弊社ではさまざまな実験技術のハンズオントレーニングを開催しています。今回は弊社でラボテクニシャンをしている私が、「トレーニングに参加されるお客様の気持ちを知りたい」という上司の依頼をうけ、かねてから興味のあった「細胞培養ハンズオントレーニング(1日コース)」に参加してみました。
ハンズオントレーニングとは、講義だけでなく実習もあわせた実験講習会のようなもの。座学だけのセミナーとは違い、実際に細胞培養の操作を学ぶことができます。
ちなみに、私は今まで微生物をメインで扱ってきたため、細胞培養は学生時の授業以来。ちゃんと理解できるか不安です・・・。

朝10:00(開場は20分前から)、いよいよトレーニングの開始です!
まずは座学から。

座学はテキストとスライドを使って進めていきます。まずは基本的な細胞培養の条件、初代培養細胞や細胞株の違いや、凍結細胞の起眠方法といった基本的なことはもちろん、担当講師の実体験も交えて話してくれるので、すんなり頭に入ってきます。ちゃんと理解できるか…という受講前の不安は一瞬で吹き飛びました。とっても分かりやすい!
さらに随所で質疑応答の時間も取ってくれますし、個々の研究テーマに合わせた方法や注意点も提案してくれたりするので、安心して研究を始められそうだと感じました。
続いてラボにある培養室に移動。いよいよ実習です。

先ほどの座学にあった凍結保存していたHeLa細胞(ヒト子宮頸がん由来)の起眠を実際に行います。培地の入れ方や、培養ディッシュの持ち方など、「これはどうするのだろう?」と思うことがあっても、担当講師が必ず横で見ていてくれるので、正しい手技手法をしっかり学べます!聞くのと実際に行うのとでは、やはり感覚が違うなと実感しました。午前中はここまででした。
午後は再び座学から始まります。
接着細胞のコンフルエントや、それに伴う弊害、コンタミネーションの対策と確認の仕方など、実験を行う上で起こってしまうトラブルについてもじっくり勉強しました。
コンタミネーションはいくら注意してもしすぎることはないですが、そんな悩みを解決してくれる一筋の光・・・Antibiotic-Antimycotic (100X)の存在を初めて知りました!
弊社で検証実験を行ったものがこちら!抗生物質の効果を目に見えて確認できますので、ぜひとも目を通していただきたい記事です。
【やってみた】培地をわざとコンタミさせて抗生物質の効果を検証してみた
午後の実習は、まず顕微鏡EVOS M5000にて細胞の状態を確認します。

Gibco™ TrypLE™ ExpressでHeLa細胞を処理して培養ディッシュから回収した後、生死判定ができるInvitrogen™ Trypan Blue Stain(0.4%)で染色し、血球計算盤で細胞を数えます。どう数えるかというと、手動カウンターと目視で数えるというもの。これは細かくて大変な作業でした。そこで弊社のInvitrogen™ Countess Ⅱを使うととても簡単にカウントすることがわかりました。血球計算盤と同じように、Trypan Blue Stain(0.4%)にて染色した細胞溶液を、専用のチップに流し込みCountess Ⅱにセット。ボタンを押すと、細胞の濃度、生死細胞の割合までパっと出してくれます!これは本当に簡単!

この後、指定の数の細胞を継代し、さらに凍結保存用チューブを作るために細胞をRecovery™ Cell Culture Freezing Mediumと混合し、凍結用チューブに移して終了。培養を行うために必要な基本的なことを学べた、とても充実した一日になりました。
なお、起こした細胞や継代した細胞は、翌日の様子を写真に撮って参加者のみなさまへお送りしていますので、自分の手技をよりはっきりと確認できます。私の継代した細胞もすくすくと育っていました。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
「細胞培養、自信ないな」、「これから始めたくて正しい知識と技術を身につけたいな」と思われている方にぜひ受けていただきたいハンズオントレーニングです。また、培養細胞を使った実験も含めてしっかりと学びたい方は細胞培養2日間コースもあります。
遠心分離などの合間に、担当講師が見せてくれた細胞分裂のタイムラプス映像がとても面白かったです。ご覧になりたい方は、ぜひご参加を!
他にも、たとえばリアルタイムPCRやウェスタンブロッティングなどを実際に実験(実習)を行いつつ学べるハンズオントレーニングを多数開催しています。皆様のご参加をお待ちしております。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



