熱分解(パイロライザー)GCシステムは、高分子材料分析において重要なツールです。熱分解装置を使用した分析には大量のキャリアガスが必要ですが、キャリアガスとして使われるヘリウムガスは供給不足により価格の上昇や納期遅延が問題となっています。そのため、「測定を円滑に行えない」という声がよく聞かれます。本記事では、当社のHeSaver-H2Safer技術を採用することで、ヘリウムキャリアガスの大幅な節約と、安全に配慮した水素代替キャリアガスの活用例を紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・ヘリウムを継続して使用したいがヘリウムの供給不足に困っている
・代替ガス(水素)の使用を視野に入れているが加熱炉での反応性や安全面が心配
▼もくじ
ヘリウム節約機能を用いた測定例(HeSaverモード)
多くの熱分解GCシステムでは、高スプリット比によるトータルフロー量の多いメソッドを一般的に用いるため、ヘリウムガスを大量に消費してしまいます。しかし、質量分析計を検出器とした場合(PY-GC-MS)、水素や窒素を代替ガスとして使用すると、水素の使用ではマススペクトルに変化が生じ、窒素の使用では感度が低下する可能性があります。
HeSaver-H2SaferのHeSaverモードは、窒素を加圧ガスとして使用し、ヘリウムをキャリアガスとして併用する特許技術です。この技術により、ヘリウムの消費量を最大でも9 mL/分に抑えることが可能です。これにより、どれだけ多くの測定を行っても、7000 L(7立米)のボンベにおいて1台のGCにつき約1.5年間の運用が可能となります(計算値)。このようにHeSaverモードを使用することで、約90%のヘリウムを節約できることを解説したアプリケーションノートを入手いただけるサイトをこの記事の最後にご紹介していますのでぜひご覧ください。
代替ガスに水素キャリアガスを用いた測定例(H2Saferモード)
水素はヘリウムに比べて安価で入手が容易なため、代替ガスの候補に挙がることがあります。しかし、水素は可燃性ガスであるため、熱分解装置の高温雰囲気下での運用には徹底したリスク管理が必要です。
HeSaver-H2SaferのH2Saferモードは、窒素を加圧ガスとして使用し、少量の水素をキャリアガスとして使用する技術です。水素の使用量が少ないため、リークによる爆発のリスクを低減します。また、熱分解炉の雰囲気は窒素になるため、安全に測定を行うことができます。H2Saferモードを使用した熱分解法と加熱脱着法の測定例を紹介するテクニカルノートもありますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
まとめ
熱分解GCでのヘリウムキャリアガス節約方法について、He節約技術とH2代替ガス分析例を紹介しました。本技術によって、ヘリウムの高騰や供給遅延に悩むことなく、安全に熱分解GC測定が行えます。
- ヘリウムガス消費量の劇的な削減例(フタル酸エステル分析)
- 水素キャリアガスでの安全な熱分解GC測定例
各アプリケーションノート・テクニカルノートは下記より入手いただけます。また、HeSaver-H2Saferの購入およびアプリケーション相談は弊社担当営業までお願いいたします。
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研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。