河原裕憲氏(金沢大学医学系免疫学)
生体内で様々な細胞間情報伝達を介在する細胞分泌小胞として注目されるエキソソーム。金沢大学の河原裕憲氏は、神経細胞とグリア細胞間の情報伝達機構に関与する分子メカニズムの解明を目指し、神経系エキソソームに内包される新規タンパク質やRNAを探索中です。
具体的にはパーキンソン病の原因遺伝子の一つであるα-synucleinをCa2+ 刺激依存的エキソソーム内包マーカーとして、刺激前後の分子種の変化を調べています。 「研究を進めるために、初代培養神経細胞への遺伝子導入を行うことにしましたが、分化した神経細胞への遺伝子導入は難しく、私自身もエレクトロポレーションやレンチウイルス、トランスジェニックマウス等様々な方法で試してみましたが、手間をかけずに効率良い方法を探していました。そこで試薬を使い、もっと簡便に遺伝子を導入できないかどうか、Invitrogen™ Lipofectamine™ MessengerMAX でmRNAによる導入を試してみました(下の写真)。
すると突起を伸ばした典型的な初代神経細胞でGFPの発現を確認でき、細胞毒性もほとんど観察されませんでした。しかもmRNAなので、タンパク質への発現も早い様です。今後、初代培養神経細胞の異なるステージで遺伝子導入を行い、その違いを観察してみたいですね。そして神経系のエキソソーム中のどのような分子を介して情報伝達が行われているのか。その正体や機能に迫りたいと思っています」と河原氏。神経系に特異的なエキソソームの作用機序の解明を足掛かりに、疾患の病態理解や創薬への応用が期待されます。
[マウスの初代神経細胞への遺伝子導入]
マウス初代海馬神経細胞へ分化後13日目に、Invitrogen™ mMESSAGE mMACHINE™ T7 ULTRAで転写したGFP遺伝子のmRNAをLipofectamine MessengerMAXを使って導入。神経突起を伸ばした複数の細胞でGFPの発現を確認できました。Lipofectamine MessengerMAXの方がLipofectamine 3000よりも導入効率が良好でした。
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