リアルタイムPCRの精度維持が難しいわけ|今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第23回

前回に引き続き、リアルタイムPCR装置についてご紹介します。測定精度を保つために、リアルタイムPCR装置にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?その前に、まず、正確な定量性を得るのが難しいわけをテクニカルサポート担当者に聞きました。

リアルタイムPCRでは、測定のためにさまざまな蛍光色素を活用していますが、図1のように、いずれも500〜700nmという狭い波長領域に集まっています。そのため、蛍光色素のクロストークの影響は避けがたく、フィルターの設定だけで物理的に分離することは難しいのです。例えば、VIC® Dye のシグナルと思っているものは、実はFAM™ Dye とTAMRA™ Dye を相当量含んだ値ということになります。

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図 リアルタイムPCRに利用されている蛍光色素の蛍光スペクトル(User Bulletin #5より抜粋)

なお、以前はVIC® DyeではなくJOE™ Dye という蛍光色素を使っていましたが、マルチプレックス反応やSNPタイピングといった多色検出アプリケーションを開発するために、よりシグナル強度が強くスペクトル分解能が改善したVIC® Dyeを導入しました。それによって、精度の高いマルチプレックスリアルタイムPCRや正確なSNPジェノタイピングができるようになったというわけですね。

さて、測定する蛍光色素の蛍光スペクトルが近い上、物理的にも分離できないとなると、どうしたらよいのでしょうか?そこで登場したのが、蛍光シグナルの構成要素を分離する解析アルゴリズムです。次回詳しくお伝えします!

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