あっという間にシーケンス解析!ルーチン作業の時間短縮にBigDye™ Direct Cycle Sequencing Kit

シーケンス解析をしていると、反応や精製の作業ステップが多く、毎回同じ試薬を使い、同じ作業、どこか省略できないのかと考えてしまうときはありませんか?でも、シーケンス反応って他に方法ないよね?と、半ば諦めの境地にいらっしゃる方も多いのでは?今回は、そんな皆さんに是非試して頂きたい、Applied Biosystems™ BigDye™ Direct Cycle Sequencing Kitをご紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・シーケンスワークフローの時間短縮をしたい方
・同じ領域を繰り返しシーケンスしている方

PCR反応後のチューブに、試薬を添加していくだけ!PCR後の精製も不要!

従来のステップを改めて確認してみますと、

DNA抽出→目的領域をPCRで増幅→PCR後の精製→濃度確認→シーケンス反応→シーケンス反応後の精製→シーケンサーで泳動

と、チューブからまた別のチューブへと反応液を移し、試薬を添加して、という作業が続き、ほぼ丸一日かけての作業になります。

ここで今回お勧めしたいBigDye™ Direct Cycle Sequencing Kitの中身を見てみましょう。
・PCRマスターミックス
・シーケンシングマスターミックス
・シーケンス用プライマー(M13 Forward/Reverse)
なお、PCR用プライマーはご自身で用意いただくことになりますが、このキットさえれあれば、PCR反応~シーケンス反応まで賄えてしまう、というわけです。

ただし、ご準備いただくPCR用プライマーに、一つ注意点があります。
キットの内容を見ていただくとわかる通り、シーケンスプライマーはすでにM13 Forward/M13 Reverse と決まっています。そのため、PCR用プライマーには、Forward, Reverseともに5’末端にM13配列を付加したM13 tailed プライマーを準備し、PCRでM13の配列を含む断片を増幅させる必要があります。

では、早速BigDye™ Direct Cycle Sequencing Kitのワークフローを見ていきたいと思います。

①PCR反応(Forward,Reverse用に2チューブ準備)
・チューブに、DNAテンプレート、M13 tailed PCRプライマー(Forward,Reverse)、キットに含まれるPCRマスターミックスを添加し、サーマルサイクラーでPCR反応(~約90分)

②精製+シーケンシング反応
・PCR反応が終了した2チューブに、それぞれキットに含まれる試薬とM13プライマーを添加
Forward用:シーケンスマスターミックス+M13プライマー(Forward)
Reverse用:シーケンスマスターミックス+M13プライマー(Reverse)

このまま、サーマルサイクラーにかけ、シーケンス反応開始です。既にお気づきかもしれませんが、PCR後の溶液を移し替える必要がないのです!そして、PCR反応後の精製も必要ありません。これはシーケンシングマスターミックスに、PCR後の精製試薬と、シーケンス反応用試薬が含まれているためです。試薬を添加して、サーマルサイクラーに置くだけで、PCR後の精製と、シーケンス反応が終了。すでに、ここまでで簡便さを感じてしまった方も多いのではと思いますが、次のシーケンス反応後の精製も簡便な試薬がありますので、併せてご紹介します。

さらにBigDye X Terminator Purification Kitとの組み合わせで、最後まで1チューブで反応可能

皆さんは、シーケンス反応後の精製をどのようにされていますでしょうか?
エタ沈、カラム精製などされている方も多いと思いますが、エタ沈ではペレットも一緒に捨ててしまった!なんて苦い経験はありませんか?
ここでは、そんなお悩みを一蹴する、Applied Biosystems™ BigDye XTerminator™ Purification Kitをご紹介したいと思います。

BigDye Direct Cycle Sequencing Kitでシーケンス反応まで行った後、この精製キットを使用すれば、PCR反応~シーケンサーに掛けるまで、なんと1チューブで完結してしまうのです!
BigDye X Terminaor Purification Kitは、
・SAM solution(バッファー)
・BigDye X Terminator(ビーズ)
で構成されています。

この2液をシーケンス反応後のチューブに添加、そのままミキサーで攪拌します。この時に、シーケンス反応に使用されなかった、余剰のDyeがビーズに吸着します。その後遠心で、余剰Dyeがビーズに吸着したままチューブの底に沈み、上清には目的の断片のみが存在する状態、となるわけです。
当社製品(SeqStuio, 3500/3500xl, 3130/3130xl, 3730/3730xl/3730xl-LV)を使用されている方はBigDye X Terminatorで精製したサンプル専用のランモジュールの用意がありますので、チューブの底にビーズが沈殿した状態で装置にセットしてもOKです。1チューブに試薬を添加するだけで、最後まで作業が終わってしまうのです!

同じ領域を繰り返しシーケンスしている方には非常にお勧め!

ここまで読んで頂いて、この試薬を早速使ってみようかな!と思ってくださった方もおられるかもしれません。ただ、この試薬を使用するには、PCRプライマーにM13の配列を付加して合成する必要がありますので、コストが少し上乗せされてしまいます。このため、さまざまな領域のシーケンスを考えている方は、その都度M13 tailedプライマーを設計しなくてはいけませんし、その分コストもかかってしまいます。
逆に、決まった領域のみを何度もシーケンスするような、ルーチン作業をされている方には、非常にマッチしていますので、作業の簡便化に貢献してくれること間違いなしです!

まとめ

・試薬を添加していくだけの簡便さ
・BigDye X Terminator Purification Kitとの組み合わせで、PCR反応からシーケンスランまで一つのチューブで完結
・同じ領域を繰り返しシーケンスする場合にはピッタリの試薬

【無料公開中】サンガーシーケンスの基礎

このケミストリーガイドでは、ワークフローからアプリケーションまでサンガーシーケンスの基本原理を学べます。

ダウンロードする

 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

記事へのご意見・ご感想お待ちしています

  • サーモフィッシャーサイエンティフィックジャパングループ各社は取得した個人情報を弊社の個人情報保護方針に従い利用し、安全かつ適切に管理します。取得した個人情報は、グループ各社が実施するセミナーに関するご連絡、および製品/サービス情報等のご案内のために利用させていただき、その他の目的では利用しません。詳細は個人情報の取扱いについてをご確認ください。
  • 送信の際には、このページに記載のすべての注意事項に同意いただいたものとみなされます。