品質試験に関する専門用語は難しくて、いまさら聞けないと困ったことはありませんか?このブログでは、基礎用語を学ぶとともに、知っておくと便利な情報をお届けします。
皆さん、「マイコプラズマ肺炎」という感染症は聞いたことがありますでしょうか?実は、マイコプラズマ(Mycoplasma)という恐ろしく小さな細菌は、自然界のいたるところに存在し、バイオ医薬品製造においても、培養中の細胞に感染することがあります。いったん感染してしまうと、広範囲に急速に広がる可能性があるため、非常に問題視されているのです。
今回は、数ある細菌の中でも、このマイコプラズマの感染を早期発見することが、いかに重要かを解りやすくご紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・医薬品の品質管理に興味をお持ちの方
・これからマイコプラズマ否定試験に携わる予定の方
マイコプラズマとは?
マイコプラズマとは、以下の通り、非常にやっかいな細菌の一種で、作業者のおしゃべりや、培地の使い回しが原因で感染することもあります。
- 細菌の中で最も小さく、顕微鏡で見ることが困難で滅菌フィルターで除去できない
- 細菌に特有の細胞壁がないため、細胞培養液が濁らない
- グラム陰性菌のため、多くの抗生物質が効かない
- 一部のマイコプラズマ種は病原性を持つ
マイコプラズマ汚染の影響
マイコプラズマに汚染された細胞では、以下のような影響がありますが、目に見える訳ではないので、気づかずに製造が進んでしまうことがあります。
- 細胞代謝の変化
- 染色体異常
- 細胞増殖速度の低下
例えば、細胞増殖速度が低下した場合、GMP製造では規定の培養日数よりも延長になった時点で、製造管理からの逸脱として判断されます。また、抗体医薬品の場合は、細胞内で作られる目的物質における糖鎖修飾等の品質にも影響が生じるリスクが予想されます。その場合、培養に影響が出なかったとしても、精製後の品質評価により不適合とされるでしょう。このように、製造工程で早期に特定できなければ、時間、原材料の著しいロスに繋がってしまいます。
まとめ
いかがでしたか?
マイコプラズマ汚染は気が付くのが非常に困難ですが、マイコプラズマで汚染された細胞を用いて医薬品を製造することは、患者様の安全を損なうリスクがあります。このような理由から細胞を用いた医薬品製造では、マイコプラズマによる汚染を否定する必要があり、マイコプラズマ否定試験は、深刻な被害をもたらすような結果を引き起こさないために実施する重要な試験です。
MycoSEQマイコプラズマ検出アッセイ
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。