Seminar
Jul 27, 2018 - Aug 03, 2018
東京、大阪
質量分析フォーラム2018

さまざまな分野において高性能な質量分析装置の活用の場面が増え、それに伴いデータの取得量も増加することにより研究開発が加速しています。より精度の高いデータを求め、活用方法も増えていく中で、最適な分析条件、解析の手法を求められることが多くなっています。
今年は基調講演、特別講演、「創薬定量」「低分子構造解析」「プロテオミクス」の3テーマの分科会にて、さまざまな限界を突破した内容ばかりをご用意しました。たとえば創薬定量では、昨年発表したThermo Scientific™ TSQ Altis™の未体験の感度を体感し、低分子構造解析では、新たな分析手法を目の当たりにし、プロテオミクスでは、当社が提供する定量プロテオミクス手法の豊富なバリエーションをご覧いただける、皆様のご研究に役立つ内容となっております。
その他、ブースやポスター展示にて質量分析装置や関連製品の最新情報をいち早くご紹介します。

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プログラム

10:20 ~ 10:30 開会のあいさつ
10:30 ~ 11:20 基調講演 個体レベルのシステム生物学の実現に向けて
―体内の「時間」を理解する―
東京大学大学院医学系研究科/理化学研究所 上田泰己先生
11:20 ~ 12:00 当社からのご案内(新製品紹介など)
12:00 ~ 13:00 昼食/展示(製品・ポスター展示・技術相談コーナーをご活用ください)
13:00 ~ 13:40 分科会1 【1-A】 トリプル四重極MSとOrbitrap MSを用いたリゾリン脂質の定量とイメージング解析
東北大学大学院  薬学研究科 可野 邦行先生
【1-B】 高分解能質量分析とCompound Discovererを用いた新たな代謝物解析法の提案
九州大学 和泉 自泰先生
【1-C】 ラベルフリー定量のノウハウと活用
熊本大学大学院生命科学研究部 大槻 純男先生
13:40 ~ 13:50 休憩
13:50 ~ 14:30 分科会2 【2-A】 高脂肪食誘発非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルラットのメタボロミクス解析
田辺三菱製薬株式会社 山﨑 真先生
【2-B】 質量分析を用いた受容体結合実験系の構築
小野薬品工業株式会社 松田 修一先生
【2-C】 Applications of proteomics for drug discovery and development
第一三共RDノバーレ株式会社 久保田 一石先生
14:30 ~ 15:30 休憩
15:30 ~ 16:10 分科会3 【3-A】 PAC-LC/HRMSを用いた抗体及び核酸医薬品定量法開発への取り組み
第一三共株式会社 合田 竜弥先生
【3-B】 GC-Orbitrapメタボローム解析により広がる化合物カバレッジ
国立医薬品食品衛生研究所 齊藤 公亮先生
【3-C】 創薬のための小規模でもできる大規模プロテオーム
理化学研究所 堂前 直先生
16:10 ~ 16:25 休憩
16:25 ~ 17:15 特別講演 バイオロジカルマススペクトロメトリーと共に歩んだ30年間と今後
東京大学医学部/エーザイ株式会社 小田 吉哉先生
17:15 ~ 17:20 閉会のあいさつ
17:30 ~ 19:30 意見交換会

要旨

基調講演

個体レベルのシステム生物学の実現に向けて ―体内の「時間」を理解する―
東京大学大学院医学系研究科/理化学研究所 上田 泰己先生

250年以上も昔、スウェーデンの植物学者のカール・フォン・リンネはユニークな時計を発明した。「花時計」として発表されたその時計は、いろいろな花の開閉時間を観察し、午前6時から正午までに咲く花と、正午から午後6時までに閉じる花を1時間ごとに配置したものである。この花時計を一目見て、 どの花が咲いているのか、あるいは、どの花が閉じているのかを観察すれば、地球上のその場所がいま何時かがわかる。つまり、花時計を通して花が知っている時間を人は教えてもらうことができるのである。では、それぞれの花がそれぞれ決まった時間に花開くことができるのはなぜであろうか?それは、花は自然が創り上げた時計を備えているからである。
花と同じように私達の体の中にも自然が創り上げた時計がある。概日時計と 呼ばれるこの時計は、約24時間の周期でリズムをうち、光や温度の変化を感知してリセットされ、体内で起こる様々なイベントのタイミングを調節している。 花が決まった時間に咲くように、ヒトは朝自然に目が覚め、花がある時刻が来ると閉じるように、ヒトも夜になると自然に眠たくなる。皮膚や心臓や血管を初めとして、腸や肝臓などのほとんどの臓器に体内時計をもった細胞があり、体の様々な場所に時計細胞が存在する。決まった時間におなかがすいて「腹時計」が鳴るのも、実は物理的な実体があるのである。このように体全身に無数に散らばっている時計細胞は、全体として統一的な時間を刻んでいる。
講演では、概日時計や睡眠時間の制御機構の解明の現状や生命科学の「現在」について紹介するとともに、細胞から少量多品種で個体を創りだす技術や、器官をまるごとイメージングすることを可能にする器官透明化などの技術を紹介し、これらの技術と質量分析技術とを組み合わせながら、どのように個体レベルのシステム生物学が実現していくかについて、時間生物学をモデルに議論したい。
 

A:創薬定量

トリプル四重極MSとOrbitrap MSを用いたリゾリン脂質の定量とイメージング解析
東北大学大学院  薬学研究科 可野 邦行先生

近年の脂質研究には質量分析計は必須であり、その技術の発展により、極々微量な生理活性脂質も分析可能となってきている。本分科会ではこれら脂質の中でもリゾリン脂質を主な解析対象とし、最新型トリプル四重極MSであるTSQ Altisを用いた高感度定量系に加え、Q-Exactiveに高性能MALDIイオンソースであるAP-SMALDI5を組み合わせた数µmレベルでの質量イメージングに関する最新の手法を紹介する。
 

高脂肪食誘発非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルラットのメタボロミクス解析
田辺三菱製薬株式会社 山﨑 真先生

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は様々な原因が引き起こす複雑な疾患であり、治療薬創製にはNASH病態の解明が必要不可欠である。我々は高脂肪食誘発NASHモデルラットについて、脂肪肝から肝線維化を起こすまでの経時的な肝臓を採取しメタボロミクス解析を行った。本公演では、確定診断である病理所見を教師とした内在性代謝物のプロファイリングとダイナミクスによるNASH病態解析結果を紹介する。
 

PAC-LC/HRMSを用いた抗体及び核酸医薬品定量法開発への取り組み
第一三共株式会社 合田 竜弥先生

近年は、抗体医薬品に加え、ペプチド、核酸等の中分子医薬品の開発が積極的に行われています。こらら標的化合物の生体試料中の高感度定量のために、有機溶媒によって惹起されるペプチドの吸着能の急激な変化と可逆性を利用したペプチド吸着制御LC (peptide adsorption-controlled LC; PAC-LC)とQ-Exactive plusとを組み合わせて検討した事例について紹介する。
 

B:低分子構造解析

高分解能質量分析とCompound Discovererを用いた新たな代謝物解析法の提案
九州大学 和泉 自泰先生

我々の研究室では,メタボロミクス分析法の高度化と未知代謝物の同定法の開発を進めている.当該フォーラムでは,高分解能質量分析 (Q Exactive) とCompound Discovererを基盤として開発した新規メタボローム解析法および外因性化学物質の代謝物探索法について広く紹介する。
 

質量分析を用いた受容体結合実験系の構築
小野薬品工業株式会社 松田 修一先生

GPCRは上市されている薬剤の約35%のターゲット分子であり、未だ新たな創薬標的になり得る可能性を有している。一般的に結合実験を利用したGPCRの化合物評価は、標識されたリガンドの作製が必要であり、スループットも低かった。
今回、我々はサイズ排除カラムと質量分析を組み合わせ、非標識化合物を利用した受容体結合評価系を構築した。本講演では、GPCRを題材とした評価系構築と、ハイスループット化への取組についてご紹介したい。
 

GC-Orbitrapメタボローム解析により広がる化合物カバレッジ
国立医薬品食品衛生安全研究所 齊藤 公亮先生

GCMS法は、豊富なライブラリーが存在するが、対象となる分子は低分子が多く、従来型のシステム(シングル四重極GC-MS)では、m/z値の近い分子は十分に分離できていない可能性がある。そこで本分科会では、メタボローム解析における精密質量ベースのシステム(GC-orbitrap)と従来型のシステム(シングル四重極GC-MS)の比較を紹介する。また、ICMS法やLCMS法とのカバレッジの相違を紹介する。
 

C:プロテオミクス

ラベルフリー定量のノウハウと活用
熊本大学大学院生命科学研究部 大槻 純男先生

プロテオーム解析において同定に加えて定量することが生命現象の解明、創薬ターゲットやバイオマーカーの同定に必須である。定量プロテオミクスではタンパク質をラベルし定量する方法と、ラベル化せずに定量するラベルフリー定量に大きく区別される。ラベルフリー定量はラベル化作業を省けることに加えて多検体間の比較が可能となるメリットがある。本講演ではMS1レベルの定量やdata independent acquisitionによる定量の比較や特徴、そしてラベルフリー定量を活用した成果について紹介する。
 

Applications of proteomics for drug discovery and development
第一三共RDノバーレ株式会社 久保田 一石先生

Proteomics has been emerged in late 1980s and markedly advanced through 1990s and 2000s. Currently it is very common to see reports using proteomics in prestigious biology or medical journals. We have tried to leverage this valuable technology into the process of drug discovery and development for more than 15 years. Here, we will present several examples of proteomics applications in pharmaceutical industry; especially focusing on new version of proteomic correlation profiling technology for target molecule identification from phenotypic screening and identification of drug-metabolizing enzyme by using activity-based protein profiling (ABPP) and tandem mass tag (TMT) technology.
 

創薬のための小規模でもできる大規模プロテオーム
理化学研究所 堂前 直先生

創薬研究において、マルチオミックス解析を行うことが多くなってきた。その他のオミックス解析に比べてもプロテオームはデータが膨大で、データ依存的解析(DDA)による同定は進むものの、網羅的な定量解析を得るには大規模な施設が必要であった。一般的に定量に用いられるデータ非依存的解析(DIA)では、高性能なデータベースの作成や数多くのMRMデータの処理など、小規模なラボで行うには障壁が高かった。最近、DDA解析のデータから直接定量情報を得る、label-free quantification (LFQ)を備えたソフトウエアが開発された。我々が従前に取得していたDDAデータを処理すると2000-3000程度のタンパク質の相対定量情報を得ることができ、パスウェイ解析ソフトで期待される経路の変化を認めることが出来た。加えて、最新機種の導入によりさらにより網羅性の高い解析が可能になったので、本講演では本法の特徴について解説を交えながら最新の解析結果を報告する。
 

特別講演

バイオロジカルマススペクトロメトリーと共に歩んだ30年間と今後
東京大学医学部/エーザイ株式会社 小田 吉哉先生

質量分析ではm/zつまり分子の大きさを知ることができ、物質の性質で分離分析を行うクロマトグラフィーと組みわせることで選択性が大幅に向上するため、複雑な成分を含んでいる生体試料分析に威力を発揮する。特に90年代から液体クロマトグラフィーとの組み合わせにより、その応用が一気に広がった。その後プロテオミクスやメタボロミクスによって得られるデータ量が膨大なものとなりアナログ的にデータを見る時代が終焉を迎えつつある。しかしデータ量ばかりに目を奪われてしまうとデータの質で痛い目に合うことがある。特にプロテオミクスやメタボロミクスでは同定数ではなく定量が重要であることを認識していない人も多い。当日はこれまでの経験と今後の取り組みについて紹介したい。
 


会場・お申し込み

7月27日(金)
インターコンチネンタルホテル大阪

大阪会場 お申し込み

8月3日(金)
東京コンファレンスセンター・品川

東京会場 お申し込み


展示内容