▼もくじ
解析に欠かせない2種類の核酸定量装置
清水正和 氏、小久保美紀 氏(京都大学附属ゲノム医学センター)
次世代シーケンスの発展に伴い、ヒト全ゲノムを対象にした疾患等の遺伝的素因の解明が進んでいます。京都大学の附属ゲノム医学センターは、多くの共同研究者と共に、難治性疾患事業やながはまコホート事業に取り組んでいます。シーケンス解析を担当する清水正和氏と小久保美紀氏は、「サンプルの状態を正確に把握することが、信頼性の高い解析につながる」と語ります。
サンプル確認は確実に
ながはまコホート事業では約1万人のサンプルが解析され、そのうち3712人分のSNP多型データベースが公開されました。また疾患に関わるゲノム解析でも、膨大な数のサンプルを解析しています。委託会社へシーケンス解析を依頼することもありますが、清水氏らも1ヶ月に数百サンプルを解析しています。サンプルが多いからこそ精度管理が重要です。「共同研究者には、NanoDropシステムとQubitシステムで測定したデータとともにサンプルを送ってもらうようにしています」と清水氏は語ります。
それぞれのシステムの良さを活かす
「これまでは波長スキャンデータを目視して、不純物がないことを確認してきました。しかし、先日購入したNanoDrop Oneシステムには混入物を推定するAcclaroソフトウェアが装備されており、不純物の混入をアラートで知らせてくれます。おかげで、目視よりも客観的に判断することができそうです。今後FFPEなど、シーケンスが難しいサンプルから抽出したDNAを解析する機会が増えそうなので、この機能は助かりますね」と清水氏と小久保氏。「集まったサンプルをプールして、解析前には濃度を再測定し、ライブラリ調製に入ります。微量なサンプル濃度測定が必要となる場合もありますが、Qubitシステムは高い感度を有するので、検出限界付近の0.4ng / μLで測定しています。その後の実験には特に支障もなく、再現性も良いです。また最近、新しい実験プロジェクトで1本鎖核酸の濃度を正確に測定する必要があり、専用の測定試薬を使ってQubitシステムで定量しました。その結果、1本鎖核酸に紛れて、1割ほど含まれる2本鎖核酸を定量できました」と清水氏は続けます。今後も難病やがんに関わるゲノム解析を進め、病因究明や新たな医療を実現するサポートが続きます。
NanoDrop 超微量分光光度計 & Qubit Fluorometer
理想は2台。核酸やタンパク質の定量・定性に便利な光度計
ベンチトップ型のサンプル定量装置として、UVベースのThermoScientific™ NanoDrop™ 超微量分光光度計と蛍光ベースのInvitrogen™ Qubit™ Fluorometerを提供しています。NanoDrop 超微量分光光度計は、わずか数μLの微量なサンプル中の核酸やタンパク質を定量。Qubit Fluorometerは、測定分子を専用の蛍光試薬でラベルし、夾雑物中でも微量な目的分子を特異的に定量します。それぞれの特徴を生かして使い分けることで、実験の正確性と効率化が図れます。
NanoDropの詳細情報はこちらから
Qubit Fluorometerの詳細情報はこちらから
ライフサイエンス情報誌「NEXT」
当記事はサーモフィッシャーサイエンティフィックが発刊するライフサイエンス情報誌「NEXT」2016年7月号からの抜粋です。
NEXTのバックナンバーはこちら
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。



