動物疾患 – ブタ/家畜豚
注目の疾患
すべての疾患 (アルファベット順)
- Actinobacillus pleuropneumoniae
- アフリカ豚コレラ (ASF)
- オーエスキー病
- ブラキスピラ症
- ブルセラ症
- 豚コレラ (CSF)
- ウェルシュ菌
- 牛コロナウイルス (BCV)
- クリプトスポリジウム症
- 大腸菌 F4 (K88)
- 大腸菌 F5 (K99)
- 丹毒
- 口蹄疫 (FMD)
- Haemophilus parasuis/グレーサー病ä
- E 型肝炎ウイルス (HEV)
- Lawsonia intracellularis
- Mycobacterium avium
- Mycoplasma hyopneumoniae (M.hyo)
- パルボウイルス感染症/豚パルボウイルス (PPV)
- パスツレラ感染症
- 豚サーコウイルス 2 型 (PCV2)
- 豚流行性下痢
- 豚繁殖呼吸障害症候群 (PRRS)
- 豚呼吸器コロナウイルス (PRCV)
- ロタウイルス
- サルモネラ症
- Brachyspira hyodysenteriae/
豚赤痢 - 豚インフルエンザ (SIV)
- 豚水胞症 (SVD)
- トキソプラズマ症
- 伝染性胃腸炎
- 旋毛虫病
Actinobacillus pleuropneumoniaeトップ
概要
Actinobacillus pleuropneumoniae は伝染性呼吸器疾患を引き起こし、世界中に分布しています。通常、生後 <6 ヶ月の豚が感染しますが、初期の流行段階では成長した豚にも感染する場合があります。 A. pleuropneumoniae はエアロゾル感染しますが、通常は鼻と鼻との接触で伝染し、わずか 4 時間ほどで臨床徴候が現れます。 この病気は初期段階で侵攻性が強く、感染が速い病気であるため、罹患率および死亡率が共に高くなっています。
兆候
A. pleuropneumoniae の臨床徴候として、高熱、嗜眠、呼吸困難、血性分泌物 (鼻および口)、および食欲不振が挙げられます。この病気は進行がきわめて速いため、豚の中には臨床徴候を示す前に死亡する場合もあります。 罹患率は 50% を超え、治療を施さない場合は死亡リスクがきわめて高くなり、生存した動物は咳が長く続き、生育速度が低下します。
ヒトの健康へのリスク
A. pleuropneumoniae は人畜共通感染で、動物に咬まれるとヒトも感染します。
経済的影響
A. pleuropneumoniae の集団感染が発生すると、治療費、生存した動物の生育速度の低下、死亡、および感染部位膿瘍による動物の大量処分などにより、豚産業の経営は甚大な経済的損失を被る場合があります。
アフリカ豚コレラ (ASF)トップ
概要
ASF は、アフリカ豚コレラウイルス (ASFV) により引き起こされます。 ASFV は家畜の豚、イボイノシシ、およびカワイノシシに感染します。 このウイルスは、健康な動物と感染した動物との直接接触や、感染した飼料よび生物学的媒介生物 (軟ダニ) を介した間接接触で感染します。
この病気は、アフリカ南部、イベリア半島、およびサルジニア島の風土病です。 ヨーロッパの国々 (1985 年ベルギー、1986 年オランダ) や、ヨーロッパ以外 (カリブ、ブラジル) では散発的に発生しています。
兆候
過急性、急性、亜急性、および慢性の ASF が発生しており、死亡率は、豚に感染したウイルスの毒性に応じて 0 ~ 100% となっています。 急性疾患の特徴は、3 ~ 7 日間の短い潜伏期間の後、高熱 (最高 42°C) を発し、5 ~ 10 日で死に至ります。
もっともよく見られる臨床兆候として、食欲減退、抑鬱、横臥が挙げられます。 他の兆候として、耳、腹部、脚の皮膚の充血、呼吸困難、嘔吐、鼻または直腸からの出血、また、時として下痢を発症します。 集団感染では、流産が最初に見られる兆候になることがあります。 慢性疾患の特徴は、衰弱、関節腫脹、呼吸障害の発症です。 発生時点では慢性疾患がほとんど見られません。
ヒトの健康へのリスク
ASF には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
豚の集団感染の影響はウイルス株によって異なり、100% に近い死亡率の分離株から、診断が困難な低毒性の分離株まであります。 集団感染が地域や国で発生した場合、豚産業や関連産業に財政的および物理的な深刻な影響を及ぼしかねません。
たとえば、この病気がマルタおよびドミニカ共和国で発生した際、国中の豚が完全にいなくなりました。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
オーエスキー病トップ
概要
オーエスキー病は伝染性ウイルス疾患で、仮性狂犬病ウイルス (PRV) と呼ばれるヘルペスウイルスによって引き起こされます。 もっとも一般的な発症形態は急性の発熱症候群で、主に豚 (主なウイルス保有宿主) に感染します。但し、その他の動物種も感染しやすい病気です。
このウイルスは気道や神経系に広がり、妊娠中の雌豚の場合は胎児にまでウイルスが及びます。 世界中に広がっており、甚大な経済的影響を及ぼします。
兆候
臨床兆候は、感染した動物の年齢や生理的発達段階によって異なります。 子豚の場合は神経障害 (回転行動および、ひきつけなどの発作) を引き起こした後、すぐに死に至ります。 成長期の動物では、主に呼吸器系や消化器系に障害が起き、生育が遅れます。 雌豚の場合、流産、発情期の再発、未熟仔など、生殖上の問題が発生します。 空気中のウイルスに曝されると、ウイルスが体内に潜伏し、ストレス時や免疫抑制時にウイルスが再活性します。
ヒトの健康へのリスク
オーエスキー病の症例は少ないものの、感染した動物からヒトへ伝染する場合があります。
経済的影響
豚が PRV に集団感染すると、豚肉産業に深刻な経済的損失を与える場合があります。 この病気の集団発生によって生じる潜在的な経済的打撃を最小限に抑えるには、早期検出ができる高感度で特異的な検査を行い、感染の拡大を未然に防ぐことが重要です。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ブラキスピラ症トップ
疫学
運動性らせん状細菌が豚赤痢 (別名、出血性下痢または出血性腸炎) の病原体です。 主に豚に感染しますが、ラット、ネズミ、犬、鳥などの動物種も、豚の糞便と接触した場合に一過性の無症候性感染を引き起こします。
この病気は、養豚が発達しているすべての国で見られます。 主に肥育段階の豚に感染しますが、雌豚や離乳仔豚にも兆候が現れる場合があります。 もっとも一般的な汚染経路は、感染した動物が集団に入り込むことです。しかし、ネズミは少量の菌数 (102 CFU) で感染し、感染後 6 ヶ月間に渡り細菌を排出し続けることがあるため、ネズミも感染媒介として大きな役割を果たす場合があります。
兆候
ブラキスピラ症の主な兆候として、下痢、体重減少、生育の低下が挙げられ、重症型の場合は脱水症も発症します。
経済的影響
豚赤痢は、死亡率が高いこと (任意の集団で 50%)、また、多くの場合、成長の遅れ (食肉処理が 28 日遅れる恐れがある)、さらには治療費が嵩むなどの理由により、深刻な経済的影響を及ぼします。 さらに、治癒した動物でも細菌を排出し続ける可能性があることから、危険な存在となります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
ブルセラ症トップ
概要
ブルセラ症はブルセラ菌により引き起こされる感染症です。 最も懸念されるブルセラ菌種として、主に牛に感染する B. abortus 、主に羊や山羊に感染する B. melitensis 、主に豚に感染する B. suis があります。 これらのブルセラ菌種はすべて宿主非特異的で、好適な条件下で他の動物やヒトに伝染することもあります。
ブルセラ症は通常、感染しやすい動物が、感染した動物と直接接触することで、または、感染した動物の排出物で汚染された環境に居ることで伝染します。 したがって、ブルセラ症は牛や羊などの群れにおいて問題となります。
ブルセラ症は届出疾患ですので、発生時には地域の衛生当局へ報告する必要があります。 種や感染率によって、感染問題の有効な撲滅手段が異なります。 罹患率が高い場合は、感染率を低下させるためにワクチン接種プログラムが必要となります。 ワクチン接種プログラムの実行後は、感染した動物の処分に関連する監視プログラムが導入されます。 これらのプログラムにより、特定地域または国全体を「ブルセラ症フリー」および「公式なブルセラ症フリー」な状態にすることができます。 ヨーロッパでは、人畜共通感染症の監視に関する EU 指令 2003/99/EC によって監視が規定されています。
兆候
ブルセラ菌感染の兆候としては、乳汁産生の減少、体重減少、流産、不妊、および歩行障害が挙げられます。 ブルセラ菌の摂取は、経口や創傷、粘膜からの侵入があります。 ブルセラ菌は主に流産した胎生組織や胎盤、精液や乳と共に排出されます。
場合によっては、時間の経過と共に自然に治癒することもあります。 しかし、大抵の場合、兆候は現れなくなるものの、病気自体は蔓延していきます。 こういった無症候の動物が危険な感染源となります。
ヒトの健康へのリスク
生乳や低温殺菌を施していないチーズがヒトへの感染源のもっとも代表的なものです。 牧場労働者や獣医師は、流産時の感染した排出物に直接曝されるため、感染リスクが高い状況下にいます。 通常、ヒトでは感染は致死性ではありませんが、治療を受けないままでは、この病気は長年にわたって持続する場合があります。
潜伏期間は通常 1 ~ 3 週間ですが、時には数ヶ月に及ぶ場合もあります。 患者には、昇降が激しい発熱、悪寒、倦怠感、頭痛などの非特異的な兆候が現れます。
経済的影響
ブルセラ症は、世界中の多くの地域で公衆衛生および動物衛生における大きな課題です。 感染した動物が死に至ることは希ですが、この病気がもたらす経済的損害を考えると、ブルセラ症は世界中でもっとも深刻な家畜病と言えます。
この人畜共通感染症は、多くの国々で根絶され、あるいは根絶されつつありますが、依然、地中海地域、アフリカ、アジア、南アメリカでは広く存在しています。
豚コレラ (CSF)トップ
概要
CSF は、豚およびイノシシのすべての伝染病の中で、口蹄疫に続いて 2 番目に深刻な病気と考えられています。 この病気は、深刻な社会経済的な影響を伴う、豚生産に対する大きな脅威となっています。
この病気は、フラビウイルス科ペスチウイルス属の外皮膜型 RNA ウイルスにより引き起こされます。 CSF はヒトへ伝染せず、感染ウイルスの毒性や動物の発育段階に応じて、さまざまな兆候が現れます。
全ての発症例において、疑わしい CSF の確定診断や排除には、(ウイルス学的および/または血清学的) 検査 が必須となります。
兆候
劇症型疾患の場合は、ほとんど兆候を示すことなく 48 時間以内に死に至りますが、一般的な急性疾患の場合は、初期段階で高熱 (最高 42°C) を発して嗜眠に陥り、餌を摂らず、膿状の眼漏を伴う結膜炎を発症することを特徴としています。
またこの病気は、消化器系および’呼吸器系障害、血液学的異常、神経障害も引き起こします。 感染した動物は 5 ~ 15 日以内に死に至ります。 これらの兆候の中には、他の豚の病気の兆候と区別が付かないものがあり、CSF 診断が難しくなります。
慢性疾患の場合は兆候が軽度で、感染した動物は数週間から数ヶ月生存こともあるため、病気の潜行性がさらに高くなります。 さらに、他の病気や感染症との併発により、鑑別診断が困難になる場合があります。
ヒトの健康へのリスク
豚コレラウイルス (CSFV) には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
豚の CSFV 集団感染は、病気による動物の死の蔓延や食肉輸出制限により、食肉産業に深刻な経済的影響を及ぼす場合があります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Clostridium perfringens (ウェルシュ菌)トップ
概要
芽胞形成性嫌気性細菌であるウェルシュ菌は通常、土壌やさまざまな家畜の消化管に見られ、6 種類 (A、B、C、D、E、および F) に分類されており、その内、B、C、および D 型が、この病気のもっとも多い型です。
ウェルシュ菌が少量の場合は、発症すること無く、動物の消化管にとどまったり、消化管をそのまま通過したりすることも珍しくありません。 動物が多量に糖質 (乳汁、補助濃縮物など) を摂取すると、ウェルシュ菌の数は急激に増加し、急死に至るほどの大量の毒素を発生します。
B 型は仔羊赤痢とも呼ばれており、仔羊で高死亡率を示し、仔牛の病気にも繋がります。
C 型は通常、畜牛、小型反すう動物、豚に感染し、出血性腸炎や壊死性腸炎を誘発します。
D 型は髄質様腎疾患または食べ過ぎ病とも呼ばれており、小型の反すう動物および牛に感染します。 ウェルシュ菌の A 型および C 型は、子馬の場合に腸炎 (小腸および大腸の膨張) も引き起こし、クォーター馬などの牧畜馬が感染しやすい細菌です。
兆候
この病気は侵襲性が強く、急死を引き起こすため、感染した動物で臨床兆候を確認することが困難となる場合があります。 死亡前に動物の詳細な検査を行うと、ウェルシュ菌感染では、興奮、回転行動、頭部の打ち付け、痙攣、不活発、下痢、疝痛、授乳への無関心など、さまざまな兆候が現れます。
ヒトの健康へのリスク
ウェルシュ菌には、人畜共通感染のリスクはみられません。
クリプトスポリジウム症トップ
概要
クリプトスポリジウム症は、感染した動物の排泄物を経由して排出される微小腸内寄生虫により引き起こされます。 この寄生虫は世界中で発見されており、通常は他の腸管病原体と協働し、仔豚、仔山羊、仔羊、および仔馬などの新生家畜動物に下痢および腸管障害を引き起こします。 コロナウイルスやロタウイルスなどの他の病原体と同時感染することにより、深刻な下痢を発症することが研究により明らかにされています。
クリプトスポリジウム症の死亡率は通常低いですが、初乳や乳汁の低摂取、同時感染、悪天候による冷感に起因するエネルギー不足に陥っている動物など、他の因子が合併する場合は死に至る場合もあります。
この病気は、動物から動物への直接伝染、環境汚染、水や食物の糞便汚染、またはヒト伝染などの間接的な伝染により起こります。 仔牛の感染は生後 5 日ほどで検出でき、生後 5 ~ 15 日で下痢を発症します。 小型の反すう動物では、深刻な集団下痢を発症する場合があり、生後 4 ~ 10 日の仔羊や生後 5 ~ 21 日の仔山羊では死亡率が高くなります。
豚の場合、クリプトスポリジウム症は一般に重大な腸内病原菌とは見なされていませんが、広い年齢幅 (生後 1 週間から出荷日齢まで) で感染が見られ、感染した豚では離乳後吸収不良性下痢が引き起こされる場合があります。 仔馬の場合、クリプトスポリジウム症は余り広くは流行していませんが、生後 5 ~ 8 週間ほどの期間に感染します。
兆候
クリプトスポリジウム症の兆候は、数日間続く下痢、大幅な体重減少、衰弱、無気力、食欲不振、および脱水症などを含みます。
ヒトの健康へのリスク
クリプトスポリジウムは、免疫正常者 (子供など) では下痢の一般的な非ウイルス原因となり、免疫不全者においては深刻な健康被害が生じ得ます。 この病気は、感染した動物からヒトへ直接伝染し、感染した動物の排泄物で汚染された地表水や飲料水を経由してクリプトスポリジウム症が伝染するリスクもあります。
大腸菌 F4 (K88)トップ
概要
大腸菌は、若い仔豚に起こる下痢の原因となっており、生後数日間以内、哺乳期間中、離乳後 1 ~ 2 週間に発症します。 さまざまな菌株に起因する 2 種類以上の下痢症状があります。 これらの中には、下痢の発症に関連する二つの毒性因子を有するものがあり、F4 (K88) や F5 (K99) などの線毛抗原によって小腸の絨毛に寄生します。これら腸管病原体は、A/E障害と呼ばれる特徴的な病変を引き起こすことでもも知られており、深刻な出血性下痢を引き起こすベロ毒素を産生する場合があります。 結腸、盲腸、および遠位小腸に感染し、浮腫、粘膜びらん、および潰瘍を引き起こします。
伝染経路は、呼吸器からのエアロゾル、糞便からのエアロゾル、糞口などです。 菌の保持動物は周期的に糞便中に微生物を排出し、出産時のストレス下では、微生物の排出量が増加する場合があります。 このような環境下で、哺乳中の仔豚が感染した母豚 (皮膚腺や乳腺) と接触したり、仔への感染の可能性がある汚染飼育エリアにいることで、仔豚は感染しやすくなります。
兆候
大腸菌は豚に多量の下痢を突然引き起こす場合があり、その結果、脱水症や被毛の荒れが起こります。 感染した豚は、嘔吐、低体温、悪寒を示す場合もあります。 治療を施すまで下痢は続き、飼育条件や環境条件が悪い場合は死亡率が上昇する場合もあります。 これらの兆候は、年齢に関わらず豚に共通していますが、新生仔の豚の場合はさらに深刻な症状となります。
ヒトの健康へのリスク
動物は、ヒト溶血性尿毒症症候群や出血性大腸炎の原因となるベロ毒素性大腸菌の血清型の保有宿主になる場合があります。 汚染食品の消費により感染しますが、家畜の腸内病原体も、動物園、牧場ツアー、または家畜市場への訪問時に直接接触でヒトへ伝染する場合があります。
経済的影響
フィードロット牛のウシ呼吸複合感染症や、乳牛の急性腸疾患により、経済的損失や甚大な経済的影響が生じる可能性があります。
大腸菌 F5 (K99)トップ
概要
大腸菌は、若い仔豚に起こる下痢の原因となっており、生後数日間以内、哺乳期間中、離乳後 1 ~ 2 週間に発症します。 さまざまな菌株に起因する 2 種類以上の下痢症状があります。 これらの中には、下痢の発症に関連する二つの毒性因子を有するものがあり、F4 (K88) や F5 (K99) などの線毛抗原によって小腸の絨毛に寄生します。 これら腸管病原体は、A/E障害と呼ばれる特徴的な病変を引き起こすことでもも知られており、深刻な出血性下痢を引き起こすベロ毒素を産生する場合があります。 結腸、盲腸、および遠位小腸に感染し、浮腫、粘膜びらん、および潰瘍を引き起こします。
伝染経路は、呼吸器からのエアロゾル、糞便からのエアロゾル、糞口などです。 菌の保持動物は周期的に糞便中に微生物を排出し、出産時のストレス下では、微生物の排出量が増加する場合があります。 このような環境下で、哺乳中の仔豚が感染した母豚 (皮膚腺や乳腺) と接触したり、仔への感染の可能性がある汚染飼育エリアにいることで、仔豚は感染しやすくなります。
兆候
大腸菌は豚に多量の下痢を突然引き起こす場合があり、その結果、脱水症や被毛の荒れが起こります。 感染した豚は、嘔吐、低体温、悪寒が示す場合もあります。 治療を施すまで下痢は続き、飼育条件や環境条件が悪い場合は死亡率が上昇する場合もあります。 これらの兆候は、年齢に関わらず豚に共通していますが、新生仔の豚の場合はさらに深刻な症状となります。
ヒトの健康へのリスク
動物は、ヒト溶血性尿毒症症候群や出血性大腸炎の原因となるベロ毒素性大腸菌の血清型の保有宿主になる場合があります。 汚染食品の消費により感染しますが、家畜の腸内病原体も、動物園、牧場ツアー、または家畜市場への訪問時に直接接触でヒトへ伝染する場合があります。
丹毒トップ
概要
丹毒はもっとも古くからある豚関連の病気の一つで、 Erysipelothrix rhusiopathiae により引き起こされ、成長期および成長した豚の扁桃組織に生息します。 28 を超える固有の血清型が確認されており、この内、少なくとも 15 の血清型が豚に感染しやすいと考えられています。 E. rhusiopathiae が流行している環境では、母体由来の抗原により、子豚は受動免疫を得るため、臨床症状を抑制することができます。
感染した豚が鼻汁や糞便から病原体を排出すると、その環境中の土壌や水が汚染される可能性があります。 慢性的に感染して回復した健康なすべての豚は E. rhusiopathiae の保持動物になります。通常は汚染された飼料、水、排泄物の摂取により伝染します。 病原体が摂取されると、消化管、リンパ系組織、扁桃腺を経由して動物体内に侵入します。
兆候
E. rhusiopathiae に感染した豚は、のどの乾き、発熱、うつ、過剰な鳴き声、食欲不振など、さまざまな臨床徴候を示します。 また、感染した動物は、歩き方がぎこちなくなったり、皮膚変色を示したりする場合があり、この皮膚変色は、腹部、耳、鼻先の紫色の変色から、体全体に分布した皮膚病変に至るまで、多岐に渡ります。 治療が施されないままでは、皮膚の広範囲で壊死や皮膚剥離が起こり、尻尾や耳先が壊死します。
E. rhusiopathiae による死亡率は 0 ~ 100% ですが、臨床徴候を示してから 6 日以内で死亡に至る場合が多くなります。 妊娠中の雌豚の場合、この病気に起因する発熱によって流産のリスクが生じます。治療を施さない場合は、関節炎を引き起こす慢性の E. rhusiopathiae の症状を発症します。 長期にわたり、感染した関節が肥大化し、触ると痛みが走るようになります。
ヒトの健康へのリスク
丹毒は人畜共通感染症で、ヒトでは局所的な皮膚感染を起こします。
口蹄疫 (FMD)トップ
概要
FMD は、あらゆる偶蹄類動物に感染する伝染性の高いウイルス性疾患で、世界中に蔓延しています。 FMD は、豚水胞病 (SVD) などの他の水疱病と臨床的に区別することができません。 このウイルスは、ピコルナウイルス科アフトウイルス属に属しています。 FMD ウイルスには、O、A、C、SAT 1、SAT 2、SAT 3、および Asia 1 の七つの血清型が存在します。 どの血清型に感染しても、他の血清型に対する免疫は得られません。
家畜種のうち、牛、豚、羊、山羊が FMD に感染しやすい動物です。
兆候
FMD の臨床兆候として、足、口腔内および口腔周囲、メスの乳腺上に小疱 (小水疱) が現れます。 豚の場合は、小水疱が鼻孔内および四肢の圧点にも発生します。
一般に、感染した動物と感染しやすい動物との接触により伝染します。 このウイルスは、感染の急性期に空気中に放出されます。
ヒトの健康へのリスク
FMD には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
感染した集団動物の処分や、感染地域からの食肉輸出制限により、FMD の存在は畜産業者にとって、きわめて大きな経済的脅威となります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Haemophilus parasuis/ グレーサー病トップ
ä概要
豚は離乳前にさまざまな微生物に侵されますが、これら微生物の中には潜在的に病原体となるものもあります。 たとえば、Haemophilus parasuis は、グレーサー病と呼ばれる全身性疾患を引き起こします。この疾患は、初期段階での侵攻性が強くて、進行も速く、死亡率も高くなり、関節炎、線維性多発性漿膜炎、髄膜炎を特徴としています。 H. parasuis は世界中に分布しており、グレーサー病は主に生後 <8 週間未満の若い豚に感染しますが、時として成長した豚にも感染が見られます。 回復した動物は、腹腔および胸腔に線維症を発症する場合があり、その結果、成長速度が低下し、肉食処理時に食用として不適という認定を受ける恐れがあります。
H. parasuis は通常、授乳期に感染した雌豚と子豚との間で伝染し、さらに飼育所や肥育所で仔豚間でも伝染する場合もあります。
兆候
H. parasuis 感染の一般的な兆候として、過剰な咳、発熱、腹式呼吸、関節腫脹、うつ、食欲不振、身震いや四肢のばたつきといった中枢神経系の兆候が挙げられます。
急性のグレーサー病の一般的な臨床徴候には、発熱 (41.5°C)、重篤な咳、腹式呼吸、関節腫脹、臥位、四肢のばたつき、身震いといった中枢神経系の兆候が現れます。 複数の兆候が併発する場合もあれば、単独で現れる場合もあります。
腹腔および胸腔に重度の線維症が発症すると、慢性疾患の動物は生育速度が低下し、突然死を起こす場合もあります。
ヒトの健康へのリスク
H. parasuis には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
未感作の群れで急激に H. parasuis が集団発生すると、この病気に起因する死亡率が高くなるため、生産コストや管理コストが嵩むことになります。
E 型肝炎ウイルス (HEV)トップ
概要
HEV はヘルペスウイルス科に属します。 HEV は、四つの遺伝子型に分割される単一の血清型から成ります。 遺伝子型 3 と 4 のみが豚に感染します。 遺伝子型 3 は、先進工業国の豚でもっともよく見られる遺伝子型です。
豚の感染はほとんどが無症候性です。 豚は、尿や糞便からウイルスを排出します。 このウイルスは、豚の筋組織や臓器に蓄積することが分かっています。
兆候
潜在的な兆候として、食欲不振、喘息、高熱 (約 41 °C)、重度の神経症状が挙げられます。
ヒトの健康へのリスク
ヒトの HEV 感染は無症候性、または潜行性ですが、急性になる場合もあります。 急性 E 型肝炎は深刻な病気で、その臨床症状は A 型肝炎の症状に匹敵し、死亡率は約 0.5 % ~ 4.0 % となります。
ヒトの HEV 感染は長きにわたり、HEV が流行する地域への訪問者にのみ起こると考えられていました。 しかし近年では、流行地への訪問と関連付けることができない、非流行地での散発的な HEV 感染数の増加が報告されています。また、飼育豚からヒトへの伝染事例も数多く報告されています。 ほとんどの国々で、豚の HEV 感染の流行に関する知識が乏しく、そのため、消費者へのリスクに関する知識も乏しいのが現状です。 したがって、早期の段階で潜在的な食品安全性に取り組むために、より多くの情報を得て、制御戦略を実装する必要があります。
経済的影響
豚の感染の多くが無症候性で、豚の飼育者への経済的影響は多くありません。 豚の HEV 感染は、潜在的な食品安全問題となります。 ヒトの健康管理費用への HEV 感染の影響について、より多くの情報が必要です。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Lawsonia intracellularisトップ
疫学
L. intracellularis は、偏性細胞内寄生性グラム陰性細菌で、増殖性腸炎 (PE) の感染病原体です。 PE は一般的に豚に感染しますが、馬、犬、ウサギにも感染する場合があります。 豚では、PE は生後 6 ~ 20 週間の動物に感染しますが、さらに若い豚や生後数年の豚にも感染する場合があります。
PE は通常慢性的で、灰色の下痢を誘発し、生育が遅れます。 急性疾患も時々見られ、消化管出血 (軟らかい黒色便) を伴い、次いで死に至ります。 PE は世界中の豚に見られ、大きな経済的影響を及ぼします。
兆候
PE は、消化管の上皮細胞増殖による小腸 (時には大腸) 粘膜の肥厚が特徴の疾病群に該当します。 結果的に、上皮は杯細胞を持たない未成熟な状態となり、時として外傷性の粘膜損傷が現れます。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Mycoplasma hyopneumoniae (M.hyo)トップ
概要
Mycoplasma hyopneumoniae は世界中で発生しており、持続的な乾性咳、生育速度の低下、散発的な呼吸困難を特徴とする豚の慢性伝染性肺炎を引き起こします。 M. hyopneumoniae は、母体、群れ、または他の成長した豚との接触により伝染し、また、感染したキャリヤーの咳や鼻と鼻との接触によっても伝染します。
兆候
咳が M. hyopneumoniae 感染の主な兆候で、この病気が蔓延している集団では罹患率が高くなりますが、死亡率は通常高くありません。
ヒトの健康へのリスク
M. hyopneumoniae には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
M. hyopneumoniae は、特に豚インフルエンザウイルス (SIV) や豚繁殖呼吸障害症候群 (PRRS) が流行していると、著しい経済的負担が発生します。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Mycobacterium aviumトップ
概要
Mycobacterium avium は、28 の血清型からなる M. avium complex (MAC) に属します。 血清型 1-6、8-1、および 21 はM. avium subsp. avium (MAA) に属し、そのほとんどがヒトと豚の両方に感染します。 豚の MAA 感染は、ほとんどが無症候性です。 目に見える唯一の兆候は、ほとんどの動物のリンパ節で発症する肉芽腫性病変です。
現在、豚の MAA 感染診断は処理場でのリンパ節の触診および切開により行われています。 病変の無いリンパ節から MAA が単離されるため、感染した動物が検出されず、こういった従来方法にはデメリットがあります。 さらに、Rhodococcus equi などの非抗酸菌種の感染は肉芽腫性病変を誘発し、その結果、動物への誤診にも繋がります。 また、現在の検出方法は物理的に厄介で時間がかかります。
血清学に基づいた MAA のリスクベース監視は、MAA 制御を改善し、M. avium に関連する動物集団の健康状態を増強します。 血清学検査を用いると、従来の検査方法よりも、集団の MAA 感染をより効率的かつ効果的に管理することができます。
兆候
一般的な兆候として、進行性の衰弱、嗜眠、虚弱、食欲不振、軽度の体温変動などが挙げられます。
ヒトの健康へのリスク
複数の研究により、豚からヒトへの人畜共通性感染が示唆されており、この病原体は疫不全者に幅広い症状を誘発し、免疫正常者の場合は肺疾患を発症します。
経済的影響
豚の感染の多くが無症候性で、豚の飼育者への経済的影響は多くありません。 ヒトの MAA 感染の流行や、ヒトの健康管理費用への影響について、より多くの情報が必要です。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
パスツレラ感染症トップ
疫学
Pasteurella multocida は非運動性、無胞子性、有莢膜のグラム陰性球桿菌です。 この菌は獣医学においてもっとも重要な菌種です。 さまざまな動物種の呼吸器および消化器粘膜における寄生菌または腐生菌となっています。 通常はストレス時に病原性となります。
この菌種は世界中で発見されており、鳥コレラ、豚、ウサギ、および小型反すう動物の萎縮性鼻炎、牛の出血性敗血症、反すう動物および豚の肺炎、肉食動物、齧歯動物、およびウサギの呼吸器障害を引き起こします。 毒素原性 (皮膚壊死性) P. multocida は、豚やウサギの気道の結合組織を破壊するタンパク質を発現します。
兆候
ブラキスピラ症の主な兆候として、下痢、体重減少、生育の遅れが挙げられ、重症型の場合は脱水症も発症します。
経済的影響
豚赤痢は、死亡率が高いこと (任意の集団で死亡率 50%)、また、多くの場合、成長の遅れ (食肉処理が 28 日遅れる恐れがある)、さらには治療費が嵩むなどの理由により、深刻な経済的影響を及ぼします。 さらに、治癒した動物であっても細菌を排出し続ける可能性があることから、危険な存在となります。
パルボウイルス感染症トップ
疫学
死産、ミイラ化、胚死、および不妊 (SMEDI) は、豚に一般的な伝染病で、世界中の多くの国々で発見されています。 パルボウイルス科に属する 1 本鎖 DNA ブタパルボウイルス (PPV) により引き起こされます。 一体以上の胎仔が感染すると、感染は子宮内のほとんどの胎児に広がるため、生きた仔豚が、ミイラ化した胎仔と一緒に娩出されることになります。
兆候
妊娠中の未感作の雌豚が感染すると、PPV は、死産、ミイラ化、胚死、不妊、不規則な発情期の再発、一腹あたりの産子数の減少といった生殖上の問題を引き起こします。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
豚サーコウイルス 2 型 (PCV2)トップ
疫学
PCV2 はサーコウイルス科サーコウイルス属に属する DNA ウイルスです。 このウイルスは、離乳後多臓器性発育不良症候群 (PMWS) を発症する主な感染性病原体と考えられています。 PCV2 は主に糞便や尿中に排出されますが、気管支分泌物や鼻汁中にも見られます。 主に、健康な菌保持動物や感染した動物を介して水平感染します。
兆候
主な兆候として、疲労、息切れ、下痢、および黄疸が挙げられ、多くの場合、これらは重感染細菌に起因します。 PMWS は生後 5 ~ 18 週間の離乳した仔豚が感染しますが、雌豚の場合は流産、死産、早産などの生殖上の問題も観察されます。
有病率と群れへの影響
PMWS は世界中 (ヨーロッパ、北米、およびアジアの多くの国々) で観察されており、繁殖能力に影響が及ぶため、重大な経済的損失を引き起こします。
豚流行性下痢 (PED)トップ
概要
豚流行性下痢 (PED) は、中国やヨーロッパの国々で主に流行しており、2013 年 4 月に米国で初めて検出されました。 この病気は豚にのみ発生し、伝染性胃腸炎 (TGE) を引き起こすウイルスに類したコロナウイルスが原因です。 このウイルスは消化管の絨毛を冒し、年齢を問わず、あらゆる豚に急速に伝染する急性および重度の下痢を発症します。 感染しやすい集団では、雌豚における下痢の急性集団発症が 100 % になることもあり、2 種類の臨床状態が生じます。 一つは PED 1 型で、成長期の豚に感染し、もう一つは PED 2 型で、哺乳期の仔豚から成長した雌豚まで、あらゆる年齢の豚に感染します。 下痢は最長で 14 日間続き、哺乳期の仔豚の死亡率は 60 % ~ 100 % に及びます。
主に直接的な糞口経路で伝染し、媒介生物や保有宿主による拡散は報告されていません。 また、衣類、自動車、輸送車両などを経由して間接的に病気が伝染する可能性もあります。
兆候
PED の臨床徴候は TGE の集団発生ときわめて似ており、通常、豚における水様便、感染した動物の年齢に応じて、嘔吐、発熱、疝痛、死を含みます。 一般的に、牧場内でのPED の拡散は TGE よりも遅く、これは、潜伏期間が 3 ~ 4 日間と長いことが理由です。 PED と TGE は類似のコロナウイルスによって引き起こされますが、いずれのウイルスに感染しても交差免疫は得られません。
ヒトの健康へのリスク
PED には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
豚流行性下痢は伝染性が高く、豚の大量死や生産量の低下に繋がるため、甚大な経済的損失を生じる場合があります。 さらに、治療費やバイオセキュリティー費用による金銭的損失も生まれます。 また、これら生産者に掛かる費用が豚肉の生産価格に反映されるため、消費者にも経済的負担がのし掛かります。
豚繁殖呼吸障害症候群 (PRRS)トップ
概要
PRRS は、豚類 (豚およびイノシシ) に見られる伝染性の高い病気です。 ウマ動脈炎や出血熱の原因病原体も含むアルテリウイルス科に属するウイルスにより引き起こされます。 PRRS ウイルスは低分子 (50–60 nm) の外皮膜型 RNA ウイルスで、表面に 2 種類以上の膜タンパク質を有しています。これらのタンパク質は、感染した豚で見られる血清学的応答を引き起こす抗原と思われます。
PRRS ウイルスは免疫抑制活性を有しており、肺の中のマクロファージを死滅させ、そこで複製します。 これにより、他の伝染性ウイルスや細菌に対する肺の抵抗性が損なわれていると考えられます。 ウイルス粒子は、鼻汁、糞便、精液などの分泌液や、流産時の胎生組織や胎盤に分泌されます。 この病気は世界中に広がっており、特に家畜豚に感染します。
兆候
このウイルスは呼吸器系の症状やインフルエンザに似た症状、また、不妊、流産、発育不良の仔豚の出産なども引き起こします。
ヒトの健康へのリスク
PRRS には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
PRRS は、豚産業にとって経済的にもっとも深刻な病気の一つです。 感染した動物の繁殖率の低下や体重増加の低下により、畜産業の運営は著しい経済的損害を被る場合があります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
豚呼吸器コロナウイルス (PRCV)トップ
概要
PRCV は比較的新しいウイルスで、約 10 年前にヨーロッパで初めて発見されましたが、今では世界中のほとんどの国々に蔓延しています。 PRCV は気道に拡散する病気で、長い距離を移動することができるため、動物の群れを PRCV フリーの状態に維持することが難しい病気です。
あらゆる年齢の豚が PRCV に感染し、直接接触や空気感染経路により伝染します。 集団内の感染のタイミングや範囲は、季節、豚の密度、農場間の距離によって大きく異なります。
兆候
PRCV に感染した豚は、数時間続く一過性の咳を発症する場合があります。 この病気は PRRS、マイコプラズマ、インフルエンザと複合感染することが多く、これらの感染シナリオにおいて、この病気がどういった役割を果たしているかは不明です。
ヒトの健康へのリスク
PRCV には、人畜共通感染のリスクはみられません。
ロタウイルストップ
概要
ロタウイルスは世界中の豚に感染し、哺乳中や離乳後の仔豚に下痢を引き起こします。他の健康要因により下痢が悪化しない場合は、罹患率は高くなったとしても、死亡率は抑制されます。 伝染性胃腸炎やサルモネラ症などの他の下痢性疾患に混合感染した場合は、臨床徴候がさらに顕著になり、死亡率も高くなります。
ロタウイルスは、抗原的に異なる七つの血清型 (A、B、C、D、E、F、G) に分かれており、その内、四つの型 (A、B、C、E) が豚に直接感染します。 A 型がもっともよく知られ、有病率の高い血清型で、C 型も病気の集団発生と関わっています。 ロタウイルスは、大規模な豚の集団中に常に循環しており、汚染された環境や、感染しているウイルス保持動物から排出されたウイルスを介して、若い豚がこの病気に曝されます。
ロタウイルスは糞口経路で伝染し、このウイルスは取り込まれると小腸に移動し、絨毛先端の上皮細胞を冒します。その結果、絨毛萎縮が起きます。
兆候
ロタウイルスの主な兆候は白黄色の下痢で、豚が能動免疫を得るまで、数日にわたって下痢が続くのが一般的です。 また、中程度の脱水症や嘔吐の兆候が現れる場合もあります。 罹患率はばらつきがあり、畜産条件や飼育所条件が良ければ死亡率は低くなります。但し、畜産条件が悪い場合や寒さに曝された場合、併発症が生じた場合は、罹患率、死亡率が共に上昇します。
ヒトの健康へのリスク
ロタウイルスは人畜共通感染症と考えられており、ヒトへも伝染する場合があります。
経済的影響
罹患率、死亡率、治療費の上昇、および、豚下痢症による発育速度の低下により、著しい経済的損失が生じます。
サルモネラ症トップ
概要
サルモネラ症はサルモネラ菌により引き起こされる感染症です。 サルモネラ症の存在は世界中で確認されていますが、集中畜産業エリアでもっとも蔓延しているように見受けられ、特に豚、仔牛、ある種の家禽に起こります。
この病気はあらゆる家畜に感染しますが、もっともこの病気に罹りやすいのは若い動物や、妊娠中あるいは授乳期の動物です。 臨床兆候として、流産、関節炎、呼吸器疾患、および急性敗血症が見られます。 腸疾患はもっともよく現れる臨床症状で、発熱を伴う血液の混じった水様下痢として呈します。
多くの動物、特に豚、牛、家禽が感染しやすいですが、臨床疾患は現れません。 このような動物は、羊や山羊などの集団と牛の集団との間での感染の広がりに関して重要で、また、食品汚染源やヒトへの感染源としても重要です。
兆候
典型的な臨床兆候として発熱、重度の水様下痢が見られ、それらに続いて急激な脱水症状を伴います。 下痢は悪臭を放つことが一般的で、血液や粘液を含む場合があります。 サルモネラ菌は、消化管を損傷したり全身的作用を及ぼす毒素を産出したりします。 腸粘膜の損傷が著しい場合は細菌が血流に入り、敗血症を発症することがあります。また、脳、肺、関節、子宮 (妊娠中牛の場合に流産を誘発します)、および他の臓器にも細菌が蔓延します。
ヒトの健康へのリスク
サルモネラ症は、ヒトに深刻な臨床症状を引き起こすもっとも重大な人畜共通感染症の一つです。 豚、牛、家禽、および卵がサルモネラ菌感染の重要な感染源と考えられています。 この病気の存在は、ヒトの健康にとっても重大なリスクとなります。 食品産業用動物のサルモネラ菌感染は、ヒトのサルモネラ菌感染の主な原因であることから、それは公衆衛生にとって重大な事態となります。
経済的影響
サルモネラ症は世界中の家畜産業に深刻な経済的影響を及ぼします。 家畜大量死、治療費用、流産、生産性の低下、廃棄乳、および消費者の信頼低下など、すべてがサルモネラ菌によって家畜産業にのし掛かるコストとなります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
Brachyspira hyodysenteriae/豚赤痢トップ
概要
Brachyspira hyodysenteriae は豚赤痢として知られる病気を引き起こします。豚赤痢は、豚の大腸に感染する粘膜出血性の下痢性疾患です。 B. hyodysenteriae は大腸内で増殖し、表在粘膜の変性、粘膜の分泌過多、粘膜面の多発性出血点を引き起こします。 小腸からの内因性分泌液を再吸収する粘膜の能力が低下し、下痢を発症します。
B. hyodysenteriae は、感染した糞便の摂取や、菌保持豚が排出した糞便中の病原体を介して、長期にわたり伝染します。
兆候
一般に B. hyodysenteriae の兆候として、発熱、粘液性下痢、食欲不振、脱水症、衰弱、顕著な脱力が挙げられます。
ヒトの健康へのリスク
B. hyodysenteriae には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
罹患率、死亡率、治療費の上昇、豚の下痢の発症による発育速度の低下により、著しい経済的損失が生じます。
豚インフルエンザトップ
疫学
豚インフルエンザは、豚における伝染性の高いウイルス感染症です。 この感染症は、ウイルス粒子を含んだ分泌物、特に咳、くしゃみ、鼻汁の飛散によって生じたエアロゾルに接触することで伝染します。
兆候
豚インフルエンザウイルス (SIV) は、咳、くしゃみ、鼻汁、高い直腸温、嗜眠、呼吸困難、食欲不振に特徴付けられる呼吸器系疾患を引き起します。 場合によっては、SIV により生殖上の問題や流産も生じることがあります。
感染後 24 時間以内に兆候が現れ、鼻からウイルスが排出され始めます。 死亡率は低いですが、罹患率は 100% に達することがあり、二次細菌重複感染はSIV 感染の兆候を悪化させることがあります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
豚水胞症 (SVD)トップ
概要
SVD は伝染性の高い豚の病気で、この病気を引き起こすウイルス (SVDV) は、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属に属しています。 この病気の症状は軽度であることが多いですが、臨床的に口蹄疫 (FMD) と識別しにくいことから、この病気は国際獣疫局 (OIE) のリスト A 疾病に指定されています。 臨床検査での診断で判別するまでは、SVD が発生しても、FMD と混同されてしまいます。
このウイルスは鼻や口からの排出物から環境に拡散しますが、糞便中に排出される場合もあります。
兆候
SVD は通常、感染した動物の蹄冠帯、四肢の踵、時には唇、舌、鼻先、および乳首における小水疱の発症を特徴としています。
ヒトの健康へのリスク
SVDV には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
SVD が流行すると、この病気を撲滅させるために、感染した豚集団の処分が必要となることから、食肉生産産業は深刻な経済的打撃を受けます。 また、食肉輸出の一時的な取引制限が課せられる場合も多くなります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
トキソプラズマ症トップ
概要
トキソプラズマ症は、住肉胞子虫科に属する寄生原生動物である Toxoplasma gondii (トキソプラズマ原虫) により引き起こされます。 トキソプラズマ感染症はヒトや、ブタ、羊、山羊などの多くの温血動物種に蔓延しています。 この病気は世界中で発生していますが、ヒトや動物の有病率は国によって大きく異なります。
組織嚢胞やタキゾイトを含む生肉や加熱が不十分な肉、オーシストで汚染された食品や水を消費することで感染します。 トキソプラズマに感染した食肉や食肉製品は、重要なヒト感染源と考えられています。
兆候
豚感染のほとんどは無症候性ですが、トキソプラズマ症は、年齢を問わず、あらゆる豚に臨床徴候を引き起こします。 臨床的なトキソプラズマ症は、哺乳中の豚でもっとも頻繁に報告されています。 感染した豚は死産であったり、罹患した状態で生まれたり、または生後 3 週間以内に発症しますが、臨床的に正常な状態のままの豚も存在します。 トキソプラズマ症のもっとも一般的な臨床徴候は努力性呼吸です。 その他の臨床兆候として、発熱、全身の脱力感、下痢、神経系兆候が挙げられ、希に視力低下も伴います。
ヒトの健康へのリスク
ヒト感染の場合も、ほとんどが無症候性です。 臨床徴候は主に免疫抑制者に現れることが知られており、感染により重度の神経疾患を発症する場合があります。 しかし、近年の研究により、免疫正常者は、以前に考えられていた以上に、臨床的なトキソプラズマ症を発症する頻度が高いことが分かっています。 バイオハザードに関する小委員会は、欧州連合におけるトキソプラズマ症の検出数および報告数は実際の数よりも少ないと考えており (EFSA J 583:1-64, 2007)、近年ではトキソプラズマ原虫および病原性ベロ毒素産生性大腸菌 (VTEC) が、「羊および山羊の食肉検査にもっとも関連性のあるバイオハザード」と考えられています (EFSA J 11:3265, 2013)。
フロリダ大学の新興病原体研究所は、出版物である「リスクのランク付け: の中で、経口感染病の中でトキソプラズマ症を 2 番目の公衆衛生負担と位置づけています。 公衆衛生に最大の負担となる 10 の病原体と食品との組み合わせ」
経済的影響
ヒトへの感染リスクがあることから、トキソプラズマ症が発生すると、食肉生産業は深刻な影響を受けます。 動物の血清、血漿、肉汁中のトキソプラズマ抗体を検査することで、感染した豚、羊、山羊の集団の監視や診断を簡単に行うことができます。
小型の反すう動物のトキソプラズマ症により、流産や死産が生じたり、虚弱な仔羊が生まれたりすることで動物の数を失うことになります。 検査結果に基づいた適切な措置を講じることで、動物集団の健康状態を大幅に改善することができます。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
伝染性胃腸炎トップ
概要
TGE は豚の小腸内の絨毛上皮細胞を破壊し、その結果、絨毛萎縮、吸収不良、下痢、嘔吐、脱水症を引き起こします。 潜伏期間は約 18 時間で、接触感染やエアロゾル感染により急速に感染が広がります。
原因ウイルスは低温でも生存できるため、冬期に深刻な流行が発生するのが一般的です。
兆候
TGE の臨床徴候として、嘔吐、重篤な下痢、脱水症、過度の口渇が挙げられます。 生後 1 週間未満の豚の場合、死亡率がほぼ 100% で、生後 1 ヶ月以上の豚がこの病気で死ぬことは希です。 生後 1 週間以上の豚の死亡率はほぼ 100% で、生後未満 1 ヶ月の豚が死ぬことは希です。 妊娠中の雌豚では嘔吐や下痢が見られ、流産を起こる場合もあります。
ヒトの健康へのリスク
TGE には、人畜共通感染のリスクはみられません。
経済的影響
TGE は、仔豚の死亡率がきわめて高いために、飼育集団にとって甚大な経済的損失の一因となります。一方で、生育した集団や生長した集団の損失は少なくなります。
旋毛虫病トップ
概要
旋毛虫病は世界中で発生している人畜共通感染症で、線虫である旋毛虫属により引き起こされます。 線虫である旋毛虫属亜種は、家畜豚などの多くの肉食動物種や雑食動物種に感染します。 現在、11 種類の亜種がこの属内で発見されています。 ヨーロッパでもっとも問題となる種は Trichinella spiralis、Trichinella britovi、Trichinella pseudospiralis、Trichinella nativa です。 家畜豚は T. spiralis の遺伝子型への感染が高いため、この種がもっとも懸念されています。 T. britovi は主に野生生物に見られます。
T. pseudospiralis は非被嚢性種であるため、他の種 (T. spiralis など) に特徴的な嚢を形成しません。 T. pseudospiralis の他の特性として、鳥にも感染することが挙げられます。 T. nativa は一般的に野生生物に見られ、寒い気候に適応する種であり、凍結にも耐えることができます。 旋毛虫は、その被嚢した幼虫期の旋毛虫を摂取する哺乳類種に感染します。
欧州連合では、十分な管理手段を講じていない小自作農地で豚が飼育されている従来型の農業地域で、旋毛虫病が広く見られます。 時には、農場管理が行き届いた農地でも発症することがあります。
兆候
ほとんどの家畜および野生動物は感染の診断がされないままです。 ヒト以外の動物で出生前診断されることは希ですが、齧歯動物、野生動物の死体、生の感染肉を食した履歴がある場合は、旋毛虫病が疑われます。
ヒトの健康へのリスク
すべての旋毛虫種がヒトの健康に影響します。 生肉や加熱が不十分な肉を食することでヒトが感染する場合があります。 旋毛虫感染の初めの症状は、下痢、嘔吐、疲労、発熱、腹部不快感です。 後期になると、頭痛、発熱、悪寒、咳、眼球腫脹、関節痛や筋肉痛、敏感肌、下痢、または便秘を発症します。
感染症状が進行すると、患者は動くことが難しくなり、心臓障害や呼吸障害をきたします。 場合によっては、感染により死に至ることがあります。 毎年、90 以上のヒトの感染症例が欧州連合および EEA/EFTA の国々で報告されています。
経済的影響
欧州連合は、毎年数百万ユーロを投じて、豚肉の旋毛虫検査を行っています。 すべての豚の死骸の旋毛虫病検査を要請している EC 規制 2075/2005 (2006 年施行) により、これらのコストは増加傾向にあります。
規制要件が国ごとに異なるため、地域によってはお取り扱いできない製品があります。
臨床研究用途にのみお使いください。
