Thermo Fisher Scientific

  • メニュー
    • 分子生物学実験関連
    • 分析・測定関連
    • 細胞培養・イメージング
    • 研究者インタビュー
    • その他
  • このブログについて
  • お問い合わせ
Accelerating ScienceLearning at the Bench / 分子生物学実験関連 / 異なるPCR産物を識別できるリアルタイムPCRの解離曲線解析とは?

異なるPCR産物を識別できるリアルタイムPCRの解離曲線解析とは?

Written by LATB Staff | Published: 03.09.2017

解離曲線解析は、プライマーダイマー副産物等が存在するかどうかPCR産物を調べ、反応特異性を確認するための、簡便で明瞭な方法です。核酸のTmは、種々の要因のうち、鎖の長さ、GC含量および塩基のミスマッチにより影響されるため、多くの場合融解特性により、異なるPCR産物を識別することが可能です。今回は、リアルタイムPCRを利用した解離曲線解析の概要と解析方法についてご紹介します。

▼もくじ [非表示]

  • 解離曲線解析および検出システム
  • 解離曲線解析の重要性
  • 解離曲線解析とプライマーダイマー
  • 解離曲線解析の方法
  • 【無料公開中】リアルタイムPCRハンドブック
  • 【無料公開中】リアルタイムPCRトラブルシューティング

解離曲線解析および検出システム

解離曲線解析は、蛍光物質がアンプリコンに結合した状態を保つリアルタイムPCR検出系でのみ行うことができます。Applied Biosystems™ SYBR™ Green I色素またはApplied Biosystems™ SYBR™ GreenER™ 色素を使用した増幅した反応系では温度解離曲線解析を行うことができます。TaqMan プローブのように2 重標識されたプローブは、PCR中に蛍光物質を反応溶液中に放出することにより、シグナルに非可逆的な変化を生じるため、解離曲線解析を行うことはできません。しかし、これらの方法は特異性の高いので解離曲線解析ができないことは大きな問題とはなりません。

SYBR Green I 色素およびSYBR GreenER色素の蛍光レベルはいずれも二本鎖DNAに結合すると著しく上昇します。二本鎖DNAの解離をこの蛍光レベルでモニターすると、DNAが一本鎖になり色素がDNAから遊離すると同時に蛍光の低下が検出されます。

解離曲線解析の重要性

リアルタイムPCRの特異性は使用するプライマーおよび反応条件によって決まります。非常に良好にデザインされたプライマーでもプライマーダイマーを形成したり非特異的産物を増幅する可能性が常に存在します(図1)。また、リアルタイムPCRを行う際には、RNA試料がゲノムDNAを含み、そのDNAが増幅される可能性も存在します。リアルタイムPCRの特異性は融解曲線解析を用いて確認することが可能です。融解曲線解析を行うことができない場合には、反応間のCt値の差が妥当なものであり、非特異的産物の存在に起因するものではないことを確認するための追加検証が必要です。

qpcr-basic39-fig1

図1 解離曲線解析により、解離曲線において増幅産物のピークの左側に見られる追加ピークとして示される、プライマーダイマーなどの非特異的産物の存在を検出することが可能です。

解離曲線解析とプライマーダイマー

プライマーダイマーは2本のPCRプライマー(同一プライマー同士及び異なるプライマー同士のいずれも)が、ターゲットの代わりにお互いに結合しあうことにより形成されます。プライマーダイマーのTm 値はアンプリコンのTm 値よりも低いため、解離曲線解析によりプライマーダイマーの存在を確認できます。テンプレートを含むサンプル中におけるプライマーダイマーの存在は、PCR効率を低下させ解析が不明瞭となるため、好ましくありません。プライマーダイマーは、プライマーが十分に存在しテンプレートが存在しない状態であるテンプレートなしの条件(NTC)で最も頻繁に形成されます。NTCにおけるプライマーダイマーの存在は、テンプレートを含む反応中にもプライマーダイマーが存在するということを意味します。NTCにプライマーダイマーが認められた場合には、プライマーのデザインを見直すことが必要です。NTCの融解曲線解析により、プライマーダイマーと試薬組成に含まれるコンタミしている核酸による疑似増幅を識別することが可能です。

解離曲線解析の方法

解離曲線解析を行うために、サーマルサイクリングプロトコルの直後に融解プロファイルを組むようにリアルタイムPCR装置をプログラムすることが可能です。増幅が完了した後に、増幅産物を加熱して完全な解離曲線データを回収します(図2)。現在ほとんどのリアルタイムPCR装置において、解析パッケージにこの機能が組み込まれています。

qpcr-basic39-fig2

図2 Applied Biosystems 装置上での解離曲線サーマルプロファイル設定の例を示しています(DNA変性のために94°Cまで急速に加熱し、続いて60°Cまで冷却しました)。

 

【無料公開中】リアルタイムPCRハンドブック

このハンドブックでは、リアルタイムPCRの理論や実験デザインの設計など、リアルタイムPCRの基礎知識が掲載されています。リアルタイムPCRを始めたばかりの方やこれから実験を考えている方にうってつけのハンドブックです。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。

ダウンロードする

【無料公開中】リアルタイムPCRトラブルシューティング

異常なS字状の増幅曲線、NTCでの増幅検出、増幅が見られないなど、リアルタイムPCRの実験中に困った際の手助けになる情報を紹介しています。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。

ダウンロードする

 

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。

Share this article
FacebookTwitterLinkedinMail

記事へのご意見・ご感想お待ちしています

  • サーモフィッシャーサイエンティフィックジャパングループ各社は取得した個人情報を弊社の個人情報保護方針に従い利用し、安全かつ適切に管理します。取得した個人情報は、グループ各社が実施するセミナーに関するご連絡、および製品/サービス情報等のご案内のために利用させていただき、その他の目的では利用しません。詳細は個人情報の取扱いについてをご確認ください。
  • 送信の際には、このページに記載のすべての注意事項に同意いただいたものとみなされます。

がん研究におけるデジタルPCRの活用事例 ~RNA編集~

デジタルPCRは、PCR反応液を数万の小さなPCR反... by LatB Staff / 06.02.2025

Read More

意外と知らない!? TaqManプローブのクエンチャーとは

リアルタイムPCRで使用されるTaqMan™プローブ... by LatB Staff / 03.19.2025

Read More

【やってみた】熱変性の温度を下げた影響をリアルタイムPCRで確かめてみた

PCR反応における熱変性(denature)は、アニー�... by LatB Staff / 02.05.2025

Read More

公共用水の安全を守る:デジタルPCRによる寄生虫モニタリング

Absolute Gene-iusは、先進的な研究者にインタビ�... by LatB Staff / 11.12.2024

Read More
あなたはTaqMan?それともSYBR Green?リアルタイムPCRにおける蛍光検出システムの原理
同一反応で2種類以上の遺伝子を検出する、マルチプレックスリアルタイムPCRの利点とは?

個人情報保護方針ウェブサイト利用条件 拠点一覧サイトマップTrademark Information

© 2025 Thermo Fisher Scientific. 無断複写・転載を禁じます.

Talk to us

通知

  • Tweet
  • Facebook
  • Tweet
  • Facebook