新型コロナウイルス検出において、PCR検査の知名度が一気に上がりました。
PCR検査と呼ばれていますが、使用しているのはリアルタイムPCRの機器になります。
そこで今回は、リアルタイムPCRにおける病原体の検出ついて、ご紹介いたします。
▼こんな方におすすめです!
- PCR検査の名前は聞いたことはあるけど具体的には何をしているのか知りたい方
- 新型コロナウイルス以外にもどのようなものに使われているのか知りたい方
PCR検査とは
PCR検査という呼称は広く知られるようになりましたが、「実際に何をしているの?」という方も多いのではないでしょうか。
PCR検査は、各種病原体の中の核酸(DNAやRNA)を検出する検査方法です。核酸は、4つの塩基と呼ばれるものが並んでできています。
皆さん個人個人で一部の塩基が異なった核酸を持っていますが、大部分は“人”であれば共通となります。細菌やウイルスなどの病原体もそれぞれこの核酸を持っており、人にはなく病原体にのみある塩基の並び(以下、配列)を検出することで、病原体がいるかを確認できます。
PCR検査の流れ
PCR検査が病原体の核酸を検出する検査、ということがわかりました。
具体的にはどのような流れで検査がされているのでしょうか。
病原体検出方法が国立感染症研究所のホームページなどで公開されています(公定法とも呼ばれます)。その中から、PCR検査の呼称が一般的となった要因の新型コロナウイルスの検出の流れ(病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1)を例に、リアルタイムPCRでどのように検出しているか見ていこうと思います。
流れは主に3つのステップに分かれます。
- 検体の採取
- RNAの抽出
- リアルタイムPCRでの検査
1. 検体の採取
こちらはインフルエンザの検査などで経験のある方も多いと思いますが、綿棒を鼻に入れて鼻咽頭ぬぐい液を採取するという方法があります。
新型コロナウイルスに感染している場合、この綿棒に病原体が付着します。

図1. 検体綿棒イメージ図
2. RNAの抽出
RNAを抽出するキットを使用して、検体からRNAを取り出します。

図2. RNA抽出イメージ図
3. リアルタイムPCRでの検査
目的の配列の増幅をリアルタイムで確認できるリアルタイムPCR機器を使用して、新型コロナウイルスの配列が増えてくるかを確認します。増えてくれば新型コロナウイルスがいたということで陽性、増えなければ新型コロナウイルスが検出限界以下となります。

図3. 増幅イメージ図
このような流れで日々の新型コロナウイルス検査は行われているということがわかりました。
※検査で陽性にならなかった場合でも、体にはウイルスが存在していて増加する前に検査をした際など、検出限界以下であっても感染の可能性は完全に否定できるものではありません。
PCR検査の応用
このようなPCR検査ですが、新型コロナウイルスのみではなく、さまざまな病原体にて実施が可能です。
先述した公定法に載っている別の病原体検出にも使用されていますが、呼吸器の感染症に関連する病原体の検出や尿路感染症、性感染症の病原体検出なども行うことができます。
当社ではこれらの感染症研究用に、Applied Biosystems™ TrueMark™感染症研究パネルをご用意しています。使いやすいプレートタイプの製品となっています。
まとめ
- PCR検査は、病原体の持っている核酸が検体に含まれているかを検査するということがわかりました。
- 検査の流れでは、採取した検体から核酸を抽出して、リアルタイムPCRで増幅の有無を見ていることがわかりました。
- PCR検査により、さまざまな感染症の検査ができることがわかりました。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。