イオン種成分の分析:滴定法や吸光光度法に代わる分析手法

イオンクロマトグラフィーに移行するメリット

はじめに

イオンクロマトグラフィー(IC)は液体クロマトグラフィー(HPLC)の一種で、水溶液中のイオン種成分の分離、検出に特化した分析手法です。ICは日本産業規格(JIS)においてイオン種成分の分析方法として工場排水試験方法(jisk 0102)や排ガス分析/排ガス測定方法、窒素酸化物分析方法など多くの規格で採用されています。

今回は、イオン種成分の分析において、IC以外の分析方法を使用したデメリットとICを使用したメリットについて紹介します。

イオンクロマトグラフィーが分析方法として規定されている規格の一例

JISB 8224 ボイラの給水及びボイラ水-試験方法
JISK 0102 工場排水試験方法
JISK 0099 排ガス中のアンモニア分析方法
JISK 0104 排ガス中の窒素酸化物分析方法

分析項目となっているイオン種成分と分析方法の一例

  • 塩化物イオン:IC、チオシアン酸水銀(II)吸光光度法、硝酸水銀(II)滴定法、硝酸銀滴定法、塩化銀比濁法など
  • 硫酸イオン:IC、クロム酸バリウム吸光光度法、重量法、硫酸バリウム比濁法など
  • アンモニア:IC、インドフェノール青吸光光度法、中和滴定法など

滴定法や吸光光度法のデメリット

上記のIC以外の測定法では、健康への危険性や環境負荷の高い試薬を使用する場合があります。たとえば、滴定法は実験者が変わると結果の再現性が得られにくいデメリットがあります。また、吸光光度法では妨害成分の除去などの前処理が必須となり、実験操作が煩雑なものが多いです。

イオンクロマトグラフィーのメリット

  • 溶媒フリーで必要な試薬も希薄濃度の酸、アルカリ溶液のため、比較的安全性が高い
  • 夾雑成分の少ない試料は希釈やろ過といった簡単な前処理で分析可能
  • 測定からデータ解析までを全自動で行うことができ、異なる実験者であっても再現性良くデータを得られる
  • イオン種成分の一斉分析が可能。それぞれのイオン種成分ごとに測定を行っている場合には作業時間の効率化、試薬コストの削減が可能
  • 一斉分析可能なイオンの例

陰イオン分析:フッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなど
陽イオン分析:ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど

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