サイトカインはSARS-CoV-2に対する感受性の指標であるかもしれない

▼こんな方におすすめです!
・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を研究したい
・ウイルス感染のメカニズムを知りたい
・次世代シーケンスによるウイルス研究に興味がある

SARS-CoV-2感染による有害事象とインターフェロンの関係

SARS-CoV-2感染による有害事象は、実際のウイルス自体ではなく、自分の体からの過剰な免疫反応が原因である可能性があります。研究によると、免疫系からの異常な反応が原因で重度の感染症が発症し、その結果として下気道感染症やその他の考えられる副作用などの合併症に対する感受性が高くなることが示唆されます。免疫系がウイルス感染にどのように反応するかと、そこに関与する分子メカニズムを理解することは病因研究にとって重要であり、将来の人類の健康の改善に役立つ取り組みへの洞察を与えてくれるかもしれません。

最近、BroggiらはSARS-CoV-2陽性サンプルのレトロスペクティブ分析を実施し、Ⅲ型インターフェロンのレベルの上昇に注目しました。Ⅲ型インターフェロンはサイトカインの一種であり、隣接する細胞の防御力を高めるためのウイルス免疫応答として、細胞から放出されるシグナル伝達タンパク質です。残念ながら、研究者はこれらの分子と、その活動が肺のウイルス感染(SARS-CoV-2のようなウイルス性因子によって引き起こされる感染症を含む)にどのように影響するかについてほとんど知りません。
これを明らかにするために、研究者はマウスモデルと Ion AmpliSeq™ transcriptome mouse gene expression kit によるターゲットシーケンスを使用して、インターフェロンによって誘発される分子メカニズムとその免疫病理への影響を明らかにしました。少ないサンプル量での実験が可能なこのシンプルなアッセイを用いた遺伝子発現解析により、インターフェロンラムダ(INF-λ)が上皮細胞増殖を阻害することで肺組織の修復を妨げる可能性があることが示されました。彼らの研究では、野生型マウスはINF-λ誘導後に細菌の重複感染に対してより感受性が高くなりました。まだ多くのことを学ぶ必要がありますが、これらの結果はサイトカインの存在がSARS-CoV-2に対する感受性の指標であり、感染の重症度に影響を与える可能性があることを示しています。

Read the paper: Broggi et al. Type III interferons disrupt the lung epithelial barrier upon viral recognition. bioRxiv 2020.05.05.077867

次世代シーケンシング(NGS)による網羅的な遺伝子発現解析

次世代シーケンシング(NGS)は、数十から数千万のシーケンスを同時に実行することのできるハイスループットな解析手法です。当社のターゲットシーケンス技術であるIon Ampliseq™テクノロジーと組み合わせることにより、注目する遺伝子の発現を少ないサンプル量から効率的に解析することも可能です。

参考情報

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