実験で欠かせない道具といえば、マイクロピペットを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。マイクロリットル単位の溶液を分取したり、マイクロチューブに液体を加えて他の試薬と混合したりするためには必須の道具ではないでしょうか。今回は空気置換式のマイクロピペットでのちょっと便利なテクニックを動画でご紹介します。
フォワード法(通常のピペッティング)
まずはこちらの動画をご覧ください。
親指でプッシュボタンを操作することで、液体を吸ったり吐いたりできます。この動画のピペッティングはフォワード法と呼ばれ、最も一般的な操作方法です。

図1.フォワード法のプッシュボタンの動き
取り扱う液体について、あらかじめ吸引と排出を繰り返す「プレリンス」を実施すると、チップ内部に液体が馴染み液体分取の正確性が向上します。このプレリンスは揮発性が高い液体を扱う時にも効果的です。つまり、プレリンスを実施することで、ピペット内部の空気が置換されます。このことにより、ピペット内部での揮発が起きにくくなり圧力変化が低減することで、チップ先端からの液垂れを防ぐことができます。
リバース法とリピート法
次にこちらの動画をご覧ください。
リバース法とリピート法は、2段階目までプッシュボタンを押し込んでから溶液を吸ったり吐いたりすることが特徴です。
リバース法は、粘性の高い液体や泡立ちやすい液体の分注におすすめです。吸った液体を全て出し切ることなく適量を分注できるので、チップの中に液切れが残るような粘性の高い液体でも正確に分注することができます。また、液体を排出する時に2段階目まで押し切らないので気泡、泡立ち、飛沫の発生を防ぐことができます。適する液体の例としては、グリセロールやTween™ 20などが挙げられます。
リピート法は、同一容量の1種類の液体を連続的に分注する際におすすめです。リバース法と同様、2段階目まで押し切らないので、気泡を発生させることなく効率的に分注することが可能です。便利な使用場面としては、96 well PCRプレートに同じ反応液を分注する時や、希釈系列での検量線作成の際などが挙げられます。

図2.リバース法のプッシュボタンの動き

図3.リピート法のプッシュボタンの動き
まとめ
今回はピペッティングのちょっとしたテクニックを動画でご紹介しました。図1、2、3のように、プッシュボタンや親指の動きを図で説明する資料を見かけることもありますが、実際に親指の動きや液体の吸入・排出の様子を動画で見て頂いた方が理解しやすいかもしれません。最も基本的なフォワード法だけでなく、リバース法やリピート法も活用して、皆様の実験にお役に立てていただけたらと思います!
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Tween™ 20 is a trademark of Croda Americas LLC.
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。