みなさんは培養細胞を扱う中で、トランスフェクションにお困りではないでしょうか?
本記事では、多くの人が利用するトランスフェクションの最適化に役立つ要素10点(今回は1~5の下記5点)について紹介いたします。
以下の推奨事項はすべてsiRNAに関するものですが、miRNAmimic/inhibitorにも適用可能です。
1. 実験を行う際の一貫性
条件を最適化する際、プロトコルの各ステップを実施する順序、タイミングおよび方法に一貫性があるように注意しましょう。実験全体を通じてプロセスの変動が少なくすることで、結果の再現性と信頼性がより高くなるからです。
2. トランスフェクションプロトコルの適切な選択
- 標準的なトランスフェクションプロトコル(フォワードトランスフェクション)
- トランスフェクションの約24時間前に細胞を播種します。
- リバーストランスフェクション
- 細胞を播種する同じ時期にトランスフェクションを行うことが可能で、前日の細胞播種操作を省くことができます。さらに、適切なリバーストランスフェクションプロトコル(RNAiMaxの使用など)を用いた結果、ある細胞株ではより効率のよいトランスフェクトが可能になり、siRNA濃度の低減(オフターゲット効果を減少させる場合がある)や、より広範囲の細胞濃度で利用可能となることも分かっています。
3. 健康な細胞を最適な密度で播種
細胞は、40~80%のコンフルエント(細胞密度)で、比較的少ない継代数(50回未満など)で古すぎないものを使用する必要があります。これは、時間が経つにつれて培養細胞は、早期継代時の細胞と比べて表現型・成長特性などの発現プロファイルがより不均一になってくるからです。
また、多くの細胞は、培養条件によってストレスがかけられた場合でもこうした発現プロファイルの変化が発生してしまいます(下記参照)。
発現プロファイルの変化に影響し得る6つの要因
- 頻繁な温度・pHの変化
- 細胞の過剰成長による培地中の栄養不足
- 非常に低い細胞密度での継代培養に起因する不安定性
- トリプシンへの長期曝露
- 激しいピペット操作や遠心分離
- マイコプラズマ汚染
また、トランスフェクションを行う際には、細胞が多すぎるまたは少なすぎる細胞密度はトランスフェクション効率に影響を与える可能性があるので注意が必要です。
望ましいトランスフェクション容器の表面積に基づいて、細胞密度について条件検討するとよいでしょう。
4. 適切な培地および培養条件の選択
✔抗生物質
必要でない場合や、siRNAの細胞への取り込み時に細胞毒性を増加させてしまうこともありますので除いてください。
✔siRNAトランスフェクション試薬
トランスフェクションの条件として、無血清または低血清培地を必要とすることがあるため、必ずメーカーの推奨事項に注意してください。
✔培地
目的の細胞に適した培地を選択してください。例えば、他の細胞よりも多くのグルコースを必要とするものや、追加のアミノ酸を必要とする細胞もあります。
5. 高品質なsiRNAをより低い有効濃度での使用
siRNAは、エタノール、塩類などの合成過程でコンタミする物質を含まないようにしなければなりません。また、30 bpより長い二本鎖RNAは、非特異的なインターフェロン応答を活性化することによって遺伝子発現を変化させ、細胞毒性をもたらします。
いかがでしたでしょうか?
培養細胞におけるsiRNAの導入を最適化するTips トップ10【後編】についてもご参照ください!
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