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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 実験してみた - PicoGreenをプレートリーダーで使用してみた

実験してみた – PicoGreenをプレートリーダーで使用してみた

Written by LatB Staff | Published: 01.10.2023

蛍光を用いたDNAの定量法の一つとしてInvitrogen™ Quant-iT™ PicoGreen™ dsDNA Assay Kit が利用されています。ただ、この製品のマニュアルには蛍光分光光度計での測定方法しか記述が無いため、初めてお使いのお客さまが戸惑ってしまうこともあります。 ここでは、弊社社内で実際に蛍光プレートリーダーを用いて測定してみました。

▼こんな方におすすめの記事です!
・PicoGreen dsDNA Assay Kitを使用しようとしたが、マニュアルにプレートリーダーでの使用に関する記述がなくてお困りの方

内容

使用した試薬・機器
Quant-iT PicoGreen dsDNA Assay Kit
Thermo Scientific™ Nunc™ 96ウェルブラックマイクロプレート (製品番号237105, 以下、黒色プレート)
Thermo Scientific™ Varioskan™ LUXマルチモードマイクロプレートリーダー (以下、Varioskan LUXマイクロプレートリーダー)

Working Solution の調整
PicoGreen試薬を添付のTE Bufferで400倍希釈したものをWorking Solutionとします。
※製品マニュアルでは PicoGreen試薬を200倍希釈した後、サンプルと1:1 で混合していますが、実験時のサンプル量を考慮して、ここではサンプルDNA 10 µL : Working Solution 190 µLで混合できるように変更しています。

Standard DNA の段階希釈
キットに添付の100 µg/mL(100 ng/µL)Standard DNA を 2分の1ずつTE Bufferを用いて段階希釈しました。

黒色プレートの各ウェルに以下の試薬を加えました。
Working Solution 190 µL
段階希釈したStandard DNA 10 µL
(もしくは、TE Buffer のみ 10 µL)

Varioskan LUXマイクロプレートリーダーを用いて5秒間のシェイクを行った後、5分後に励起:485 nm / 測定:520 nmで測定しました。
※Varioskan LUXマイクロプレートリーダーでは485 nm/520 nm がデフォルトの設定のためそれを利用しました。プレートリーダーでFITCが測定できる設定/フィルターがあればそれをご利用ください。

結果

ウェル内の最終濃度で結果を記述します。
・Standard原液100 ng/µLの場合、最終濃度は5,000 pg/µLになります。ただ、5,000 pg/µLの場合は頭打ちとなり2倍希釈した2,500 pg/µLよりも低い値を示したため、2,500 pg/µLからのグラフとしています。
・5-パラメーターロジスティックを利用して検量線を算出すると、図1のようにきれいなS字カーブ(X軸:対数、Y軸:線形)を示しました。低濃度領域が平坦に見えるため DNA濃度が9.8 ng/mL(添加したDNAの濃度:195 pg/µL)以下の値だけ抜き出して検量線を算出したところ、図2のように濃度依存的な結果を示していました。

Standard DNA全濃度領域での蛍光強度

図1 Standard DNA全濃度領域での蛍光強度

Standard DNA低濃度領域での蛍光強度

図2 Standard DNA低濃度領域での蛍光強度

 

上記グラフの元データ

最終濃度(pg/µL) 添加したDNAの濃度(ng/µL) 1ウェル当たりのDNA量(ng) 蛍光強度(平均) SD
5,000 100 1,000 151.7 1.904
2,500 50 500 169.6 1.512
1,250 25 250 162.1 1.752
625 12.5 125 149.5 0.389
312.5 6.25 62.5 100.3 0.942
156.25 3.13 31.25 48.33 0.502
78.125 1.56 15.63 23.35 0.106
39.063 0.78 7.81 11.47 0.068
19.531 0.39 3.91 5.846 0.031
9.766 0.195 1.953 1.571 0.007
4.883 0.098 0.977 0.857 0.012
2.441 0.049 0.488 0.488 0.021
1.221 0.024 0.244 0.292 0.018
0.61 0.012 0.122 0.183 0.009
0.305 0.006 0.061 0.136 0.006
0.153 0.003 0.031 0.107 0.004
0.076 0.002 0.015 0.092 0.012
0 0 0 0.083 0.007

 

まとめ

プレートリーダーでPicoGreen dsDNA Assay Kitを用いたDNAの濃度測定を行うことができました。

PicoGreen dsDNA Assay Kitのマニュアルでは検量線を直線で描いていますが、上記の結果のように 5-パラメーターロジスティックを用いたS字曲線の方がよくフィッティングしました。

弊社では、簡易的にDNA濃度を定量できるInvitrogen™ Qubit™ 4 Fluorometer(Q33238)とその試薬であるQubit™ dsDNA HS Assay Kit(Q32851など)があり、その定量範囲は0.1~120 ng/tube です。今回のPicoGreen dsDNA Assay Kitの実験では1:2の段階希釈で低濃度領域まで用意したため、0.1 ngを下回る領域まで測定できる可能性が示されました。ただ、蛍光強度が濃度0の場合の蛍光強度に近くなるほど、数値のばらつきを考慮するためにn=2やn=3がより重要となります。
そこまで検体数が多くない場合には、あらためてQubit 4 Fluorometerの方がお手軽であると感じました。
同様に、8サンプルずつ測定の可能なInvitrogen™ Qubit™ Flex Fluorometerもご用意しております。

弊社では、実際に実験(実習)を行いつつ学べるハンズオントレーニングを各種開催しています。これから新しい実験を始められる方、より理解を深めたい方はぜひご参加ください!

 

研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。

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