古谷大輔 氏(札幌医科大学附属病院検査部)
髙橋 聡 氏(札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座教授)
CMLの診断および治療効果の指標となるのが、フィラデルフィア染色体上にある、恒常的活性型チロシンキナーゼBCR-ABLの発現量です。「国際的標準法ではリアルタイムPCR法による測定が推奨されていますが、標準試料の調製や検量線の作成などに経験や時間を要します。一方、デジタルPCR法は多数の微細ウェル中のターゲット遺伝子の有無を調べる仕組みなので、標準試料を使いません」と古谷氏。
「さらに、全てのウェルの結果からサンプル中のコピー数を統計的に算出することで、目的分子を絶対定量できます」とデジタルPCR法のメリットを加えます。古谷氏は、昨年の日本臨床検査医学会で、デジタルPCR法とリアルタイムPCR法による結果を比較検討し、0.97という高い相関があることを報告しました。また、白血病の微小残存病変(MRD)の指標となるWT1 遺伝子の検出法も開発し、数コピーのRNAもリアルタイムPCR法と遜色なく定量できることを示しました。「寛解状態となっても、体内に白血病細胞がわずかに残存していることもあり、経時的にMRDをモニタリングする必要があります。WT1 は白血病のみならず他のがんの指標にもなることが明らかになっており、応用が広がりそうです」。
古谷氏は新たな試みもスタートしています。「現在、CML以外の骨髄増殖性疾患でJAK2 遺伝子が注目されています。この遺伝子の産物は、エリスロポエチン依存的に赤血球の増殖を促します。しかしJAK2遺伝子の一塩基置換によって617番目のバリンがフェニルアラニンに変わることでチロシンキナーゼが亢進し、恒常的に赤血球を増殖させる機能獲得型となります(JAK2V617F)。標的医薬品も開発されたことから、JAK2遺伝子の変異の有無は治療方針への重要な情報になると期待されています」。しかしこの変異を検出する標準化法はなく、測定方法によって検出感度はまちまちでした。「検査キットもありますが、検査部で使うには高価で実用的ではありません。QuantStudio 3DデジタルPCRシステムは高感度で定量性が高く(図)、価格も手ごろ。また変異解析なら6時間後には結果が得られる点も評価しています。今後JAK2だけでなく、BCR-ABLの薬剤耐性変異T315Iの検出などへも利用できそう」と古谷氏は話します。
1%の変異を含むサンプルを解析しました。変異遺伝子をFAM(縦軸)、野生型をVIC(横軸)で検出。理論値と一致する定量結果を得ました。(データ提供:古谷氏)
「QuantStudio 3DデジタルPCRシステムは、サンプルをチップにのせた後に密閉するのでコンタミの心配が少ないですね。分子生物学のバックグラウンドのないスタッフでも操作が簡単です」と古谷氏。「リアルタイムPCRは、標準試料の準備に時間がかかり、操作や解析に慣れる必要があります。個人差や施設に影響なく同じ結果が得られるのは、デジタルPCRの大きなメリットです」と話します。
コンパクトサイズで使いやすいデジタルPCRシステムです。20,000個の微細なウェルを持つチップで、微量な遺伝子を絶対定量します。ヒトがん研究で汎用される遺伝子変異検出アッセイも続々ラインアップ中!
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