今回はユニバーサルなPCR条件の利点をフルに生かした384ウェルフォーマットのカスタムアレイ、「TaqMan® Array Card」をご紹介します。
TaqMan® Array Cardとは?
TaqMan® Array Cardは、ヒト、マウス、ラットで4万種類を超えるTaqMan® Gene Expression Assays, Inventoriedから目的のアッセイを選択し、フォーマットに従ってカードを作成できるツールです。最大で380もの遺伝子を1枚のプレート上で網羅的に定量することが可能で、TaqMan®ケミストリを採用することで、信頼できる高い定量性も担保されています。
これまでの遺伝子発現解析では、網羅性か定量性、そのどちらかを犠牲にせざるを得ませんでした。リアルタイムPCRの技術を応用し、相反する二つのニーズを満たした画期的な方法、それがTaqMan® Cardなのです。TaqMan® Cardを使用した文献が続々と報告されています。
TaqMan® Array Cardは、現在利用できるテクノロジーの中では、最も高精度な定量性を有するカスタムアレイといえるでしょう。”Time-to-Results”、すなわち研究成果を得るまでに要する時間をいかに短縮するか。最近はリアルタイムPCRの反応時間を短縮することが注目され、各社からさまざまな機械や試薬が販売されています。しかしそれらの製品を手っ取り早く用いれば実験結果を短縮できるとは限りません。遺伝子発現解析研究にとって、真のスピードアップに必要なことは何か、これまでの回で解説しました。ご紹介した便利なツールを利用いただくことで、これまで実験に要していた時間をデータの考察や他の実験にお使いいただけたら幸いです。
まさに、進化し続けるリアルタイムPCR ですね。次回もお楽しみに!
参考文献
様々な論文でTaqMan® Cardによる実験結果が報告されていますので、ご参考までに例を紹介します。
- Gallagher WM, et al. 2005. Multiple markers for melanoma progression regulated by DNA methylation: insights from transcriptomic studies. Carcinogenesis. Nov;26(11):1856-67.
- Abruzzo LV, et al. 2005. Validation of oligonucleotide microarray data using microfluidic low-density arrays: a new statistical method to normalize real-time RT-PCR data. Biotechniques. May;38(5):785-92.
- Tenedini E, et al. 2004. Gene expression profiling of normal and malignant CD34-derived megakaryocytic cells. Blood. Nov 15;104(10):3126-35.
- Marionneau C, et al. 2005. Specific pattern of ionic channel gene expression associated with pacemaker activity in the mouse heart. J Physiol. Jan 1;562(Pt 1):223-34.
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