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はじめに
ウェスタンブロッティングで目的のバンドを検出するためには、メンブレン・抗原・ブロッキングバッファー・一次抗体および二次抗体・基質といった種々のマテリアルについて条件検討が必要ですが、実験系によっては、これらのコンポーネント間の非特異的な相互作用により、過剰なバックグラウンドが生じることがあります。今回は、化学発光HRP基質を用いたウェスタンブロッティングでそのようなバックグラウンドが生じてしまったときに、ドットブロットによって原因を調べる方法をご紹介します。
必要なもの
- ニトロセルロース膜、あるいは親水化処理を行ったPVDF膜
- 抗原を含むサンプル
- 一次抗体、HRP標識二次抗体
- ブロッキングバッファー
- 洗浄バッファー
- 化学発光HRP基質
- 現像用フィルムあるいはCCDカメラ
手順
未使用のメンブレンを4枚に切り分け、各ストリップをそれぞれ以下の4つの条件で処理してください。
A. ストリップ 1(メンブレンあるいは化学発光基質に問題がないか確認する条件)
ストリップをそのまま化学発光基質で処理し、フィルムに露光します。シグナルが検出される場合、メンブレンにペルオキシダーゼのコンタミネーションが起きている可能性があるので、メンブレンを新しいものに替えてください。シグナルの出ないことが確認された場合でも、Darkroom Test†を行い、基質が問題なく機能しているかを念のためにチェックしてください。
†1-2 mLの基質のworking solutionをチューブにとり、暗室の中でworking solutionにHRP標識二次抗体を添加します。基質に問題がなければ、添加の直後にsolutionが青く光り、数分の間発光が持続します。
B. ストリップ 2(ブロッキングバッファーに問題がないか確認する条件)
ブロッキングバッファーでストリップのブロッキングを行います。洗浄バッファーで5分間×6回洗浄し、化学発光基質で検出を行います。シグナルが検出される場合、ブロッキングバッファーに内在性のペルオキシダーゼ活性が含まれている可能性があります。別のブロッキングバッファーに替えるか、ブロッキング後にPeroxidase suppressorを使用してください。
C. ストリップ 3(一次抗体に問題がないか確認する条件)
2-5 μLの一次抗体を、HRPの基質に対する使用濃度として適正な範囲内で、何通りかの希釈率でストリップに滴下します。ストリップをブロッキングして洗浄バッファーで5分間×6回洗浄し、化学発光基質で検出を行います。シグナルが検出される場合、一次抗体に内在性のペルオキシダーゼ活性が含まれている可能性があります。別の一次抗体に替えるか、一次抗体のインキュベーション後にPeroxidase suppressorを使用してください。
D. ストリップ 4(二次抗体のブロッキングバッファーへの非特異的な反応がないか確認する条件)
ストリップをブロッキングして洗浄バッファーで5分間×6回洗浄し、元の実験と同じ希釈率・バッファー条件の二次抗体希釈液中でストリップをインキュベートし、化学発光基質で検出を行います。シグナルが検出される場合、二次抗体がブロッキング剤に非特異的に反応している、あるいは二次抗体の使用濃度が高いと考えられます。他のブロッキングバッファーを使用するか、二次抗体の濃度を検討してください。
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