ムール貝の北米最大の生産加工業者であるアトランティックアクアファーム社、その水産養殖イノベーションチームのディレクターであるTiago Hori博士にとって、シーケンシングによるターゲットジェノタイピング(GBS)を水産養殖に取り入れることにおける課題は、コストダウンでした。Hori博士が見つけた解決策はApplied Biosystems™ AgriSeq™プラットホームであり、アトランティックアクアファーム社での効果的な活用方法についてご紹介いただきました。
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AgriSeq Target GBSソリューションをどのように活用していますか?
水産養殖それ自体が、Hori博士とアトランティックアクアファームが直面した課題でした。「多くの家畜の場合、一頭あたりの価値が非常に高いため、繁殖のためのゲノム選択は、Applied Biosystems™ Axiom のような高密度アレイを使用して行われます」とHori博士は説明します。「水産養殖では、1匹あたりの価値が非常に低いため、個体あたりの遺伝子型決定コストを削減するよう努めなければなりません。」これは、大規模パネルを使用するのではなく、価値の高いゲノムターゲットを見つけて、それらにフォーカスすることを意味します。
アトランティックアクアファーム社は、高密度のApplied Biosystems™ Axiomアレイが利用可能になり次第、使用を開始しました。これにより、集団内で有意に変動する約50,000の一塩基多型(SNP)サイトをゲノム全体にわたって特定でき、その情報を使用して、より少ないSNPを対象とする安価な384アレイを構築しました。Hori博士はさらに、生物種ごとに特化した2,000~3,000のもっとも有用なSNPを備えたApplied Biosystems™ AgriSeqパネルを開発することにより、大きなコスト削減を達成しました。
専用に開発されたAgriSeqパネルを使用する理由
Hori博士は「このプラットホームは、水産養殖におけるゲノム選択を効果的に実現する唯一の方法です」とシンプルに説明しています。AgriSeqパネルは、低密度なPCR法と高密度であるがより高価なアレイの中間となる、1,000~5,000カ所のSNPタイピングを低コストで実現します。Hori博士と彼のチームは、以前から養殖されて確立されている種ではない、つまり「既にアレイが存在するアトランティックサーモンで利用できるようなリソースを持っていない」新たな養殖種にゲノム選択を適用できます。
AgriSeqテクノロジーを採用してよかった点は?
Hori博士は、Axiomテクノロジーが彼の業務で機能するかどうかについては心配していませんでした。むしろ、彼の懸念はAgriSeqプラットフォームでした。「アレイを使用することは他のグループによって過去に検証されていたため心配していませんでしたが、一部の水生動物は非常に複雑なゲノムを持っているため、AgriSeqプラットホームが正しく機能するか少し心配しました」。一部の魚は、最大400本の染色体と、最大4倍体の倍数性を持つ可能性があり、従来の動物ゲノミクス手法に比べ複雑です。
変異検出とマッピングのエラーについて懸念がありましたが、Hori博士のチームは、当社と協力して、複雑なゲノムに対するいくつかのパネルを開発でき、それらカスタムデザインのパネルはうまく機能しました。サーモフィッシャーサイエンティフィックのオースティンチーム(AgriSeqの開発チームはテキサス州オースティンにあります)について「バイオインフォマティクス技術を通じて私たちを助けてくれました。私たちのゲノムは大きすぎて、設計には通常のWebプラットホームを使用できなかったため、サーモフィッシャー側でデザインを行ってくれました」とHori博士は説明します。「とてもいい経験でした。」
今後どのように業務が進展していくと思いますか?
魚類用のAgriSeqパネルの作成に成功した後、アトランティックアクアファーム社は、このプロセスを貝類、つまり魚類とは非常に異なるゲノムを持ち、一匹あたりの価値がさらに低い新興種に応用することに関心を持っています。これを念頭に置いて彼らは、より多くの生物種について、経済的でありながらゲノム選択のための十分包括的な情報を得ることができるポイントを見つけるために、1,000さらには500 SNPといったより焦点を絞ったパネルを求めています。Hori博士は「水産養殖のジェノタイピングにおいて、可能な限りの低コスト化を常に追求するつもりです」と語っています。当社は彼らがそれを実現するのを支援する準備ができています。
アグリゲノミクスを水産養殖に導入する方法の詳細については、当社のアグリゲノミクス関連製品ページを、マイクロアレイとGBSを用いたアグリゲノミクスソリューションについては、こちらをご覧ください。パンフレットのダウンロードおよび、お問い合わせフォームから直接ご質問いただくことも可能です。
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。