リアルタイムPCRをしていると、TaqManという言葉をよく耳にすると思います。この語源についてはご存知でしょうか?ありがちな人物名?いいえ、そうではありません。なんとあの有名なゲームが由来です。今回はTaqManアッセイの真実というテーマで意外と世間に知られていない5つのヒミツについてご紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・SYBR Green法で結果が出なくて苦労している方
・他社のTaqManプローブを用いて特異性の確保に苦労している方
・遺伝子発現解析以外のリアルタイムPCRの活用方法を模索している方
▼もくじ
その1. TaqManアッセイの由来
Applied Biosystems™ TaqMan™アッセイはもともと1980年代のビデオゲーム、Pac-Manにちなんで名付けられました。Pac-Manは、日本のビデオゲームデザイナーである岩谷徹氏によって開発されたゲームで、国内外で絶大な人気を博しました。
TaqMan技術について記述した最初の論文では、Taqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性がPac-Manのゲームと類似していることを暗示しています。
その2. プローブに工夫がしてあります
TaqManアッセイでは特異性を高めるために特別なプローブ(MGB-NFQ)を使用しています。
すべてのTaqManプローブは以下3つの物質がオリゴに結合しています。
1. 5’末端:蛍光レポーター色素
2. 3’末端:非蛍光クエンチャー(Non Fluorescent Quencher; NFQ)
3. 3‘末端のNFQに連結:マイナーグルーブバインダー(Minor Groove Binder; MGB)

qPCR装置 は5’蛍光レポーター蛍光を検出し、サンプル中のターゲットを定量します。ポリメラーゼがTaqManプローブまで伸長すると、内因性5’ヌクレアーゼ活性によりプローブが切断され、蛍光とクエンチャーとの物理的距離が離れることで蛍光を発します。PCRサイクル毎に合成されたアンプリコンの量に比例して蛍光強度が増加します。
NFQはTaqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプローブが分解されるまで、5’末端の蛍光を消光します。クエンチャーとしてTAMRA蛍光を使用するプローブもありますが、バックグランドが高くなることがあります。代わりに非蛍光のNFQを使用すると、シグナルノイズ比をより大きくことができるので、アッセイの感度が増加します。
MGBは、二本鎖DNAのマイナーグルーブにぴったりとはまる小さな分子です。MGBによりプローブの塩基鎖長が短いままでも融解温度(T m)を高くすることができるため、プローブの特異性を確保しやすくなります。また、塩基配列における設計対象の範囲が広くなりますので、ゲノムDNAの検出を避けるためのエキソン-エキソンジャンクションへのプローブのデザインもしやすくなります。
下記にTaqManアッセイのクエンチャー分子について動画で紹介していますので、ぜひご覧ください!
その3. 多種多様なアプリケーションに対応
TaqManアッセイは以下に示すような多くのアプリケーションに対応しています。
遺伝子発現定量
miRNA発現定量
ジェノタイピング
コピー数多型検出・定量
希少変異検出・定量
タンパク質定量
その4. 研究の効率化
性能保証付きの最適化された1,000万を超えるデザイン済みのTaqManアッセイを取り揃えています。実験系の最適化の時間を節約できますので、迅速に研究成果を取得できます。
その5. 豊富な実績-引用文献
TaqManアッセイは信頼性の高い試薬として長年にわたり継続してご利用いただいており、4万を超える論文が報告されています。他の5’ヌクレアーゼアッセイ試薬の報告数と比較して3倍多いです。
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