
ワクチンは特定の感染症を防ぐために、病原体から作製された弱毒化または無毒化した抗原を接種することにより、免疫反応を刺激し、特定の抗原に対する抗体産生を誘導します。B細胞は、このような抗原に対する高い親和性と特異性を備えており、免疫記憶を成立させる抗体を産生する能力があるため、感染に対する獲得免疫応答に重要な役割を果たします。このような免疫応答のメカニズムやその経時的な進化についての研究によって、現在のワクチンの有効性、安全性、投与量、防御期間に関して、より良い情報を得ることができます。次世代シーケンシング(NGS)は、B細胞が抗原を認識するためのB細胞受容体(BCR)レパートリーを詳細に解析できるハイスループットな手法であり、ワクチン研究に有用な生体分子をより適切に特定します。
そこで今回は、次世代シーケンサを用いたワクチン開発のためのB細胞受容体の解析ついて、ご紹介いたします。
▼こんな方におすすめです!
・ワクチン研究者
・感染症研究者
免疫系とB細胞における遺伝学
体内への外来抗原の侵入は、B細胞応答を活性化します。活性化されたB細胞は、抗体産生のための2つの重要なクラススイッチ組換え、および体細胞変異という遺伝的プロセスを受けます。クラススイッチにより、B細胞は抗体のタイプ(アイソタイプ)を変更して、抗原中和や抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)などのさまざまなエフェクター機能を獲得できます。体細胞変異は、B細胞受容体(BCR)を急速に変化させ、抗原親和性を高める作用があります。多くの場合、親和性の高い抗体は、ウイルスや細菌の結合と中和に効果的です。また、提示する抗原に対する親和性を増加させない変異を有するB細胞は、細胞死を起こします。その結果、B細胞の軍隊となるBCRレパートリーが作製されます。各B細胞には固有のBCRがあり、体を病気から保護します。
BCRレパートリー解析の重要性
酵素免疫測定法(ELISA)のような現在の免疫学研究の方法は、抗体の有無を検出することで免疫応答を確認することのみに留まりますが、免疫応答とそれが時間とともにどのように進化するかについての理解をより深めることにより、現行のワクチンの有効性、安全性、投与量、防御期間に関して、より良い情報を得ることができます。そこで研究者は現在、次世代シーケンシング(NGS)のハイスループットを活用して、BCRレパートリーをより深く解析し、ワクチン研究に有用な生体分子の特定に挑戦しています。ただし、体細胞変異とB細胞の進化を適切に研究するには正確さが必要であるため、NGSでは複雑でデータの解釈が難しいと考える人もいます。
免疫応答とワクチン研究のためのターゲットBCRシーケンスソリューション
Ion Torrent™ Oncomine™ BCR IGH-LR Assayは、使いやすい解析ツールを含む簡便なワークフローを備えたシンプルで正確なターゲットNGSソリューションであり、研究者が免疫応答を容易に研究できるようにサポートします。このアッセイは、Ion Torrent™ シーケンステクノロジーのロングリードという特長と精度を活用し、体細胞変異パターンの解析やIgG1などのアイソタイプの定量化がサンプルからデータ解析まで3日間で可能です。このようなワクチン研究における免疫応答をよりよく理解するための包括的なデータ解析ツールであるIon Reporter™ ソフトウェアがBCRレパートリーのより深い解析を提供します。このようなNGSを用いた解析は、ELISAやウイルス中和アッセイと並行して簡単に行うことができるため、ワクチン開発者はデータに基づいた意思決定を迅速に行うことができます。
SARS-CoV-2による世界的な危機に対して、感染症と戦うための迅速なワクチン研究の重要性が注目されています。やるべきことはまだまだたくさんありますが、今後数年間の世界的な公衆衛生の懸念に対して、Oncomine BCR IGH-LR AssayのようなNGSソリューションによって免疫応答のメカニズムをよりよく理解し、ワクチン開発に迅速に対処できる体制を整えることが必要であることは明らかです。
まとめ
・SARS-CoV-2に対するワクチン開発が注目されています。
・ワクチン開発にはBCRレパートリーの解析が重要です。
・Ion Torrent™ システムなら少量の核酸を用いてBCRレパートリーの迅速な解析可能です。
・BCRレパートリー解析にご興味がある方はOncomine BCR IGH-LR Assayをご検討ください。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



