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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 連載NanoDrop道場 第6回 測定環境を整えよう ~台座メンテナンス・応用編1~

連載NanoDrop道場 第6回 測定環境を整えよう ~台座メンテナンス・応用編1~

Written by LatB Staff | Published: 08.20.2024

今回は前回に引き続き台座のメンテナンスについてご案内します。前回は日々のメンテナンスの一環として実施可能な簡易的な台座メンテナンスについてご案内しました。今回は、台座に軽微な汚れがある際の最適なクリーニング方法についてご案内します。特に台座への固着の可能性があるタンパク質サンプルや、揮発性が高い溶媒・界面活性剤を含むような溶媒に希釈されたサンプル測定の際に有効な台座メンテナンスです。

▼こんな方におすすめです!
・吸光度測定を実施されている方
・微量分光光度計をご利用・ご検討の方
Webサイト(thermofisher.com/jp-nanodrop-setup)にある動画資料も併せてご参照ください。

軽微な台座汚れのクリーニング方法

Thermo Scientific™ NanoDrop™微量分光光度計を長年にわたってご利用いただいている場合、日々の台座メンテナンスを行ってもわずかに残留した汚れが蓄積することがあり、測定結果が安定しないことがあります。このような経年的な蓄積汚れに関しては、蒸留水を用いての簡易的なクリーニング方法では解決できない場合があります。またタンパク質サンプルを測定する場合も、日々の簡易的な台座クリーニング法では測定に用いたタンパク質サンプルの拭き残しなどで十分に台座の環境を維持できず測定が安定しないことがあります。
このような経年的な蓄積汚れやタンパク質が原因の台座汚れについては特別なクリーニング法として0.5 Nの塩酸による台座クリーニングを推奨しております。

実施の方法は前回の簡易的な台座クリーニングの方法と同じ操作ですが、蒸留水の代わりに塩酸溶液を用います。
まずは0.5 Nの塩酸を調製します。
以降の操作は以下のとおりです(図1参照)。
① : アームを上げます
② : 下部台座をきれいなラボペーパーで拭きます
③ : 上部台座もきれいなラボペーパーで拭きます
   ①~③の操作で台座の軽微な汚れをまずは除去します

④ : 下部台座に0.5 N塩酸を2~3 µL乗せます
⑤ : アームを下ろして2~3分静置します
⑥ : 下部台座をきれいなラボペーパーで拭きます
⑦ : 上部台座をきれいなラボペーパーで拭きます
   ④~⑦の操作で台座に固着した経年的な汚れやタンパク質汚れを落としやすくし拭き取ります

⑧ : 下部台座に蒸留水を2~3 µL乗せます
⑨ : アームを下ろして2~3分静置します
⑩ : 下部台座をきれいなラボペーパーで拭きます
⑪ : 上部台座をきれいなラボペーパーで拭きます
   ⑧~⑪の操作でクリーニングに用いた塩酸成分を除去します

図1. 0.5 N塩酸を用いた台座クリーニング

図1. 0.5 N塩酸を用いた台座クリーニング

以上が0.5 Nの塩酸を用いた台座のクリーニングです。一般的な経年汚れやタンパク質サンプルの軽微な汚れについては上記方法で十分な改善が見込まれます。

また0.5 Nの塩酸の代わりに0.5%次亜塩素酸を用いることで台座の汚染除去も実施可能です。臨床検体などの感染性検体の測定後は必要に応じて次亜塩素酸による除染操作を同様の操作にて実施ください。

台座汚れが吸光度測定に影響する理由

そもそも台座の汚れがなぜ吸光度の測定に影響を与えるのでしょうか?

NanoDrop微量分光光度計は下部台座にサンプルを数µL乗せ、アームを下ろすことで上部の台座の間で「液柱」を形成します。この形成された「液柱」を通過した透過光から吸光度を算出します。
台座に汚れがない状態であれば、台座上に乗せられたサンプルは表面張力により張りのある「液滴」を形成することができます(図2参照)。

図2. 正常な台座環境による液柱形成と液滴形成

図2. 正常な台座環境による液柱形成と液滴形成

NanoDrop微量分光光度計の吸光度測定原理については以下リンクのブログもご参照ください。
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/nanodrop-sample-ts/

もし台座に汚れがある場合、表面張力が作用せず十分な「液滴」を形成することができません。結果的にアームを下げた際に上下の台座間で十分な「液柱」を形成することができなくなり、正確な吸光度の測定ができなくなります(図3参照)。

図3. 台座が汚れている場合の液柱形成

図3. 台座が汚れている場合の液柱形成

台座の汚れについては程度や測定対象となるサンプル特性にもよりますが、液柱が形成されにくい頻度が上がり、結果として、同じサンプルを測定しているにもかかわらず吸光度が安定しないなどの原因になります。
つまり台座の状態がきれいで、十分な表面張力を有している状態であれば、安定した吸光度測定が可能となります。

まとめ

今回は台座の軽微な汚れに対する台座クリーニング法を紹介しました。
タンパク質サンプルの測定後、特に固着が起こりやすいブラッドフォードタンパク質アッセイの吸光度測定を実施した際、今回ご案内した0.5 N塩酸でのクリーニングが有効なクリーニング方法となります。また、水やTEバッファーに溶解した核酸サンプルの測定が中心の場合でも、定期的に塩酸を用いたクリーニングを実施いただくことで経年的な蓄積汚れを除去することができ、より安定した吸光度測定を可能とします。

今回ご案内した台座メンテナンスもNanoDrop微量分光光度計共通で実施いただけます。次回はより強固な固着汚れがある台座クリーニング方法についてご紹介いたします。

このシリーズではNanoDrop微量分光光度計による吸光度測定に関わる情報やTipsをご案内していく予定です。以下リンクより「NanoDrop」に関連するブログ記事をご覧いただけます。

NanoDrop関連記事:https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/tag/nanodrop/

NanoDrop One / OneC微量分光光度計について新しく動画マニュアルをご用意しています。Webサイト(thermofisher.com/jp-nanodrop-setup)にある動画資料も併せてご参照ください。
またNanoDrop微量分光光度計シリーズにご興味のユーザーさまは以下リンクよりデモのご依頼も可能ですのでご活用いただければと思います。

お問い合わせはこちら

 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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