はじめに
GCなど分析装置でよく使われるヘリウムガスですが、最近、当社ユーザーから「ヘリウムが高くなった」「納期がものすごく長くなった」と聞いています。
昨今の輸入価格の高騰と供給不足により、アミューズメントパークでの風船中止というニュースが各メディアで話題になりました。(日本経済新聞電子版*1)さらにはロシアのウクライナ侵攻により、ヘリウム入手がますます困難になってきたようです。(NHK首都圏ナビ*2)
国内の影響として、産業ガス最大手の太陽日酸がヘリウムの出荷について2022年4月より制限すると発表*3 しており、さらなる価格上昇と入荷遅延が見込まれるため、ヘリウムガス取り扱いの見直しが迫られています。
このような中でも、実験する手を止めることはできません。何かいい方法はあるのでしょうか?
今回は、簡便にヘリウムガスの使用量を抑えることができる方法を紹介します。
▼こんな人におすすめ
・GCを使用している方
・キャリアガスを変えることにためらいがある方
・実験のランニングコストを削減したい方
分析装置(GC: ガスクロマトグラフ)への影響
私が扱っている分析装置としてGCがありますがヘリウムの使用が欠かせません。キャリアガスをヘリウムから水素に変更する方法もありますが、保持時間の変更、感度低下、質量分析計のスペクトル変化、可燃性ガスの取り扱い、漏洩時の安全装置の増設など、様々なハードルがあるのが事実です。既存の分析メソッドを変更せず、ヘリウムの消費を減らすこともソリューションのひとつだと私は考えています。
GCのヘリウム節約ソリューション
サーモフィッシャーは独自の設計で大幅なヘリウム節約を達成できるスプリットスプリットレス(SSL)注入口を提供しています。従来のものとくらべて、測定をしているときも測定をしていないときも大幅にヘリウムの消費量を節約できます。数年前のヘリウム供給不足の際も、本注入口が大変好評でした。
本注入口モジュールは後付可能なモジュールでTRACE 1300 GCシリーズ(販売終了)と新製品のTRACE 1600 GCシリーズに対応します。
ヘリウムの具体的な節約量はシミュレーターから計算できます。
図の条件で、ガスセーバー不使用、ガスセーバー使用、ヘリウムセーバー使用を比較したとき、ヘリウムセーバーを使用すると最大で96%ものヘリウム消費量削減を期待できます。計算上ではなんと25倍も長持ちします。ガスセーバーとヘリウムセーバーを比較しても7倍以上長持ちします。

ヘリウム節約SSLモジュールは、注入口で廃棄してしまうスプリットガスやパージガスを窒素ガスで補い、分析カラムには必要最少量のヘリウムを流す特許技術を採用しています。これまでのGC、GC/MS条件をそのまま移行できるので分析条件の再検討が必要ありません。
【無料ダウンロード】ヘリウムガスの消費量削減に効果的なGCソリューション ヘリウムセーバーモジュール
今回紹介したヘリウム節約SSLモジュール注入口に関する詳細な資料はこちらからダウンロードください。
*1 : 日本経済新聞電子版
*2 : NHK首都圏ナビ
*3 : 太陽日酸News Release
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



