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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 蛍光補正のお悩み解消!JC-1のデュアルレーザー励起によるミトコンドリア膜電位検出

蛍光補正のお悩み解消!JC-1のデュアルレーザー励起によるミトコンドリア膜電位検出

Written by LatB Staff | Published: 06.16.2020

ミトコンドリア膜電位の破壊は、細胞ストレスと初期アポトーシスを伴うことが示されています。親油性のカチオン色素であるJC-1を使用してミトコンドリア膜電位を測定する場合、これまでのJC-1検出プロトコルでは、主に単一の488 nm(青色)レーザーのみを備えたフローサイトメーターが使われていたため、JC-1モノマーとJ凝集体の2つの検出チャネル間で蛍光補正が必要でした。
そこで今回は、最大4つのレーザー(青色、赤色、紫色、黄色)を搭載できるInvitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometerで、デュアルレーザー励起を使用したよりシンプルで効率的なJC-1検出プロトコルついて、ご紹介いたします。

▼こんな方におすすめです!
・JC-1検出における蛍光補正の問題を解消したい方
・複数のレーザー励起を組み合わせて、マルチカラー検出を行いたい方

▼もくじ

  • JC-1を用いたミトコンドリア膜電位の検出機構
  • デュアルレーザー励起を用いたJC-1検出
  • まとめ
  • 【無料公開中】Attune NxT Flow Cytometer アプリケーションノート集

JC-1を用いたミトコンドリア膜電位の検出機構

JC-1色素は、電位依存的にミトコンドリア膜に可逆的に蓄積します。膜電位が低い場合、JC-1は緑色の蛍光(∼530 nm)を示し、モノマーとして存在します。より高い膜電位では、ミトコンドリア膜に赤色蛍光(∼590 nm)の「J凝集体」を形成します。すなわち、JC -1は、脱分極したミトコンドリア内では緑色に、過分極ミトコンドリアでは赤色に、その蛍光が可逆的に変化することで、細胞内ミトコンドリア膜電位の変化を示します。したがって、JC-1の緑色と赤色の蛍光比率は、ミトコンドリア膜の脱分極の程度に比例します。アポトーシス初期細胞は、ミトコンドリア膜電位の破壊を示すため、JC-1はアポトーシスの初期マーカーとして使用できます。

デュアルレーザー励起を用いたJC-1検出

本記事でご紹介するJC-1検出には、2種類のレーザーを使用します。JC-1モノマーを励起する青色(488 nm)レーザーと、J凝集体を励起する黄色(561 nm)レーザーです。図1に示すように、Jurkat細胞(ヒトT細胞性白血病細胞株)を、ミトコンドリア膜を脱分極させる薬剤carbonyl cyanide 3-chlorophenylhydrazone (CCCP)で処理し、JC-1で染色しました。CCCP処理した細胞は、プロットの右下に移動し、JC-1モノマーが増加していることがわかります。シングルレーザー(青色)励起を蛍光補正なしで使用すると、JC-1モノマーの緑色蛍光集団がJ凝集体の赤色側へ広がり、一部が右上へ漏れこんだ状態になります(図1A)。そのため、集団の位置を正しくプロット上に反映させるためには蛍光補正が欠かせません。一方で、青色と黄色のデュアルレーザー励起では、JC-1に由来する2つの形態の蛍光を区別するために、蛍光補正は必要ありません(図1B)。このように、励起に複数のレーザーを使用することで、補正の必要性が最小限に抑えられ、アポトーシス初期細胞のミトコンドリア膜電位変化を捉えるための、よりシンプルで効率的な検出が可能になります。蛍光補正用のサンプル調製も不要になるため、実験の操作時間も短縮できます。

図1. Jurkat細胞におけるミトコンドリア膜脱分極後のJC-1蛍光のデュアルレーザー検出。コントロール(CTR)Jurkat細胞を5µg/ mLのInvitrogen™ JC-1 Dye(製品番号 T3168)で30分間、37℃で染色しました。アポトーシス誘導用のJurkat細胞を50 µM CCCPで5分間処理し、JC-1染色前にミトコンドリアを脱分極させました。(A)励起用に488 nmレーザーのみ、JC-1モノマーとJ凝集体の検出用にそれぞれ530/30 nmと590/40 nmバンドパス(BP)フィルターを使用して、Attune NxT Flow Cytometerで蛍光補正なしで分析しました。また、(B)励起用に488 nmおよび561 nmレーザーの両方を用いて、JC-1モノマーおよびJ凝集体の検出用にそれぞれ530/30 nmおよび585/16 nm BPフィルターを使用しました。JC-1モノマーとJ凝集体シグナルを一緒に視覚化するために、マージされたCTRとCCCPのデータを示します。

まとめ

・デュアルレーザー励起を用いることにより、JC-1色素によるミトコンドリア膜電位の検出をより効率的に行うことができます。
・Attune NxT Flow Cytometerは、独立したレーザーを最大4つまで搭載できるため、色素と検出チャネルの選択に柔軟性をもたらし、蛍光補正を最小限にとどめることができます。

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