【やってみた】フローサイトメトリー用抗体の保存方法を検証してみた

フローサイトメーターを利用した解析において、一番多く行われているアプリケーションは抗体を使用した解析です。その抗体には蛍光物質が結合しており、蛍光物質の違いによって多くの情報を簡単に入手できます。
そこで今回は抗体の保存方法について検証してみました。何気なく行っている抗体の保存について注意すべき点が見えてきました。

検証方法

蛍光標識抗体を透明なマイクロチューブに分注し、光に対する影響を確認するために、チューブをアルミホイルで包んだ遮光(Dark)条件と、蛍光灯下(Light)にそのまま置く条件で比較しました。また温度に対する影響を確認するために、冷蔵庫(Cool)内に保存する条件と室温(RT)であるラボ内に置く条件で比較しました。これら4つの条件でどの程度、蛍光標識抗体の蛍光シグナルの強度に影響があるか、1日後と7日後にInvitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometerで測定し確認してみました。

保存条件
① 冷蔵 / 遮光 (推奨条件)
② 冷蔵 / 蛍光灯下
③ 室温 / 遮光
④ 室温 /蛍光灯下

使用抗体
1. CD8-FITC
2. CD4-PE-Cy7

保存方法の検証結果1 ~ FITC ~

FITC標識抗体では、放置前FITCポジティブ集団の輝度(median値)を100%とした場合、1週間後の遮光条件では、温度に依存することなくほとんど変化がありませんでした。しかし④ 室温 / 蛍光灯下条件では輝度が60%、②冷蔵 / 蛍光灯下条件では80%まで低下しました。

保存方法検証結果2 ~ PE-Cy7 ~

PE-Cy7標識抗体では、FITC標識抗体と同様に1週間後でも遮光条件におきましては、温度に依存することなくほとんど変化がありませんでした。しかし蛍光灯下条件ではFITC標識抗体に比べて影響が大きく、特に④ 室温 / 蛍光灯下条件では測定結果に影響が出る程度まで輝度が下がりました。

まとめ

基本的には製品マニュアルやラベルに記載されている、保存条件に従っていただくことをお勧めいたします。今回、2種類の蛍光標識抗体を用いて4つの条件で検証した結果、光の暴露が製品の劣化を早めることが分かりました。特にPE-Cy7のようなタンデム色素は、光への感受性が高く注意が必要です。抗体を長期に亘り安定的にご使用いただくためには、以下に注意してください。

・紙製のストレイジボックスなど遮光可能な容器に入れて保存する
・分注保存する際には、遮光性のあるマイクロチューブを使用する
・使用時、ふたを開ける時間をできるだけ短くする

弊社では免疫学、腫瘍学などに用いられるマルチカラーフローサイトメトリー用の蛍光色素コンジュゲート抗体および関連試薬をご用意しています。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

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