さて、第2回です。
エレメントリストの見方及びベクターマップの読み方に関する説明をまとめたガイドブックを用意しました。プラスミドベクターに含まれるエレメントの役割・機能などをまとめたエレメントリストも含まれます。ガイドブックは、こちらからダウンロードしてご覧ください。本記事では、エレメンタルリストの見方について解説します。
エレメントリストはベクターマップ中に不明なエレメントが出てきた際に辞書代わりにご利用ください。地図に記載されている♨などの地図記号の意味を調べる資料といったイメージでしょうか?また、お時間ある時に頭からじっくり目を通していただくのもいいでしょう。
このガイドブックとエレメントリストがあれば以下のような複雑なマップと出会っても迷子になる心配はありません。
エレメントリストの例(一部抜粋)
左から大分類、小分類、エレメント名、コメント、由来生物名(核酸供与体名)、プラスミドベクター例のリンクの6列です。現在のエレメント数は116です。機能・役割が近いと思われるものを大きく5個に分類し(大分類)、その中でさらに幾つかのグループに分けてみました(小分類)。ご理解・ご検索の助けになれば幸いです。エレメントは機能で探しやすいように分類順に並べました。
以下に大分類、小分類としてどのようなものがあるのかご紹介します。
- 大分類:複製・組み換え関連
小分類:origin、組み換え酵素、組み換え配列、その他 - 大分類:転写関連
小分類:プロモーター、ターミネーター、発現誘導関連、ポリAシグナル、エンハンサー、その他 - 大分類:翻訳関連
小分類:エンハンサー、その他 - 大分類:機能性タンパク質
小分類:薬剤耐性遺伝子、蛍光タンパク質、融合タグ、ターゲティングシグナル、プロテアーゼ認識配列、その他 - 大分類:その他
小分類:プライミングサイト
プラスミドベクターおよびウイルスの複製に係わるエレメント、組み換え反応に関与するDNA配列、および組み換え酵素遺伝子などをグルーピングしました。
主に発現ベクター内で目的遺伝子の転写(mRNA合成)に係わるエレメントです。転写活性の調節(止めたり、強くしたり)に係わるエレメントも含みます。
主に発現ベクター内で目的遺伝子の翻訳(タンパク質合成)に係わるエレメントです。
1~3に含まれないもので、タンパク質・ペプチドとして機能するものをグルーピングしました。
グルーピングしにくいものです。今のところシーケンス・PCR用プライマーのプライミングサイトのみです。
まとめ
お探しのエレメントはリストにありそうでしょうか?
当社のベクターに載っているエレメントが中心ですのでまだまだ不十分だと思います。もしお手数でなければ、このエレメントが無いのはおかしい、これも載せて欲しいなどお知らせください。また、これは間違っているのでは?と思われる箇所などのご指摘も大歓迎です。
当社のマニアたちと協議し、適宜追加・変更・修正していきたいと思います。皆様と一緒により良いエレメントリストを構築できたら幸いです。
下記からガイドブックをダウンロードしてエレメントリストをご確認ください!
ベクターマップの読み方ガイド クローニング・タンパク質発現で迷子にならないために
その他、ご意見を末尾のフォームからぜひお寄せください。
最後に、実際お持ちのプラスミドベクターの解読サポートいたします!もちろん当社のものでなくても構いません。マップをテクニカルサポート宛にお送りください。jptech@thermofisher.com
あるいは、下のフォームからご依頼ください。
次回、第3回では、突然ベクターを入手された際に、どのように扱えばよいかを見極める手法を、実例を使ってご説明します。ここまでお付き合いいただいた方には不要かもしれませんが、復習がてら眺めていただいたらよりご理解を深められるはずです。
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