最先端材料の結合、配位、化学

材料内の原子の結合や配位の仕方によって、機械的、電気的、磁気的、光学的特性など、さまざまな重要な特性が決定されます。これらの側面を理解することで、さまざまな用途に合わせた特定の特性を示す材料を設計および制御することができます。たとえば、バンドギャップに関する知見を利用して、電子デバイスで使用するための適切な電子特性を持つ材料を設計できます。さらに、結合や配位の評価は、材料の反応性や化学的挙動のメカニズムを理解する手掛かりとなります。また、材料が他の物質とどのように相互作用し、化学変化を起こすのかを特定するヒントにもなります。この知識は、触媒の開発、腐食プロセスの理解、エネルギー貯蔵やエネルギー変換のための材料設計など、さまざまな用途に不可欠です。

電子ビームが試料と相互作用すると、さまざまな信号が発生します。これらの信号の一部はEDSおよびEELSに使用できます。

結合と配位を理解することは、材料における構造と特性の関係を理解する上で不可欠です。原子レベルの構造と化学を材料の特性と関連付けることで、材料の挙動を制御する根本的なメカニズムを解明することができます。この理解により、性能の向上、耐久性の改善、および機能性の調整を実現した新素材の開発が可能になります。。Thermo Scientific Iliad (S)TEMは、MultiEELモードなどの新しいデータ収集方法が可能になります。MultiEELSモードでは、高エネルギー分解能で複数のEELSエッジを取得できます。

 

概して、材料の結合、配位、および化学に関する包括的な理解は、研究とイノベーションを推進するために非常に重要です。これにより、希望する特性を有する材料を設計したり、新しい技術を開発したり、エネルギー、エレクトロニクス、ヘルスケア、および環境持続可能性などのさまざまな重要な分野の課題に対処することができます。

 

「サーモフィッシャーサイエンティフィックの新しいEELSソリューションを選択したことにワクワクしています。私たちはこれを使用して、エネルギーや量子応用分野の材料やデバイスをより深く理解することができるようになるからです。Zebra検出器を使用して、MultiEEELSモードで最高レベルのELNES分解能で複数のエネルギー領域およびケミカルエッジを捕捉できます。始めるのが待ちきれません!」
Jordi Arbiol教授、ICREA and Catalan Institute of Nanoscience and Nanotechnology (ICN2)

 


エネルギー分散型X線分析とは何か?

電子線が試料に照射され非弾性散乱されると、電子線のエネルギーが試料に与えられます。入射した電子は、試料中の原子の内殻電子を励起し、空孔を生成します。新たに生成された空孔を埋めるために、外殻の電子がエネルギーを放出してX線を発生させ、エネルギーの差を均衡させます。放出されたX線は、各元素および各殻が特定のエネルギーを持つため、試料の化学的特性の分析に使用されます。

EDS取得領域を示すDyScO3 のHAADF-STEM画像と、Sc、Dy、OのEDSマップ。

電子エネルギー損失分光とは何か?

電子エネルギー損失分光法は、材料の結合、配位、および化学的性質を理解するのに有用な技術です。EELSは電子ビームのエネルギー損失スペクトルを分析することで、材料中に存在する元素を高空間分解能で特定することが可能です。この情報は、材料の化学組成を理解するのに重要です。EELSはスペクトルの形状から、酸化状態の違いや、配位数、結合状態などの知見を得ることができます。この知見は、材料特性と反応性をよりよく理解するために不可欠です。つまり、EELSは材料化学の複雑な詳細を解明する上で重要な役割を果たしています。

EELSマッピング

EELSは、高い空間分解能により局所的な元素分析が可能です。EELSを用いて特定の領域、例えばアンプル内の界面や表面を調査し、局所的な結合や配位に関する知見を得ることができます。幅広い材料のナノスケール評価に特に有用です。

化学状態分析

EELSはサンプル内における元素の化学状態に関する意見を得ることが出来ます。異なる酸化状態や配位数、結合形態を識別できます。この情報は、原子がどのように結合しているか、またそれらの配置が材料の特性や反応性にどのように影響するかを理解するために不可欠です。

価電子マッピング

EELSは物質中の価電子の分布を調べることができます。このマッピングは、電気的特性や光学特性などの材料の特性を理解するために重要な、電子構造と結合相互作用に関する情報を提供します。

微細構造解析

EELSを使用して、エネルギー損失スペクトルの微細構造を解析でき、材料中の結合や配位に関する詳細な情報を明らかにします。エネルギー損失ピークとその強度を調べることによって、材料の微細な化学的性質に関する知見を得られるため、その化学的挙動の理解をさらに深めることができます。


電子ドーズ量の最適化

材料が電子ビームに曝されると、結晶構造の変化、構造変化、試料の加熱、劣化、および破壊などが起こりえます。微細構造評価をできるだけ正確に行うために、TEMユーザーは電子ビームの影響をできるだけ抑えるために、より少ないドーズ量で観察する必要があります。光学系や走査系の位置調整の際に照射される電子線は、情報をまったく提供せず、不要な照射損傷のみを引き起こします。NanoPulser静電ビームブランカーは、ナノ秒単位で電子ビームを試料から逸らすことにより、この不要な電子線照射の大部分を排除できます。これは時間分解実験にも使用できます。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.