、クリーンルームへの適合認証を受けたCO2インキュベーターを使用することが重要です。当社のCO2インキュベーターは、国際標準化機構(ISO 14644-1)が定める厳格な空気品質制限を満たすために厳格な試験を受けているだけでなく、試験の中立性を保つためにISO 14644-14に準拠したバリデーション方法論による試験が独立した第三者機関(TUV/SUD)で実施されました。

試験は、CO2インキュベーターの換気口やドア、インキュベーター上部とその周辺の数カ所の粒子放出が多い傾向がある「ホットスポット」を特定し(図1)、その箇所を長期間モニターすることで実施されました(図2)。さらに、高温滅菌サイクルについても同箇所で長期間モニタリング試験が行われました。これらの結果Forma Steri-Cycle CR CO2インキュベーターCTSシリーズがISO Class 5およびGMP Grade A/Bクリーンルーム環境の空気清浄度に適合していることが示されました。

図1. Thermo Scientific™ Forma™ Steri-Cycle™ i160 CR CO2インキュベーターのホットスポット (右上側ドアヒンジ)

図1. Thermo Scientific™ Forma™ Steri-Cycle™ i160 CR CO2インキュベーターのホットスポット (右上側ドアヒンジ)


図2. 測定点4 (MP4)におけるForma Steri-Cycle i250 CR CO₂インキュベーターからの粒子数(赤色)。インキュベーターを37 ℃に設定し、CO₂ガスまたは湿度を加えていない状態で測定したところ、インキュベーターがISO Class 5(紫色)の範囲内で作動していることが確認できます。高温滅菌サイクルでも同様の結果でした(データ未掲載)。

図2. 測定点4 (MP4)におけるForma Steri-Cycle i250 CR CO2インキュベーターからの粒子数(赤色)
インキュベーターを37 ℃に設定し、CO2ガスまたは湿度を加えていない状態で測定したところ、インキュベーターがISO Class 5(紫色)の範囲内で作動していることが確認できます
高温滅菌サイクルでも同様の結果でした(データ未掲載)

クリーンルーム適合CO2インキュベーターのその他の特長

Forma Steri-Cycle CR CO2インキュベーターCTSシリーズは、培養物の汚染防止と微粒子放出制御の面で大きな利点を提供します。CO2インキュベーターは、搭載されたHEPAフィルターシステムによって排出される微粒子を捕捉し、クリーンルーム適合に貢献する機能を備えています(図3)。この特長に加え、ユーザーフレンドリーな操作性、クリーニングを簡素化する庫内設計や電解研磨ステンレス、Steris社VHP™過酸化水素ガス除染滅菌プロセスとの適合性、IP54定格の防水防塵電子機器の採用、工場受け入れ試験ドキュメンテーションバインダーの標準付属があります。

図3. Forma Steri-Cycle CR CO2インキュベーターに組み込まれた粒子捕捉技術の図解。 CO2インキュベーター筐体内部で発生する粒子は、ユニット背面に導かれ(赤色矢印)、最終的にH13型HEPAフィルターによって捕捉されます。清潔でろ過された空気は、HEPAフィルター(A: 細い波状の青い矢印)から排気され、また、電子基盤などを冷却する空気は、4つのフィルター付き換気口(B: 広い青い矢印)を介して筐体内に引き込まれます

図3. Forma Steri-Cycle CR CO2インキュベーターに組み込まれた粒子捕捉技術の図解
CO2インキュベーター筐体内部で発生する粒子は、ユニット背面に導かれ(赤色矢印)、最終的にH13型HEPAフィルターによって捕捉されます
清潔でろ過された空気は、HEPAフィルター(A: 細い波状の青い矢印)から排気され、また、電子基盤などを冷却する空気は、4つのフィルター付き換気口(B: 広い青い矢印)を介して筐体内に引き込まれます

まとめ

ISO Class 5およびGMP Grade A/Bクリーンルームへの適合認証をうけたForma Steri-Cycle CR CO2インキュベーターCTSシリーズは、培養物の汚染防止の観点から細胞治療や遺伝子治療分野の製造プロセスにおいて重要な役割を果たします。規制基準に適合するだけでなく、クリーンルーム環境への潜在的な障害を効果的に管理し、最終製品の安全性、純度、品質の維持に貢献します。

クリーンルーム対応CO2インキュベーター

詳細はこちら

参考資料
1. Tawde, SA. (2015) Particulate matter in injectables: Main cause for recalls. Journal of Pharmacovigilance 03.
2. Eglovitch, JS. (2019) FDA: Despite improvement, particulate-related injectables recalls remain a concern. Pink Sheet, Informa Pharma Intelligence.
3. Clarke D, Stanton J, Powers D, et al. (2016) Managing particulates in cell therapy: Guidance for best practice. Cytotherapy 18(9):1063-1076.
4. Eglovitch, JS. (2019) FDA: Despite improvement, particulate-related injectables recalls remain a concern. Pink Sheet, Informa Pharma Intelligence.

STERIS VHP is a trademark of STERIS Corporation
 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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