遠心分離は、実験室や検査施設において病原体や感染リスクのあるサンプルを扱う検査には不可欠なプロセスです。しかし、実験や検査の従事者を保護し、汚染のリスクを最小限に抑えるためには、適切な安全予防措置を講じることが極めて重要です。このブログでは、生物封じ込め用リッド、特にThermo Scientific™ ClickSeal™バケットリッドを使用することの重要性について説明し、安全な遠心分離を行うための対策についてご紹介します。
▼こんな方におすすめ
医療機関において検体検査に従事されている方
食品検査や微生物検査の従事者
病原性微生物やウイルス研究の研究者
生物封じ込め用リッドの意義
地域の安全規制では、サンプル取り扱い中にエアロゾルを封じ込め、実験室内感染(LAI: Laboratory Acquired Infection)のリスクを最小限に抑えるために、リッドの使用が義務付けられていることがよくあります。英国ポートンダウンのイングランド公衆衛生局によって認証されたClickSealバケットリッドは、スイングするバケットローターにロードされたサンプルに迅速で安全な生物封じ込め対策を提供するように設計されています。これらのリッドは、容器の破損、漏れ、オーバーロードから生じるエアロゾル汚染を防ぎ、最終的に研究室の作業員を保護し、汚染の拡散を防ぎます。
一次封じ込めによる暴露防止対策
遠心分離中、サンプルはチューブの破損や漏れの原因となる力を受け、サンプルを含む液体微粒子(エアロゾル)が発生します。作業者がローターやバケットからサンプルを取り出す際に、病原体を含むエアロゾルに暴露する可能性があります。こういった汚染サンプルへの暴露を防止するために、①高品質のチューブの使用、②容器側で規定されている定格遠心力(RCF)内での遠心分離、③正しいサイズのアダプターの使用は極めて重要で、これらが暴露防止のための一次封じ込め対策となります。これらの予防措置により、チューブの破損や漏れを最小限に抑え、チューブの動きを抑制し、加減速時に適切なサポートを提供することができます。
二次封じ込めによる暴露防止対策
さらなる暴露防止対策として、ローターまたはバケット全体を透明な材料で覆い密閉することが推奨されます。これにより、開封前にチューブを容易に点検でき、損傷や漏れを特定できます。当社のClickSealバケットリッドは、左利き、右利き両用に設計されており、”カチッ “という音でサンプルの封じ込めを確認でき、安全性を保ちながら迅速で的確な封じ込め対策を可能にします。また、リッドの材質は高い剛性と機械的強度にすぐれ、高温条件でも安定性に優れたポリエーテルイミド(PEI)を採用しているため、破損のリスクを低く抑え、容器の破損によるサンプルの漏出があった場合、バケットごと121 ℃、20分のオートクレーブ滅菌が可能です。
ClickSealバケットリッドはスイングバケットローターだけでなく、固定角ローターやプレート用ローターでも使用することができ、ワンクリックで着脱が可能です。
三次封じ込めによる暴露防止対策
サンプルのリスクが高い場合は、三次封じ込めをお勧めします。チューブの周囲をさらに個別に密閉することで、クロスコンタミネーションを防ぎ、シールテープや粘着フィルムが不要になります。また、検査室内でのサンプルの取り扱いや輸送をより安全に行うことが可能です。この個別シールド容器はClickSealバケットリッドと組み合わせて使用することが可能なため、サンプル容器を二重で封じ込めることが可能です。
ローターやバケット、そしてアダプターの適切な使用はもちろん、遠心機を安全に操作するためのトレーニングを全使用者に行うことで、事故の防止につながります。安全な作業環境を維持するためには、生物封じ込めのリッドの使用に精通し、事故や漏れが発生した場合の現地手順を理解しておくことも必要です。当社では、日常的に何となく使用している遠心機について、正しく安全にお使いいただくためのポイント、汚染・暴露の防止や日常のメンテナンス、正しい機種選定についてのトレーニングサービスを無償で提供しています。
ヒヤリ・ハットを未然に防止: 遠心分離機を安全にお使いいただくためのセミナー
まとめ
ClickSealバケットリッドのような生物封じ込め用リッドの使用と適切なトレーニングやメンテナンスを取り入れることは、遠心分離に関連する実験室内感染(LAI)のリスクを最小限に抑えるために極めて重要です。これらの安全対策を実施することで、作業者の安全性を確保し、清潔な作業環境を維持し、安全基準を高いレベルで維持できます。
ClickSealバケットリッド
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。