PCRの増幅効率が悪くなる3つの要因|今こそ本気で徹底理解! リアルタイムPCR講座 第8回

せっかく用意したサンプルも、増幅効率が悪いと実験が進みません。その要因はプライマーなのか、サンプルそのものにあるのか? 今回は、リアルタイムPCRの増幅効率を悪化させてしまう要因が何かを考えます。

要因その1:増幅産物が長過ぎる!

増幅産物の長さが、長ければ長いほど、増幅効率は悪化する傾向にあります。理想的には、150 bp以内に収まるよう、プライマー設計できると良いでしょう(第4回の図の検索例では80 bp未満です)。
リアルタイムPCRのプライマー設計をフリーのソフトウェアに任せるか? 論文の配列をにらんで自分の頭で考えるか? どちらにしても、結果が全てのプライマー設計。だからこそより簡単に、効率よく、確実な結果を得られるプライマー設計が必要なのですが…。

要因その2:増幅産物が短すぎる!

増幅産物の長さが短すぎても問題です。古いサンプルやパラフィン包埋サンプル等は、RNAの断片化が進んでいる可能性があるので、注意してください。逆転写産物からのPCRを行うときにも、なるべく短い増幅産物を検出できるよう、プライマーの設計をしなくてはなりません。

要因その3:テンプレートの質が悪い!

不純物の多いDNAやRNAには、PCR反応を阻害する物質が入っている可能性があります。このような阻害物質が要因で、増幅効率の悪化が生じることもあります。

現実的には、蛍光色素SYBR Greenなど通常のPCR用プライマーで増幅できるPCR産物の長さは、数百から1 kbくらいです。弊社のガイドラインでは、増幅産物の長さは最長でも400 bp以内になるような条件で実験していただくことを、推奨しております。
「増幅効率が悪くなる要因は?」は、アプリケーションサポートでもよく頂戴する質問です。調べてみますと、テンプレートの品質が要因であったケースも少なくありません。検量線の傾きがいつもと異なる場合は、用いたテンプレートを疑ってみることも大事です。GCの割合や、プライマーのTm値が要因となっている場合もあります。

検量線の画面からは、このように様々な実験のヒントが得られるのですね。

次回は、PCR増幅産物の検出について考えます。

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