アミノ酸の分析方法(HPLC)
タンパク質を構成するアミノ酸は食品から医薬品まで多くの製品に含まれており、アミノ酸の分析および定量はさまざまな分野で重要となっています。アミノ酸分析において一般的に使用されるHPLCによる分析および定量では、アミノ酸の多くが紫外線(UV)吸収をもたないことから、誘導体化を行い蛍光検出器で検出するポストカラム誘導体化がよく用いられています。この誘導体化法は、感度や選択性の向上が得られる一方で、操作が煩雑であることや、安定性が悪いといった問題もあります。このブログではプレカラム誘導体化およびポストカラム誘導体化の違いと、Thermo Scientific™ Vanquish™ Core HPLC システムの自動プレカラム誘導体化のメリットなどをご紹介します。
誘導体化の種類
アミノ酸の誘導体化法には、大きく分けて「プレカラム誘導体化」と「ポストカラム誘導体化」があります。
プレカラム誘導体化とは
プレカラム誘導体化とは、HPLCに試料を注入する前に前処理によりアミノ酸を誘導体化し分析する手法です。誘導体化試薬としてニンヒドリンやo-フタルアルデヒド(OPA)、クロロギ酸9-フルオレニルメチル(FMOC)などが使用されます。アミノ酸を誘導体化後に注入するため、ODSカラムでの分離が可能という利点がありますが、一般に試薬反応後の分解は早く、手作業による前処理では精度の良い測定は困難です。
ポストカラム誘導体化とは
ポストカラム誘導体化とは、HPLCにアミノ酸をそのまま注入し、カラムで試料を分離したあとに誘導体化試薬を反応させ蛍光検出する方法です。プレカラム誘導体化法と比較すると、前述の通り装置が複雑になり、誘導体化試薬を常に流し続ける必要があるため、試薬の消費量が多くなる、安定性が悪いなどの問題があります。
プレカラム誘導体化の可能性
上記の通り、プレカラム誘導体化には手作業での前処理が困難という弱点があります。このプレカラム誘導体化の弱点を克服し、高精度かつ再現性の高い実験結果をもたらすため、Thermo Scientific? Vanquish? Core HPLC システムのオートサンプラーには、カスタムインジェクションプログラムという機能が導入されています。カスタムインジェクションプログラムでは、指定したサンプルや誘導体化試薬を順番に吸引し、ニードルおよびループ内で混合することができます。これにより分析直前に自動でOPAやFMOCを用いたアミノ酸の誘導体化が可能となり、反応後の分解の影響を受けずに精度の良い定量分析が期待できます。
まとめ
下記のリンクよりダウンロード可能なアプリケーションノートでは、Thermo Scientific™ Vanquish™ Core オートサンプラーの機能を利用した便利、かつ簡単なアミノ酸の自動誘導体化法による分析をご紹介しています。20種類のアミノ酸を一度に誘導体化し、一斉分析することで効率的な測定を行った際の分析結果をご覧いただけますので、ご興味のある方はぜひダウンロードしてみてください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。