iCAP PRO ICP-OESを使用した有機溶媒直接導入例
有機化合物や有機溶媒中の無機元素分析を行うための従来型の一般的なアプローチは、試料を灰化後、適切な酸で溶解する前処理により水溶液化することでした。しかし、この方法は工程が煩雑な上に、使用する器具や試薬等に起因するコンタミネーションや、元素によっては揮発や吸着による誤差を生じるリスクの回避を検討しなければなりません。
エンジンオイルや食用油など、揮発性の低い有機溶媒に分類される試料中の無機元素分析に関して、ICP-OESによる測定が公定法として採用されています。近年では、有機溶媒を安定的に直接導入するための試料導入系の開発や装置の進化に伴い、揮発性の高い有機溶媒試料であってもICP-OESに直接導入することが可能になりました。
しかし、この有機溶媒の直接導入測定では、有機溶媒の揮発性を目安として装置のパラメーターを最適化する他に、冷却チャンバーや低流量ネブライザーなどの導入系を溶媒種に応じて選択する必要があります。
RFジェネレーターの高いパフォーマンスが可能にする有機溶媒中の微量分析測定
有機溶媒を直接導入した際の検出感度や長時間測定における安定性は、装置のRFジェネレーターの性能に大きく左右されます。新製品Thermo Scientific™ iCAP™ PRO ICP-OESの強靭なRFジェネレーターは、揮発性の高い有機溶媒や粘性の高いマトリックス成分中の微量分析においても、安定した測定結果を得ることができます。
また、有機溶媒試料起因の分子発光によるバックグラウンドの上昇や、すすの生成によるトーチのセンターチューブの目詰まりを軽減することを目的とした、酸素ガスの添加導入用のマスフローポートを備えています。
プラズマTVは、トーチボックス内のプラズマの状況をリアルタイムカメラで観察できる機能であり、有機溶媒種ごとに異なる酸素導入量の最適化や、トーチの交換のタイミングを目視で確認するのに役立ちます。
石英トーチよりも堅牢なオプションのセラミックス製トーチを使用することにより、破損リスクを低減し、消耗品コストを削減するだけでなく、ケイ素のバックグラウンド低減など、ラボのパフォーマンス向上にも寄与します。
このように、iCAP PRO ICP-OESは、有機溶媒中の無機元素分析のアプリケーションに最適な機能と性能を有しています。
iCAP PRO XP ICP-OES を用いた有機溶媒分析について、より詳しい情報をお探しの方は下のリンクから資料をダウンロードいただけます。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。



