【まとめ】ウェスタンブロッティングについてのよくある質問と回答をまとめてみた

普段、お客様からいただくウェスタンブロッティングのご質問について、考えられる原因とその解決方法をまとめました。ウェスタンブロッティングでお困りの際はぜひ参考にしてください!

Q1:  シグナルが検出できない、またはシグナルが弱い

(原因)タンパク質が適切にトランスファーされていない

  1. トランスファー終了後のゲルを染色して、トランスファーが効率よく行われているか確かめてください。(タンパク質の量が少ないとバンドが検出できない場合があります)
  2. Pierce™ Reversible Protein Stain Kit for Nitrocellulose MembranesまたはPierce™ Reversible Protein Stain Kit for PVDF Membranesを用いてメンブレンを染色し、トランスファーが効率よく行われているか確かめてください。
  3. トランスファーでは、ゲルとメンブレンができるだけ接触するようにしてください。
  4. トランスファー装置を正しく組み立て、取扱説明書にしたがってトランスファーしてください。
  5. メンブレン供給元のプロトコルにしたがって、メンブレンを確実に湿潤させてください。
  6. トランスファー中にトランスファー装置が過熱しないように注意してください。
  7. トランスファーが確実に行えるタンパク質をポジティブコントロールとして使用してください。
  8. 有色分子量マーカーを使用して、トランスファーが行われたか確かめてください。
  9. トランスファー時間と電流の値を至適化してください。
  10. 目的のタンパク質が確実に電気泳動されていることを確認してください。

(原因)メンブレンへの結合が不十分

  1. トランスファー用バッファーにメタノールを20%添加するとメンブレンへの結合が改善することがあります。
  2. 分子量の小さいタンパク質はメンブレンを通過する可能性があるため、ポアサイズの小さいメンブレンを使用してください。

(原因)抗体量が不十分

  1. 抗体濃度を上げてください。目的タンパク質に対する抗体の親和性が低い可能性があります。
  2. 抗体がメンブレン上のタンパク質(または一次抗体)と反応するか、ドットブロッティングで確認してください。

(原因)目的タンパク質の量が不十分

電気泳動に用いるタンパク質の量を増やしてください。

(原因)バッファーにアジ化ナトリウムが含まれている

アジ化ナトリウムはHorseradish Peroxidase (HRP)の阻害剤です。バッファーの防腐剤としてアジ化ナトリウムを使用しないでください。

(原因)露光時間が短すぎる

フィルムへの露光時間を長くしてください。(SuperSignal化学発光基質は6時間以上発光を持続するので、発光中は何度でも露光できます)

(原因)化学発光基質と酵素の反応時間が短すぎる

SuperSignal化学発光基質を使用する場合には5分間インキュベーションしてください。

(原因)検出試薬が劣化している

  1. 化学発光基質の活性を調べるには、少量の検出試薬溶液を調製した後、暗室内で少量のHRP標識抗体を加えてください。青色の光が観察されなければ、基質またはHRP標識抗体のどちらかが劣化しています。
  2. SuperSignal化学発光基質を用いる場合、2種類の基質試薬(Luminol/Enhancer SolutionとStable Peroxide Solution)について、試薬容器間のコンタミネーションが起こらないように注意してください。保存中に2種類の基質試薬が混ざると、劣化の原因になります。

(原因)ストリッピングとリプロービングを行ったメンブレンを使っている

  1. メンブレンのストリッピングを行うと、抗原が剥がれたり変性したりする場合があります。
  2. 同じメンブレンに対するリプロービングをくり返す場合は注意してください。

ストリッピングとリプロービングについてはこちらの記事をご参照ください。
[ss url=”https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/protein-basic6/” width=”180″ class=”alignleft” alt=”知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第6回” rel=”nofollow” ext=0 title=”知っておきたい!タンパク質実験あれこれ 第6回 ウェスタンブロッティングにおけるストリッピング法とリプロービング法” caption=”今回ご紹介するストリッピングとリプロービング法を用いることで、一度化学発光検出したメンブレンから、簡便に抗体濃度や抗体の種類を変更して再度ウェスタンブロッティングを行うことができます。”]

(原因)メンブレン上で目的タンパク質が分解した

ブロッキングバッファーにプロテアーゼ活性を持った成分が含まれていないことを確認してください。

(原因)メンブレンの保存中にタンパク質が分解した

新しいメンブレンに再度トランスファーを行ってください。

Q2: バックグラウンドが全体的に高い

(原因)抗体濃度が高すぎる

抗体濃度を下げてください。

(原因)ブロッキングバッファーが不適切

組成の異なるブロッキングバッファーを検討してください。

(原因)ブロッキングが不十分

  1. ブロッキングバッファーのブロッキング剤濃度を上げてください。
  2. ブロッキングの時間、温度を至適化してください。少なくとも室温で1時間以上、あるいは4℃で一晩ブロッキングしてください。
  3. ブロッキングバッファーにTween-20(終濃度0.05%)を加えてください。ただし、Tween-20の濃度が高すぎると、メンブレンからタンパク質が溶離することがあるので注意してください。なお、StartingBlock™ T20 (PBS) Blocking BufferStartingBlock™ T20 (TBS) Blocking BufferSuperBlock™ T20 (PBS) Blocking BufferSuperBlock™ T20 (TBS) Blocking BufferにはTween-20 (0.05%)が含まれているものと含んでいないものをラインアップしていますので、すでに含まれているものをご使用の場合には添加する必要はありません。
  4. 抗体希釈液に、0.05% Tween-20を含むブロッキングバッファーを使用してください。

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