フローサイトメーターにおいて、研究対象として多く使用されている細胞は、血液細胞です。血液中の白血球を解析する場合、白血球数に比べ1,000倍以上の細胞数が存在する赤血球のデータの漏れこみが問題となります。多くの場合赤血球を除去するために、溶血処理や遠心操作を行います。それらの操作は煩雑であり、また細胞へのダメージやロス、凝集を起こすことがあります。
そこで今回は、血液を溶血も洗浄もせず簡単に血液を測定する方法(No-Wash,No-Lyse法)についてご説明いたします。
▼もくじ
No-Wash,No-Lyse法について
採取量が少ない小児検体や希少な検体でも解析が可能です。また血液量の少ないマウスに対して負担が軽減されるため、経時的な変化を同一個体から得ることができます。

No-Wash,No-Lyse法の2つの測定方法
1. バイオレットレーザーを使用し白血球を分離する
ブルーレーザーとバイオレットレーザーの側方散乱光(Side Scatter: SSC)を同時に使用することで、全血サンプルから白血球を分離することが可能です。白血球と赤血球ではバイオレットレーザーにおいて、異なる散乱特性があります。赤血球はバイオレットレーザーの光を吸収するために、白血球に比べ光強度が低くなります。

2. トリガー染色で白血球を分離する
白血球とその他の細胞を区別する染色を行うことで、全血サンプルから白血球を分離することが可能です。白血球マーカーであるCD45抗体や各細胞群特異的なマーカーを使用することで、赤血球などをゲートアウトできます。また赤血球や血小板は核を持たないことから、生きたまま核を特異的に染色できる細胞透過性色素(Invitrogen™ Vybrant™ DyeCycle™色素など)を使用することで、白血球だけを特異的に染色できます。

まとめ
No-Wash,No-Lyse法のメリットをまとめます。
・サンプル調製に対する時間、労力の削減
・本来の細胞の状態で解析が可能
・溶血や洗浄作業による細胞の減少を防止
・使用するサンプル、試薬の節減
No-Wash,No-Lyse法は、簡単に全血サンプルを測定できますが、少量のサンプルを数100倍から1,000倍に希釈する必要があります。そのため高速で測定が可能なフローサイトメーターが必須となります。当社のフローサイトメーター、Invitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometerは、従来型に比べ最大10倍まで高速で測定できます。皆さまの研究を変えることができる可能性を秘めたフローサイトメーターです。
No-Wash,No-Lyse法で調製したサンプルでのデモにご興味のある方はこちら »
No-Wash,No-Lyse法を用いた、カスタマーアプリケーションノートはこちら »
Attune実績 / ユーザーボイス
・自己免疫疾患に関連するC型レクチン受容体の機能理解を目指して(東北医科薬科大学医学部免疫学 中村晃 氏/海部知則 氏)
・間葉系細胞による免疫細胞の「末梢教育」に着目し、アレルギーや慢性疾患の機序解明へ(千葉大学イノベーション医学領域 倉島洋介 氏)
・疾患特異的マクロファージの機能的多様性(大阪大学微生物病研究所 佐藤荘 氏)
Attune NxTフローサイトメーター アプリケーションノート集無料ダウンロード
素早く・簡単・詰りづらい!解析に特化したフローサイトメーターAttune NxT Acoustic Focusing Cytometerを使用した実例と実験手法をまとめたアプリケーションノート集です。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



