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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / リアルタイムPCR実験で陥りがちな落とし穴Top10

リアルタイムPCR実験で陥りがちな落とし穴Top10

Written by LATB Staff | Published: 04.14.2020

今回は、リアルタイムPCR実験で陥りがちな落とし穴Top10を紹介します。

▼こんな方におすすめ

  • リアルタイムPCR初心者
  • リアルタイムPCR実験で困っている方

▼もくじ

  • 1. プライマーおよびプローブ設計が適切ではない
  • 2. 低品質なRNAを使っている
  • 3. マスターミックスを使っていない
  • 4. クロスコンタミネーションを起こしている
  • 5. 逆転写酵素なしのネガティブコントロールを使っていない
  • 6. 不適切な内在性コントロールを使っている
  • 7. SYBR Green使用時に解離曲線を確認していない
  • 8. ベースラインとThresholdの設定が適切ではない
  • 9. 増幅効率が不十分
  • 10. 検量線の定量範囲が適切ではない
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1. プライマーおよびプローブ設計が適切ではない

リアルタイムPCR用のPCRプライマーおよびプローブを最も効率的に設計するためには、プライマー設計ソフトウェアを使うことを強く推奨します。ほとんどのプライマー設計プログラムには、最適なプライマーおよびプローブを設計するための調節可能なパラメーターが含まれています。

これらパラメーターでは、プライマー/プローブのTm値、相補性、二次構造ならびにPCR増幅産物のサイズなどの重要な因子を調節できます。

同一ヌクレオチドの連続もできる限り避けることを推奨します。

真核生物においてPCRプライマーを設計する場合、混在したゲノムDNA由来の増幅を防止するために、標的mRNAの少なくとも1つのイントロンを挟むエキソンジャンクションにまたがるPCRプライマーを選択してください。

 

2. 低品質なRNAを使っている

分解されたかまたは純度の低いRNAは逆転写反応の効率を低下させ、収率も低下させる可能性があります。

RNAは、新鮮な組織から調製するか、またはRNAlater ™ などのRNA安定化溶液で処理した組織から調製する必要があります。

結果として、ある程度RNAの分解を抑えることができます。

分解のないRNAを使用することができない場合は、目的の遺伝子の内部領域にアニールするプライマーを設計してください。qRT-PCRの場合、部分的に分解されたRNAは遺伝子発現を正確に表していない場合があり、注意が必要です。

 

3. マスターミックスを使っていない

リアルタイムPCRはRNAを分析するための非常に高感度なツールですが、

PCRで標的を増幅するにつれて、エラーも同時に増幅されます。

したがって、可能な限り、ばらつきを最小限に抑える必要があります。

複数の反応を設定してサンプル間およびウェル間のばらつきを最小限に抑え、再現性を向上させるためには、「マスターミックス」または反応試薬の混合物を使用する必要があります。ウェル間の変動をさらに減少させるためには、ROXのようなリファレンス色素をマスターミックスに添加します。

 

4. クロスコンタミネーションを起こしている

クロスコンタミネーションを防止するためには、PCR操作を行うエリア内のあらゆる表面を定期的に除染します。除染にはDNAを破壊するDNAzap™などのDNA除染溶液の使用を推奨しています。

また、試薬や実験器具表面のクロスコンタミネーションを排除するために、「No Template Control」(NTC)を実行する必要があります。

NTCには、RNAテンプレートを除くすべてのRT-PCR試薬が含まれています。

通常、RNAの代わりにヌクレアーゼフリー水を入れます。

NTCサンプルで増幅される場合、1つ以上のRT-PCR試薬がPCR増幅物で汚染されていることを示しています。

 

5. 逆転写酵素なしのネガティブコントロールを使っていない

RNA調製物からゲノムDNAを完全に除去することは実質的に不可能です。

それゆえに、qRT-PCR実験を行う際、逆転写酵素を入れずに逆転写反応を行ったネガティブコントロール(”No Amplification Control”:NAC)を含めることが重要です。

通常、NACは、逆転写酵素を除いたすべてのRT-PCR試薬を含む模擬的逆転写です。

NACでPCR産物がみられた場合、おそらく汚染DNAがサンプル中に存在することを示しています。

 

6. 不適切な内在性コントロールを使っている

サンプル間で発現量が一定な内在性コントロールをアッセイに含めることによって、PCR効率のサンプル間変動および定量値の誤差を補正し、qRT-PCR実験の信頼性を向上させることができます。

良好な内在性コントロールの発現レベルは、分析されるサンプル全体を通じて変化してはなりません。

18S rRNAは、β-アクチンやGAPDHなど他の伝統的な内部コントロールよりも発現レベルの変化が少ないため、しばしば対照として使用されます。

 

7. SYBR Green使用時に解離曲線を確認していない

理想的には、実験サンプルではアンプリコンの融解温度で鋭いピーク(一次導関数プロット)を得ることができますが、NACおよびNTCでは有意な蛍光シグナルが生じません。

この結果は、産物が特異的であること、ならびにSYBR Green I蛍光が目的産物量の直接的な尺度であることを示しています。

解離曲線が複数のピークを示す場合、特異的反応産物と非特異的反応産物が混在していることを示しています。

意味のあるデータを得るためには、qRT-PCRの最適化が必要と考えられます。

 

8. ベースラインとThresholdの設定が適切ではない

正確なCT値を得るためには、最も高発現のサンプルにおける増幅曲線の立ち上がりよりも、2サイクルほど早い位置にベースラインを設定する必要があります。

qRT-PCRデータを意味のあるものにするためには、Threshold Line はPCR産物の指数関数的増幅領域に設定する必要があります。

通常、このThreshold Lineはベースラインから少なくとも標準偏差の10倍以上に設定します。

 

9. 増幅効率が不十分

増幅効率(Eff)は、以下の式で計算することができます。

Eff = 10 (–1/検量線の傾き) – 1

PCRの増幅効率は90~110%(3.6 > 検量線の傾き > 3.1)でなければなりません。PCRの増幅効率は多くの要因によって影響を受けます。

いくつか例を挙げると、PCR増幅産物の長さ、二次構造およびプライマー設計などがあります。

90%未満の増幅効率でも有効なデータは得られますが、qRT-PCRをさらに最適化するか、または代わりとなるPCR増幅産物を設計する必要があります。

 

10. 検量線の定量範囲が適切ではない

遺伝子発現定量(絶対定量または相対定量の検量線法)を行う際、またはΔΔCT法で検量線により増幅効率を検証する際には、それぞれの遺伝子について検量線を作成する必要があります。

検量線の範囲はターゲットの予想発現量を含み、その上側と下側に伸びていなければなりません。

さらに、検出限界の上下に外れるRNA量を含めることで、特異的産物や非特異的産物を識別しやすくなります。

 

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