温室効果ガスの削減に向けて:アイルランド牛の遺伝子試験

温室効果ガスの削減と畜産にはどのような関係があるのでしょうか?
今回は、アイルランドの温室効果ガスの削減に向けたアイルランド牛の遺伝子改良に向けた取り組みをご紹介します。

ICBFのAxiomジェノタイピングアレイを用いた取り組み

ゲノミクス技術は、大きな問題を解決し、今日では不可能に思える動物繁殖の新しいパラダイムを確立する可能性を秘めています。
アイルランドの畜産組織と農家の協同組合であるICBF(Irish Cattle Breeding Federation)はその実現を誓ったグループの一つです。ICBFのテクニカルディレクターであるアンドリュー クロミー博士は、アイルランドの乳牛と肉牛の遺伝的改善を主な目的として、ゲノミクスツールを使用してアイルランド牛の大規模遺伝子型判定を監修しました。

ICBFは現在、最先端のツールであるApplied Biosystems ™Axiom™ ジェノタイピングプラットフォームを用いて、一段上のレベルに改良するために必要なデータを収集しています。クロミー博士は「ゲノミクスは、広大な牛集団にその特性を広める価値のある遺伝的外れ値を特定することで、私たちが目指す遺伝的獲得量への到達を加速させるための重要なツールです」と話します。若いと特定された場合、この牛は今後の品種改良への焦点となり得ます。つまり、早期の識別により早期対応が可能になり、農家はこれまでの方法よりも格段に短期間で、目的の形質がどれだけ効果的に伝播しているかを判断できます。ICBFは、肉用牛向けの大規模なプログラムと乳牛向けの開発プログラムを走らせており、これらの遺伝子獲得を加速するために大規模のゲノム情報を収集することを目的としています。

アイルランドにおけるゲノミクスの畜産業への応用とメタン排出量削減

アイルランドは、国内消費量の10倍の牛を生産し、生産量の90%を主に英国、欧州およびアジアに輸出しています。この畜産規模の壮大さは、アイルランドの温室効果ガス総排出量の約33%を主に牛からのメタンで産出していることからも理解できます。そしてICBFはアイルランドの牛のメタン排出量を減らす可能性のある遺伝的改良を模索しています。クロミー博士は、これはメタン生成量が少ない動物を繁殖できるかどうかを見極めるアイルランドの主要なプロジェクトであると示唆しています。つまり家畜による温室効果ガス排出量は削減を達成できる分野だと見なされているのです。ICBFチームは、Applied Biosystems™ Axiom™ myDesign Arrayを利用して、畜産の気候的・環境的影響に関連する可能性のある形質情報を集約すると共に、二酸化炭素排出量を削減する可能性のある優れた動物とその形質を特定しています。

将来の目標は何ですか?

ICBFの目標は、アイルランドのすべての牛を遺伝子型判定することです。完全に遺伝子型判定された集団をモニタリングすることで、追跡可能性と出自のデータが大幅に改善され、前例のないレベルでの品質管理が可能になります。さらに、完全に遺伝子型判定された牛群は、遺伝的獲得量を未知のレベルまで最大化して品種改良を実施し、アイルランドの牛群全体の遺伝的背景を明らかにします。このようなデータは、研究者とブリーダーの両方にとって大きな恩恵となるでしょう。

サーモフィッシャーサイエンティフィックのICBFの取り組みへの支援

今回ご紹介したアイルランドでの牛ゲノミクスプロジェクトを通じて、ICBFはこれまでに約200万頭の遺伝子型を特定しました。サーモフィッシャーサイエンティフィックからの直接のサポートの元、Axiom Genotyping Arrayを用いることで、ICBFは最初の1年間で30万頭以上の動物の遺伝子型を特定しました。また、当社と緊密に連携してカスタマイズされたBovine Arrayを用いて2回目の反復テストを実施しました。
ICBFは今年も同様の収穫量を期待しており、テスト結果を年間250万頭に増やすことで、アイルランド全体の牛の遺伝子型判定完了を達成することを期待しています。当社との緊密で継続的な連携により、クロミー博士とそのチームは、これらの目標が達成可能であり、アイルランドの牛産業に十分に期待された結果を返すことができると確信しています。

Applied Biosystems™のAgrigenomicsの製品とサービスの詳細については、
当社のWebページにアクセスください。
Axiom牛アレイの詳細については、Applied Biosystems™ Axiom Bovine Genotyping v3 Array(384フォーマット)、Applied Biosystems™ Axiom Bovine Genotyping v3 Array(mini-96フォーマット)、
およびApplied Biosystems™ Axiom Genome-Wide BOS 1Bovine Arrayの詳細をご覧ください。動物ゲノミクス製品のAgriSeqの詳細については、こちらをクリックしてください。

AxiomジェノタイピングソリューションやAgriSeq GBSソリューションの詳細については当社までお問い合わせください。

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ICBFは畜産牛由来のメタン排出量を削減するための遺伝的改良をApplied Biosystems Axiom Arrayを用いて取り組んでいます。

 

研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。

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