動物疾患、ウシ/畜牛
概要
アデノウイルスは、ウシアデノウイルス 3 型 (BAV-3) など 10 種類の血清型に分かれており、アデノウイルス科マストアデノウイルス属に属しています。 ウシアデノウイルス感染は主に畜牛の気道および消化管を標的とし、細胞溶解およびウイルスの放出に至ります。
糞便や呼吸器のウイルス放出は通常 10 日間続き、尿中ウイルスの排出は 10 週間以上に及びます。
BAV は特にアフリカや中央アメリカで広がっていますが、この病気の症例は世界中で報告されています。
兆候
BAV に感染した動物は、発熱、嗜眠、食欲減退、腹部膨満、下痢、タール状便、および体重減少など、多くの一般的臨床兆候を示します。 呼吸器系の兆候は、初期に鼻汁、咳 (喀血を伴うこともあれば伴わないこともある)、息切れ (呼吸困難) または速い呼吸 (多呼吸) が現れ、細菌の二次感染が起こると、気管支肺炎へと進行する場合があります。
ヒトの健康へのリスク
BAV には、人畜共通感染のリスクはみられません。
ベスノイチア症トップ
概要
ウシベスノイチア症は寄生原生動物 Besnoitia besnoiti により引き起こされる媒介生物の感染による疾患です。 この病気は、昆虫、特にアブおよびサシバエなどの刺咬虫を介して動物から他の動物へ広がります。 全ての畜牛種が性別年齢を問わず感染します。
兆候
畜牛は重症な臨床兆候を示しますが、羊の場合はしばしば無症候です。 感染した畜牛は、さまざまな進行段階を経験し、皮膚の肥厚および膨張、脱毛や皮膚の壊死など、幅広い兆候を伴います。雄牛は不妊になる場合があります。 重症の場合、この病気は死に至ることもあります。
嚢胞 (直径 200 ~ 600 µm) が感染した動物の皮下組織、筋膜、および粘膜に見られ、宿主である動物の体内で 10 年以上に渡り生存することができます。
ヒトの健康へのリスク
ベスノイチア症には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
Besnoitia besnoiti 感染は罹患率および死亡率が高いことから、特に牧畜業者にとっては甚大な経済的損失が発生します。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ブルータングウイルス (BTV) トップ
疫学
ブルータング、別名カタル熱は、レオウイルス科オルビウイル属の 2 本鎖 RNA ウイルスにより引き起こされます。 この病気は、昆虫を介して野生および家畜の反すう動物、特に羊に感染する非伝染性疾患です。
兆候
羊は感染後 7 ~ 8 日間で、高熱、嗜眠、および群れからの自主孤立などの急性兆候を現します。 発熱後すぐに頬粘膜が赤く腫れ、泡沫状の唾液が多量に生じます。 舌が膨らみ、場合によっては蒼白化します (本疾患名の由来) 。 爪先が赤くなり、痛みを伴います。 感染した動物は足が不自由になり、雌羊の場合は流産する場合もあります。 ほとんどの場合、成長が遅れ、毛が失われます。 重症の羊は、感染から 8 ~ 10 日で死亡する場合があります。
牛や山羊では、感染は通常、無症候性です。 畜牛で兆候が見られる場合、異常高熱、妊娠後期 (8 ヶ月) の流産、浮腫 (乳房、乳頭、外陰、膝) 、および紅斑 (粘膜、乳頭、乳房) が一般的です。
BTV の伝播
ブルータングは 1876 年に南アフリカで初めて報告されました。 当初はアフリカに限定された病気と考えられていましたが、最近の 10 年間で、この病気はアジア、米国南部、オーストラリア、および南ヨーロッパにまで広がっています。 ブルータングウイルスの血清型は計 24 種類が知られており、その内の 8 種類 (血清型 1、2、4、6、8、9、11、および16) はヨーロッパで報告されています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ウシ RS ウイルス (BRSV/RSV) トップ
疫学
ヒツジ RS ウイルスはパラミクソウイルス科に属する肺炎ウイルスです。 このウイルスはヒト RSV の近縁種で、多くの場合、子供の気道に感染します。 双方共に 1 本鎖 RNA 外皮膜ウイルスです。 牛の場合、RSVは若い牛や乳牛に呼吸器感染を引き起こします。 このウイルスは主に下気道 (肺葉) に存在し、通常は微生物の侵入から肺を守っている線毛上皮細胞を損傷します。 RSV 感染は、特に Pasteurella haemolytica および Corynebacterium pyogenes などの二次細菌感染に繋がることがよくあります。
兆候
この病気の兆候として、高体温、咳、鼻汁および眼漏、食欲減退、および (病状が致死的肺炎にまで進行している場合は) 呼吸困難が現れます。 乳牛の場合は乳汁分泌量が減少します。
伝染
RSV は鼻汁を介した直接接触で伝染します。冬場の小屋内など、空間的に近い環境や、搾乳室において舐められるなどすると、蔓延しやすくなります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
牛ウイルス性下痢症 (BVD)トップ
疫学
BVD ウイルスは、ペスチウイルス属に属する低分子 1 本鎖 RNA ウイルスです。 その他 2 種類の動物ウイルスがペスチウイルス属に属し、一つは羊にボーダー病 (BD) を引き起こすウイルスで、もう一つは豚にブタコレラ (CSF) を引き起こすウイルスです。牛ウイルス性下痢症 (BVD) を引き起こすこのウイルスは、 1946 年に初めて確認されました。 この病気は世界中で確認されており、このウイルスに曝された動物の罹患率は、国や地域によって 30 ~ 80 % となっています。
BVD は牛の生殖能力に影響します
BVD の感染は牛の生殖能力を損ない、妊娠後 1 ~ 2 ヶ月の牛が感染すると、胚死亡に続いて発熱が再誘発されます。 妊娠期を通して、流産や先天性異常も起こり得ます。
BVD-PI 動物が感染の保有宿主となります
このウイルス属に胎内感染すると、一般的に、一生涯免疫寛容(BVD 持続感染 (BVD-PI))なままの感染仔が生まれ 、群れを通じてウイルスが広がります。 BVD-PI 動物 (すなわち、妊娠 2 ~ 4 ヶ月で感染した動物) は、その生涯にわたってウイルスを保持し、多量のウイルス粒子を常に排出することになります。 そのため、BVD-PI 動物の集団は、他の感染していない牛にとって主な感染源となります。 さらに BVD-PI 動物は、遅かれ早かれ粘膜病 (MD) と呼ばれる 致死性の BVD を発症します。 感染牛の内の BVD-PI 動物の数は 1% 台で (但し、27% にまで達する場合もあります) 、それらの動物を検出することがペスチウイルス症抑制の基本となります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
牛伝染性鼻気管炎 (IBR)/牛ヘルペスウイルス (BHV)トップ
疫学
IBR は気道に感染するヘルペスウイルス (BHV-1) により引き起こされ、気道疾患 (気管炎および鼻炎)、発熱、流産、および不妊の症状が現れます。 この病気が群れに急速に拡大すると、死に至る場合もあります。 IBR は呼吸器、眼、および生殖器からの分泌物へ直接接触することで伝染します。
IBR ウイルスは免疫抑制作用を有しており、感染により宿主が細菌に二次感染しやすくなります。 また、感染には潜伏期間があり、一次感染による症状が消失していても、ウイルスは依然リンパ節に存在し、再び活性化し体全体に蔓延する場合があります。
発生率と有病率
この病気の発生率および有病率は地域によって異なりますが、世界中に存在しており、成牛の 50% 近くが既に、この病気に曝されています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ブルセラ症トップ
概要
ブルセラ症はブルセラ菌により引き起こされる感染症です。 最も懸念されるブルセラ菌種として、主に牛に感染するB. abortus 、主に羊や山羊に感染するB. melitensis 、主に豚に感染するB. suis があります。 これらすべてのブルセラ菌種は宿主非特異的で、好適な条件下で他の動物やヒトに伝染することもあります。
ブルセラ症は通常、感染しやすい動物が感染した動物と直接接触することで、または、感染動物の排出物で汚染された環境で伝染します。 したがって、ブルセラ症は牛や羊などの群れにおいて問題となります。
ブルセラ症は届出疾患ですので、発生時には地域の衛生当局へ報告する必要があります。 種や感染率によって、感染の有効な撲滅手段が異なります。 発生率が高い場合は、感染率を低下させるためにワクチン接種プログラムが必要となります。 ワクチン接種プログラムの実行後は、感染した動物の処分に関連する監視プログラムが導入されます。 これらのプログラムにより、特定地域または国全体は「ブルセラ症フリー」および「公式なブルセラ症フリー」状態となります。 ヨーロッパでは、人畜共通感染症の監視に関する EU 指令 2003/99/EC により監視が規定されています。
兆候
ブルセラ菌感染の兆候として、乳汁産生の減少、体重減少、流産、不妊、および歩行障害が挙げられます。 ブルセラ菌の摂取は、経口や創傷や粘膜からの侵入があります。 ブルセラ菌は主に流産した胎仔組織や胎盤、精液や乳と共に排出されます。
場合によっては、時間の経過と共に回復することもあります。 しかし、大抵の場合、兆候は現れなくなるものの、病気自体は蔓延していきます。 こういった無症候の動物が危険な感染源となります。
ヒトの健康へのリスク
生乳や低温殺菌を施していないチーズが、ヒトへの感染源のもっとも代表的なものです。 牧場労働者や獣医師は、流産時の感染した排出物に直接曝されるため、感染リスクが高い状況下にいます。 通常、ヒトでは感染は致死性ではありませんが、治療を受けないままでは、この病気は長年にわたって持続する場合があります。
潜伏期間は通常 1 ~ 3 週間ですが、時には数ヶ月に及ぶ場合もあります。 患者には、起伏のある発熱、悪寒、倦怠感、頭痛などの非特異的症状が現れます。
経済的影響
ブルセラ症は、世界中の多くの地域で公衆衛生および動物衛生の大きな課題です。 感染した動物が死に至ることは希ですが、この病気がもたらす経済的損害を考えると、ブルセラ症は世界中でもっとも深刻な家畜病と言えます。
この人畜共通感染症は、多くの国々で根絶され、あるいは根絶されつつありますが、依然、地中海地域、アフリカ、アジア、南アメリカでは存在しています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
クラミジア症トップ
反すう動物におけるクラミジア症は、トリやヒトへも感染する細菌起因の伝染病です。 クラミジア症は、反すう動物に流産、早産、肺炎、結膜炎、および関節炎を引き起こすことがあります。 主な感染経路は汚染したエアロゾルの吸入ですが、胎盤や羊水、糞便、尿、および乳から大量の細菌が排出され、生まれたてや若い反すう動物、成長した反すう動物に伝染します。 クラミジア属分類は Everett 氏により 1999 年に再分類されました。 この新たな分類では、この種は次の二つの属に分割されています。
- クラミジア属。C. trachomatis (ヒト)、C. suis (豚)、および C. muridarum (マウスおよびハムスター) を含みます。
- クラミドフィラ属。Cp. abortus (哺乳類)、Cp. psittaci (鳥)、Cp. felis (猫)、Cp. caviae (モルモット), Cp. pecorum (哺乳類)、および Cp. pneumoniae (ヒト) の 6 種から成ります。
反すう動物では、次の 2 種が確認されています。 Cp. abortus (流産の原因) および Cp. pecorum (無症候性の消化管感染、肺炎、結膜炎)です。 妊婦の場合は C. abortus によって、重篤な合併症と共に流産を誘発する場合があります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Clostridium perfringens (ウェルシュ菌)トップ
概要
芽胞形成性嫌気性細菌であるウェルシュ菌は通常、土壌やさまざまな家畜の消化管に見られ、6 種類 (A、B、C、D、E、および F) に分類されており、その内、B、C、および D 型が、この病気のもっとも多い型です。
ウェルシュ菌が少量の場合は、発症すること無く、動物の消化管にとどまることもありますが、消化管をそのまま通過することも珍しくありません。 しかし、動物が多量に糖質 (乳汁、補助濃縮物など) を摂取すると、ウェルシュ菌の数は急激に増加し、急死に至るほどの大量の毒素を発生します。
B 型は仔羊赤痢とも呼ばれており、仔羊で高死亡率を示し、仔牛の病気にも繋がります。
C 型は通常、畜牛、小型反すう動物、および豚に感染し、出血性および壊死性腸炎を誘発します。
D 型は髄質様腎疾患または食べ過ぎ病とも呼ばれており、小型の反すう動物および牛に関わっています。 ウェルシュ菌の A 型および C 型は、仔馬に腸炎 (小腸および大腸の膨張) も引き起こし、クォーター馬などの牧畜馬が感染しやすい細菌です。
兆候
この病気は侵襲性が強く、急死を引き起こすため、感染した動物で臨床兆候を確認することが困難となる場合があります。 死亡前に動物の詳細な検査を行うと、ウェルシュ菌感染は、興奮、回転行動、頭部の打ち付け、痙攣、気力低下、下痢、疝痛、授乳への無関心など、さまざまな兆候を示します。
ヒトの健康へのリスク
ウェルシュ菌には、人畜共通感染のリスクはみられません。
ウシコロナウイルス (BCV) トップ
概要
BCV は外皮膜1 本鎖 RNA プラス鎖ウイルスで、世界中で反すう動物の腸および呼吸器へ感染するコロナウイルス科に属しています。 感染は、成長した動物に冬季赤痢を引き起こし、仔牛の場合は腸炎と流行性肺炎が複合して発症します。 ウシコロナウイルスは糞口や呼吸経路で感染し、通常、感染した動物の糞便を通じて (特に出産時) ウイルスが排出されます。
BCV は上気道でも繁殖し、再発性の呼吸器感染や胃腸感染を引き起こします。 野生の反すう動物が感染した場合は、病気が家畜に伝染する可能性があります。
兆候
BCV の兆候として、下痢、タール状便、消化不良、食欲減退、体重減少、摂餌低下、鬱、脱水症が挙げられます。 さらに、BCV は、鼻汁、咳、息切れ (呼吸困難)、および速い呼吸 (多呼吸) などのさまざまな呼吸器兆候を現します。
ヒトの健康へのリスク
BCV には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
フィードロット牛のウシ呼吸複合感染症や、乳牛の急性腸疾患により、経済的損失や甚大な経済的影響が生じる可能性があります。
コクシエラ菌/Q熱トップ
疫学
Q (Query、英語の不明に由来) 熱は、至る所に存在する人畜共通感染症で、(ニュージーランドを除き) 世界中で発見されています。 Q 熱は偏性細胞内寄生性細菌である Coxiella burnetii (コクシエラ菌) により引き起こされます。この菌は、反すう動物、犬、猫、鳥、節足動物、およびヒトなど、多くのさまざまな動物種に感染します。 反すう動物 (ヒトへの感染の主な保有宿主と考えられています) では、この病気は主に生殖機能障害と関連しています。 通常は無症候のままで、動物が何度も流産するか、生殖機能に問題がない限り、検査されません。 コクシエラ菌は胎盤に寄生し、早産、低出生体重、流産を引き起こします。
Q 熱のヒトへの影響
ヒトへの主な感染経路は汚染されたエアロゾルの吸入ですが、妊婦は低温殺菌処理されていない牛乳を飲んだり、未処理の牛乳から作られた乳製品を食すべきではありません。 Q 熱は、インフルエンザ様症候群と誤診されることがあるため、気付かれないことが多い病気です。 妊婦や免疫不全者、心臓弁膜症を罹患している患者では病状は深刻で、妊婦の場合は流産や早産を引き起こします。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
クリプトスポリジウム症トップ
概要
クリプトスポリジウム症は、感染した動物の排泄物を経由して排出される微小腸内寄生虫により引き起こされます。 この寄生虫は世界中で発見されており、通常は他の腸管病原体と協働し、仔豚、仔山羊、仔羊、および仔馬などの新生家畜動物に下痢および腸管障害を引き起こします。
コロナウイルスやロタウイルスなどの他の病原体と同時感染することにより、深刻な下痢を発症することが研究により明らかにされています。 クリプトスポリジウム症の死亡率は通常低いですが、初乳や乳汁の低摂取、同時感染、悪天候による冷感に起因するエネルギー不足に陥っている動物など、他の因子が合併する場合は死に至る場合もあります。
この病気の伝染は、動物から動物への直接伝染、環境汚染、水や食物の糞便汚染、またはヒト伝染などの間接的な伝染により起こります。 仔牛の感染は生後 5 日ほどで検出でき、生後 5 ~ 15 日で下痢を発症します。
小型の反すう動物では、深刻な集団下痢を発症する場合があり、生後 4 ~ 10 日の仔羊や生後 5 ~ 21 日の仔山羊では死亡率が高くなります。
豚の場合、クリプトスポリジウム症は一般に重大な腸内病原菌とは見なされていませんが、幅広い年齢幅 (生後 1 週間から出荷日齢まで) で感染が見られ、感染した豚では離乳後吸収不良性下痢が引き起こされる場合があります。
仔馬の場合、クリプトスポリジウム症は余り広くは流行していませんが、感染が起こる場合は、生後 5 ~ 8 週間ほどの期間に感染します。
兆候
クリプトスポリジウム症の兆候は、数日間続く下痢、大幅な体重減少、衰弱、無気力、食欲不振、および脱水症などを含みます。
ヒトの健康へのリスク
クリプトスポリジウムは、免疫正常者 (子供など) では下痢の一般的な非ウイルス性の原因となり、免疫不全者では深刻な健康被害が生じ得ます。 この病気は、感染した動物からヒトへ直接伝染し、感染した動物の排泄物で汚染された地表水や飲料水を経由してクリプトスポリジウム症が伝染するリスクもあります。
大腸菌 F5 (K99)トップ
概要
大腸菌は、仔牛の下痢の原因となる細菌で、さまざまな菌株に起因する 2 種類以上の下痢症状があります。 その一つは、下痢の発症に関連する二つの病原性因子を有し、K99 や F41 などの線毛抗原により小腸の絨毛に寄生します。
これら腸管病原体は、A/E障害と呼ばれる特徴的な病変を引き起こすことでも知られており、深刻な出血性下痢を引き起こすベロ毒素を産生する場合があります。 結腸、盲腸、および遠位小腸に感染し、浮腫、粘膜びらん、および潰瘍を引き起こします。
伝染経路は、呼吸器からのエアロゾル、糞便からのエアロゾル、糞口などです。 健康な菌保有牛は周期的に糞便中にこの菌を排出し、出産時のストレス下では、菌の排出量が増加する場合があります。 これらの条件により、汚染された出産環境下では、雌親の乳房や会陰の感染が生じます。 あるいは、仔牛がこすり付けることにより、飼育エリアにおける深刻な汚染に繋がります。
兆候
K99 を有する大腸菌により、生後 <5 日の子牛で大量の下痢が突然発症し、抑鬱状態になったり、横臥位を取るようになったりします。 仔牛は深刻な体重減少 (体重の >12%) を示し、24 時間以内に体液量減少性ショックや死に至る可能性があります。
ヒトの健康へのリスク
畜牛は、ヒト溶血性尿毒症症候群や出血性大腸炎の原因となる血清型ベロ毒性大腸菌の保有宿主になる場合があります。 汚染食品の消費により感染しますが、家畜の腸内病原体も、動物園、牧場ツアー、または家畜市場への訪問時に直接接触でヒトへ伝染する場合があります。
地方病性牛白血病 (EBL)トップ
概要
EBL は、レトロウイルスであるウシ白血病ウイルス (BLV) により引き起こされる、牛の慢性疾患です。 この病気は、血液、精液、乳汁を介したリンパ球の循環により直接的に伝染し、昆虫を介して間接的にも伝染します。 この病気の蔓延は速くありませんが、集団感染すると、血清陽性動物の数は 80% に達する場合があります。
有病率は国ごとに異なりますが、世界中で発生している病気です。
兆候
EBL の臨床兆候は感染した動物の一部に現れます。通常は 4 ~ 8 才の牛に兆候が現れ、ごく希に 2 才未満の牛にも兆候が現れます。 臨床兆候としては、体調不良、持続性リンパ球増多症、脾臓および肝臓の膨張が挙げられます。
後に免疫複合体病が起こり、感染した動物の 1 ~ 10% のみにリンパ性肉腫が発症します。 感染した動物は体調不良を起こし、最終的に死に至ります。
他のレトロウイルス感染症と同様に、感染した動物は生涯に渡り感染したままです。 BLV は動物の健康および福祉に深刻な影響を与えます。 多くの国々で EBL は届出疾患となっています。
ヒトの健康へのリスク
EBL には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
この病気は、リンパ肉腫の結果として早期での殺処分や死亡、大量処分時の死体の収容があるため、生産者にとっては経済的に深刻な病気で、乳業および畜産業に大きな打撃を与えます。
輸出制限による損失も、この病気のもう一つの経済的懸念事項です。
流行性出血熱 (EHD)トップ
疫学
EHD は、レオウイルス科オルビウイルス属 (ブルータングウイルスと同様) に属するウイルスにより引き起こされるベクター媒介の伝染病です。 8 ~ 10 種類の血清型が確認されています。
伝染
このウイルスは、主にヌカカ科ウシヌカカ属の小型吸血性双翅類に刺されることで伝染します。 媒介生物は、感染した動物への吸血で感染し、他の感染しやすい動物に伝染するために必要な密度に達するまでウイルスが複製されます。
兆候
EHD ウイルスは牛に感染し、ブルータングの兆候に類した兆候 (発熱、びらん性病変、口腔咽頭粘膜の潰瘍、筋肉の凝り、衰弱、皮膚の浮腫) が現れます。 妊娠している牛では、妊娠 70 ~ 120 日の間に感染した場合、流産や水無脳症を引き起します。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
肝蛭トップ
概要
肝蛭 は、牛や羊など世界中で幅広い宿主中に見られます。感染には三つの形態があり、一つ目は慢性的なもので、羊では高い死亡率を示しますが、仔牛での死亡例はほとんど見られません。二つ目は急性的なもので、羊で多くが死に至ります。三つ目は伝染性壊死性肝炎などの二次感染との複合的なもので、羊ではしばしば死に至ります。
この病気は、感染したモノアラガイ科の巻き貝から排出される被嚢セルカリアを含んだ水生植物を摂取することにより伝染します。 摂取後、吸虫の幼生が動物の十二指腸中に放出され、肝臓を経由し、最終的には柔組織に数週間宿り、そこで成長しながら組織を破壊します。
牛では、ほとんどの吸虫は<6 ヶ月で除去されますが、羊の場合は、成長した吸虫は胆管内に数年間生息することができます。
兆候
急性肝蛭の場合、通常は感染後 6 週間で、腹部の膨張、貧血、突然死などが兆候として現れます。 この病気の亜急性の兆候は通常、貧血および出血で、感染後7 ~ 10 週間で死に至ります。
慢性肝蛭の兆候は、貧血、浮腫、乳汁分泌の減少などです。
ヒトの健康へのリスク
肝蛭は、流行地の汚染飲料水や淡水植物の摂取、調理が不十分な羊の肝臓の摂取によりヒトに伝染します。 感染物の摂取後、セルカリアが十二指腸内で被嚢し、やがて幼虫になり、最終的には肝臓組織から胆管に侵入します。
経済的影響
肝吸虫は、牛および羊の飼料効率、成長、生殖能力に障害を来たすことで甚大な経済的悪影響を及ぼす可能性があります。
口蹄疫 (FMD)トップ
概要
FMD は、あらゆる偶蹄類動物に感染する伝染性の高いウイルス性疾患で、世界中に蔓延しています。 FMD は、豚水胞病 (SVD) などの他の水疱病と臨床的に区別することができません。
このウイルスは、ピコルナウイルス科アフトウイルス属に属しています。 FMD ウイルスには、次のような七つの血清型が存在し、 それは、O、A、C、SAT 1、SAT 2、SAT 3、Asia 1 です。 どの血清型に感染しても、他の血清型に対する免疫は得られません。
家畜のうち、牛、豚、羊、山羊が FMD に感染しやすい動物です。
兆候
FMD の臨床兆候として、足の上、口腔内および口腔周囲、メスの乳腺上に小疱 (小水疱) が現れます。 小水疱は鼻孔内および四肢の圧点にも発生し、特に豚で見られる症状です。
一般には、感染した動物と感染しやすい動物との接触によって伝染します。 このウイルスは、感染の急性期において空気中に放出されます。
ヒトの健康へのリスク
FMD には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
感染した動物の大量の処分や、感染地域からの食肉輸出制限が発生することから、FMD の存在は畜産業者にとって、きわめて大きな経済的脅威となります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
レプトスピラ症トップ
概要
レプトスピラ症は世界中で発生し、一般的には熱帯気候地域で報告されていますが、雨期には温暖気候地域でも観察されます。 レプトスピラ症は主に豚、牛、および馬に感染し、軽症状の感染から死に至る臓器不全まで、幅広い臨床影響が現れます。
この病気は野生哺乳類の間で罹患率が高いにもかかわず、野生生物が一般的な家畜や牛馬類に対する感染源となった場合にのみ発見されることが多いのが特徴です。 レプトスピラ症は、胎盤を介して、または性行為により伝染しますが、多くの場合は、感染した乳汁、尿、胎盤液との直接接触により伝染します。
兆候
レプトスピラ症の兆候は、動物集団の免疫力、感染動物の年齢、および感染血清型に応じて大きく異なります。 感染血清型に関しては、レプトスピラ症を引き起こす >220 種類のレプトスピラ属病原性血清型が存在します。
一例として、牛は Leptospira hardjo-bovis の保守宿主で、これは、動物の腎臓に感染し、長期にわたり尿から排出されます。 L. hardjo-bovis は、持続性生殖器系感染を引き起こし、牛の不妊を招きます。
grippotyphosa、icterohaemorrhagiae、pomona などの他のレプトスピラ血清型では、牛が偶発的宿主となり、嗜眠、黄疸、発熱、貧血、および血尿など、さまざまな臨床兆候が現れます。 通常、成牛はレプトスピラ症で死に至ることはありませんが、子牛の場合は死亡する場合があり、妊娠中の牛に感染すると、流産、死産、虚弱な仔牛の出産に繋がります。
ヒトの健康へのリスク
レプトスピラ症は人畜共通伝染病と考えられており、感染した動物の尿や体液で汚染された水や土壌に接触することでヒトへ伝染する場合があります。
経済的影響
持続性生殖器系感染により引き起こされた生殖能力の低下は、レプトスピラ症の最大の経済的損害と考えられます。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ウシマイコプラズマ病トップ
疫学
マイコプラズマ病は、そのほとんどが宿主特異的で、ヒトや動物の体内でゆっくりと進行する慢性疾患を引き起こします。 細菌 Mycoplasma agalactiae は、小型反すう動物に多い病原体で、獣医学において重要な細菌です。 羊では、この病気は常に M. agalactiae によるものですが、山羊では、他のマイコプラズマ種 M. mycoides や M. capricolum により同様の病気が発症します。
兆候
Mycoplasma agalactiae は、伝染性乳汁分泌不良の病原体です。ヨーロッパの羊や山羊のマイコプラズマ病の主な病原体で、乳業に深刻な打撃を与えます。 抗生物質でこれらの感染を根絶することが難しい場合も多く、食用動物では、マイコプラズマ病は甚大な経済損失の原因となっています。
伝染
主に経口または授乳により感染し、潜伏期間は 2 週間 ~ 2 ヵ月です。
M. agalactiae の近縁種
M. bovis は M. agalactiae の近縁種で、牛の呼吸器病変および乳房病変の原因となっており、(子牛の肺炎、乳腺炎、関節炎の原因となるため) 経済的観点からも重要です。 これら二つの病原体は、それぞれの宿主で同様の兆候を示し、両者は極めて近縁な関係であることから、従来の診断法で両者を区別することは困難です。
ネオスポラ症トップ
疫学
Neospora caninum は犬で最初に観察された寄生原生動物で、筋炎や脳炎を引き起こします。 しかし 1990 年代に、ネオスポラは妊娠 4 ~ 7 ヶ月の牛の流産の主原因であることが発見されました。 集団感染した牛の数に応じて流産率は 5 ~ 30% となり、流産率が高い場合は、妊娠 1 ヶ月未満での流産が続くことが特徴です。
伝染
寄生虫の伝染方法は十分に解明されていませんが、主な経路は母体から仔への伝染と考えられます。血清反応陽性の感染雌牛から生まれた仔の 80% 以上が感染しています。 さらに、ネオスポラの牛への伝染には犬が媒介している可能性も示唆されています。 この感染は世界中で知られており、国によっては (BVD や IBR 以上の) 牛の流産の主原因となっています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
パラ結核 (ヨーネ病)トップ
概要
パラ結核は、ヨーネ病としても知られており、Myobacterium avium spp. paratuberculosis (略称 MAP) により、反すう動物の小腸内に引き起こされます。 パラ結核は世界中で、動物の健康衛生問題となっており、特に肉牛や乳牛に影響します。
パラ結核は慢性消耗性腸炎を引き起こし、動物がパラ結核に集団感染すると、生産面に深刻な影響を及ぼします。
臨床感染診断は通常、糞便や腸組織の解剖で原因微生物 M. avium ssp. paratuberculosis の検出により確認されます。 動物が無症候性疾患の場合は同定が難しく、長期にわたって原因菌が排出され他の集団にとっての感染源となります。 ヨーロッパの牛パラ結核の有病率は国によって異なり、7% ~ 55% となっています。
兆候
通常、慢性的な腸炎、腸間膜リンパ節病変、下痢、体重減少、および浮腫が、病気が進行した 2 才以上の動物に現れます。
ヒトの健康へのリスク
パラ結核の原因細菌である M. avium ssp. paratuberculosis は、牛乳や他の乳製品の低温殺菌でも生き残ることが知られており、それゆえ、ヒトに対する健康リスクとなります。 近年のさまざまな科学的証拠から、乳牛におけるパラ結核と、ヒトのクローン病との間に関連があることが示されています。 クローン病は不治の慢性炎症性腸疾患です。
経済的影響
家畜のパラ結核により、生産の低下、早期処分、および獣医関連コストなど、複数の因子による甚大な経済損失が生じます。 パラ結核の存在は牛および牛製品の世界市場に影響を与え、その結果、生産者に経済的な損失を生むことから、米国ではパラ結核が家畜産業の懸念事項となっています。 その結果、牛の自発的ヨーネ病集団状態プログラム (VJDHSP) が設立されました。 2002 年 4 月に USDA-APHIS- 獣医サービスはこのプログラムを国の標準プログラムに組み込みました。
ヨーロッパ連合では、所定の公式プログラムは存在しませんが、国ごとの指針が適用されています。 オーストラリアでは、ヨーネ病の拡散および影響を軽減する目的で、国立ヨーネ病管理プログラム (NJDCP) を整えています。 これは、オーストラリア国内の畜産業、政府、および獣医専門家を含めた協同プログラムです。 オーストラリア動物衛生協議会が主要な利害関係者代わって、このプログラムの運営管理を行っています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
リフトバレー熱 (RVF)トップ
概要
RVF はブニヤウイルスによって引き起こされる疾患と分類されており、アラビア半島、アフリカ、およびマダガスカルにわたって反すう動物に感染する急性人畜共通感染症です。 流行期には、若い動物での流産率および死亡率が高く、ヒトの場合は、インフルエンザに似た症状が現れます。
RVF は、ウイルスに感染した動物の移動や、風で運ばれた幅広い種の蚊により伝染します。 RVF の症例は一般に夏にピークに達し、初霜の時期に媒介昆虫が死滅し、病気が消えます。 温暖な地域では、病気および媒介生物は一年中存在する場合があります。
兆候
RVF の一般的な兆候としては、嗜眠、発熱、食欲不振、腹痛、黄疸、および下痢が挙げられます。 時として、流産のみが動物が示す感染兆候となることもあります。
ヒトの健康へのリスク
感染した動物の組織や中絶した胎児との接触、蚊に刺された場合、あるいは、感染動物の処分中に、飛散した血液噴霧に接触することで、ヒトが RVF に感染する可能性があります。
ロタウイルストップ
概要
ウシロタウイルスはコロナウイルスと共にレオウイルス科に分類されており、仔牛の下痢の >50% はこのウイルスが原因です。 ロタウイルスは牛に多いウイルスですが、豚、鶏、羊、馬、ウサギなども、この病気に感染しやすい動物です。
このウイルスは小腸を通じて体内に入り、絨毛を損傷することで、動物の体内へ物質を効率よく吸収させることを困難にします。 このような状況下では上皮細胞や体は水分が失い、その結果、著しい脱水を引き起こし、脱水症や衰弱が顕著な場合には死に至る可能性もあります。
感染していない動物が、感染動物の排泄物や汚染飼料に口腔接触したり、衛生状態の悪い環境に居ることで伝染するのが一般的です。 兆候や症状が現われている牛は 1 週間にわたりウイルスを排出しますが、牛の中には再感染して、生涯にわたりウイルスを排出し、無症候の状態を維持する場合もあります。
兆候
ロタウイルスの主な兆候は、粘液、血液、またはその両方を含んだ水様の黄色下痢便です。 さらに、感染動物は嗜眠になったり、飲食に興味を持たなくなる場合もあり、その結果、動物種や環境に応じて軽度から重度の脱水状態になります。
ヒトの健康へのリスク
ウシロタウイルス株およびヒトロタウイルス株は宿主特異的であり、他の種への伝染リスクは無いと考えられています。
経済的影響
幼い反すう動物の高い罹患率および死亡率、また、治療費用の発生、成長率の低下などにより、著しい経済的損失が生じる場合があります。
サルモネラ症トップ
概要
サルモネラ症はサルモネラ菌により引き起こされる感染症です。 サルモネラ症は世界中の国々で確認されていますが、畜産業が集中している地域、特に豚、仔牛、ある種の家禽を畜産しているエリアでもっとも蔓延しているように見受けられます。
この病気はあらゆる家畜に感染しますが、もっともこの病気に罹りやすいのは若い動物や、妊娠中あるいは授乳期の動物です。 臨床兆候として、流産、関節炎、呼吸器疾患、および急性敗血症が見られます。 腸疾患はもっともよく現れる臨床症状で、発熱を伴う血液の混じった水様下痢を呈します。
多くの動物、特に豚、牛、家禽が感染しやすいですが、臨床疾患は現れません。 このような動物は、羊や山羊などの集団と牛の集団との間での感染の広がりに関して重要で、また、食品汚染源やヒトへの感染源としても重要です。
兆候
典型的な臨床兆候として発熱、重度の水様下痢が見られ、それらに続いて急激な脱水症状を伴います。 下痢は悪臭を放つことが一般的で、血液や粘液を含む場合があります。 サルモネラ菌は毒素を産出し、この毒素が消化管を冒し、全身的作用を及ぼします。 腸粘膜の損傷が顕著な場合は細菌が血流に侵入することもあり、その結果、敗血症を発症します。また、細菌は、脳、肺、関節、子宮 (妊娠中の牛に流産を誘発します)や他の臓器にも広がります。
ヒトの健康へのリスク
サルモネラ症は、ヒトに深刻な臨床症状を引き起こすもっとも重大な人畜共通感染症の一つです。 豚、牛、家禽、および卵類がサルモネラ菌感染の重要な感染源と考えられています。 この病気の存在は、ヒトの健康にとって重大なリスクとなります。 食品産業用動物のサルモネラ菌感染はヒトのサルモネラ菌感染の主な原因であることから、それは公衆衛生にとって重大な事態となります。
経済的影響
サルモネラ症は世界中の家畜産業に深刻な経済的影響を及ぼします。 家畜大量死、治療費用、流産、生産性の低下、廃棄乳、および消費者の信頼低下など、すべてがサルモネラ菌によって家畜産業にのし掛かるコストとなります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
シュマレンベルクウイルストップ
疫学
シュマレンベルクウイルスはブニヤウイルス科オルソブニヤウイルス属に属し、アカバネウイルス、アイノウイルス、およびシャモンダウイルスの近縁種です。 このウイルスは、2011 年 11 月にドイツで初めて同定されました。 牛および羊の宿主からの複数のサンプルで発見され、非定型的症状を示し、当時は既知の疾患の特徴は現れていませんでした。
兆候
このウイルスがもたらす、世界規模の動物衛生に影響する臨床症状は軽度で、高体温、食欲不振、乳汁産生の低下、場合によっては下痢などを発症します。 妊娠中のメスの反すう動物が感染すると、奇形児 (水頭症など) が生まれる場合があります。
診断
ウイルス検出は、中絶した胎児の脳を用いて実施することが望ましいですが、ウイルスは血液、血清、脾臓でも検出されます (FLI—ドイツ国立リファレンス検査機関)。
伝達性海綿状脳症 (TSE)トップ
概要
TSE は脳の感染症で、ウシ海綿状脳症 (BSE、牛に感染)、スクレイピー (山羊および羊に感染)、慢性消耗病 (CWD、鹿に感染) など、さまざまな形態で動物種に感染します。 この病気は、化学物質および熱に耐性のある変性プリオンタンパク質により引き起こされ、生物的に分解することが非常に困難であるため、土壌中で数年間も生存することがあります。
この病気は世界中で報告されており、BSE はヨーロッパでよく観察され、CWD は北米でもっとも流行しています。 TSE は、徐々に中枢神経系に変性を来たし、最終的には動物は死に至ります。また、この病気に感染した時点から最初の症状が現れるまでに相当の時間を要することも珍しくありません。 例として、感染してから、牛では最大 6 年間も臨床症状が現れない場合があり、羊では最大 4 年間兆候が現れないことがあります。
牛のBSE 感染は、汚染された肉骨粉飼料の摂取により起こります。 牛と牛との間で伝染することは無いと思われますが、複数の証拠によると、感染した母牛から生まれた仔牛は、母子感染のリスクの可能性があることが示されています。 発症機序の詳細は不明ですが、経口暴露によって病原体が侵入した後、回腸のパイエル板の中でプリオンタンパク質が複製され、末梢神経を経由して中枢神経系に移動することが、複数の研究により分かっています。
兆候
TSE の臨床兆候は潜行性の場合が多く、神経過敏、攻撃性、うなだれ、運動失調、振戦、接触過敏 (知覚過敏) などの症状が現れます。 また、搾乳に抵抗を示したり、体重減少が起こり、乳汁生産も低下します。
ヒトの健康へのリスク
ヒトの場合、BSE に汚染された食品を消費することにより、クロイツフェルトヤコブ病 (CJD) として知られる TSE 形態を発症することがあります。 ヒトの食物連鎖からハイリスクな牛組織を除去するための新たな取り組みが始まっています。牛のタンパク質を含む製品 (化粧品、医薬品など) に関しては、原材料がBSE フリー地域からを調達されていることを保証するための、さまざまな手段が講じられています。
経済的影響
BSE やスクレイピーに関係している動物の処分、反すう動物 (牛、羊、山羊) 由来の特定危険部位 (SRM) の除去、感染地域の輸出制限による食肉産業全体に与える影響など、TSE により、著しい経済的損失を生じる可能性があります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
トリコモナス症トップ
概要
トリコモナス症 (Trich) は世界中の牛で発生している性病です。一般的には雌牛や若い雌牛の不妊や流産が特徴として現れ、結果として出産間隔が長くなります。
この病気は、小型の運動性原生動物である Tritrichomonas foetus (T foetus) により引き起こされ、この病原体は雌牛の生殖器官および雄牛の陰茎鞘に生息しています。 病原体は、繁殖期に雄牛から雌牛の膣に移動し、子宮に移動して感染を引き起こします。その結果、感染した雌牛の外陰部から白濁した粘着状物が排出されます。
感染した雄牛が雌牛と交尾すると、30% ~ 90 % が感染します。このことから、系統差の存在や、この病気に感染しやすい品種のばらつきが示唆されます。 年齢に関わらず、雄牛は生涯に渡って感染したままですが、若い雄牛ではこの傾向が低くなります。 これとは対照的に、雌牛の場合は交配から 3 ヶ月以内に無感染となることが一般的ですが、依然再感染しやすい状態が続きます。 T foetus は、感染した雄牛の精液を人工授精に使用すると伝染する場合もあります。
兆候
主な兆候は胚死による不妊です。これにより、雌牛は交配や、妊娠可能な時期に発情する状況を繰り返します。 3 ~ 6 ヶ月以上にわたって出産率および仔牛産出が低下することに加え、雌牛数の増加は、子宮内膜炎や子宮蓄膿症などの非妊娠生殖異常診断結果と関連する可能性があります。 雄牛は T foetus の兆候を示しませんが、生涯に渡って病原菌を排出します。 この病気の雄牛の診断は、雄牛の陰茎鞘から採取した包皮液サンプルの回収および試験が必要です。
ヒトの健康へのリスク
トリコモナス症には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
牛の集団感染に関連する経済的損失は主に、安定しない仔牛産出や、感染牛の処分、検査および予防に要されるコストです。 さまざまな研究や研究モデルにより、トリコモナス症を集団感染した場合、収益の低下は 20% ~ 40 % と見積もられています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
牛結核 (TB)トップ
概要
牛結核は、ウシ型結核菌 Mycobacterium bovis により引き起こされる呼吸器系疾患です。 この病気は世界中の家畜、特にウシや、野生生物集団で見られる主な感染症です。
動物種内および種間での空気感染が M. bovis の主な感染経路ですが、動物が大量の細菌を摂取した場合にも感染します。
兆候
牛結核は主に肺や肺と関係するリンパ節に感染する呼吸器系疾患です。 感染は無症状である場合が多く、臨床徴候があったとしても、この病気と特定できるほど明白ではありません。 症状としては、特に牛結核が進行した際に、身体の虚弱、食欲不振、衰弱、リンパ節の肥大化、咳が現れます。
ヒトの健康へのリスク
牛結核は重大な人畜共通感染症で、ヒトへの深刻な健康リスクがあります。 この細菌は、エアロゾルを経由して、また、感染した雌牛からの低温殺菌されていない牛乳や乳製品を消費することで、動物からヒトへ蔓延します。
経済的影響
牛結核が流行すると、乳汁生産の低下、感染牛の処分、感染地域からの食肉輸出制限により畜農業に深刻な悪影響が及びます。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
パラインフルエンザ 3 型 (PI3)トップ
疫学
パラインフルエンザ 3 型 (PI3) は、パラミクソウイルス科に属する RNA ウイルスで、世界中の家畜にきわめて多いウイルスです。 PI3 は呼吸器系および消化器系の疾患で検出されており、若い牛に呼吸障害を引き起こします。 PI3 は、特定の細菌 (Mycoplasma bovis や Pasteurella haemolytica) や他のウイルス (BVD や IBR を引き起こすウイルスなど) の感染に関係する症状での補助因子とも考えられています。
兆候
この病気の兆候として、異常高熱、咳、眼漏および鼻汁、食欲不振、呼吸困難、下痢が現れます。 PI3 は免疫抑制性ですので、PI3 に感染した動物は二次感染しやすくなります。
伝染
PI3 は一般に鼻汁で伝染し、動物輸送 (直接接触、換気不良、空気の滞留) で伝染しやすくなります。 PI3 感染の確認には、血清検査が強く推奨されています。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
臨床研究用途にのみお使いください。
