私たちは1日に何度もプラスチックフィルムと遭遇します。食料品店の中を歩くと、プラスチックで包装されている食品が実にたくさんあることが分かります。低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムはガスバリアとして働くので、鶏肉や牛ひき肉の包装用パッケージに使用されています。ポテトチップスなどスナック類の陳列棚では、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族-芳香族コポリエステルから作製される生分解性プラスチックバッグを見つけることができます。これらは急速に分解し、微生物によって数週間でCO2と水になります。どこにでもある透明なプラスチックボトルは、一般に熱成形されたポリエチレンテレフタレート(PETE)でできており、100%リサイクル可能です。
ポリマーの分析
多くのポリマーフィルムは、ショッピングバッグのように数ミクロンから50ミクロンの厚さですが、より薄いフィルムには、種々の工業的および生物医学的用途において特別な用途があります。それらはまた、異なる材料の多数の層で構成されていることが一般的です。
薄いポリマーラミネートフィルムの厚さや形態を特徴づけるには、いくつかの技術が使用されていますが、個々の層の化学成分を同定することは難しい作業になる可能性があります。
分子分光法は、高分子材料の化学的同定のための信頼性が高い技術の1つです。
赤外分光法は、赤外顕微鏡を使用し、サンプル調製を適切に行うことで、約2ミクロンまでの厚さを見ることができます。ラマン分光法は、標準的な装置構成で異なる材料の層を調べることができる画期的な技術です。ラマン顕微鏡によるポリマーラミネートフィルムの同定は、共焦点深度プロファイリングと断面分析によって行うことができます。
深度プロファイリングは、試料調製をほとんど必要としない点で有利です。ライン/エリアマッピングによる断面分析は、優れた空間分解能を提供し、ポリマーラミネートフィルムのサブミクロンからミクロン層の同定に役立ちます。
公開済みのアプリケーションノート「共焦点ラマン顕微鏡の横方向空間分解能を利用したポリマーラミネート中のミクロン/サブミクロンの層の解析」では、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリビニルアルコールの薄膜サンドイッチの7層を同定し、ラマン顕微鏡の理論的空間分解能の限界に近い厚さ(≒0.4μm)を有する薄いポリマー層も分離できました。
共焦点ラマン顕微鏡の横方向の空間分解能を利用して、ポリマー積層体中のミクロンからサブミクロンの層を特定することが可能になります。
FT-IRやラマン分光法などの分析装置に関するセミナー開催・お得なキャンペーン・アプリケーション情報などをメールニュース(不定期)で配信しております。
メールニュース受信のご登録はこちらから★
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。