せっかく用意したサンプルも、増幅効率が悪いと実験が進みません。その要因はプライマーなのか、サンプルそのものにあるのか? 今回は、リアルタイムPCRの増幅効率を悪化させてしまう要因が何かを考えます。
▼もくじ [非表示]
要因その1:増幅産物が長過ぎる!
増幅産物の長さが、長ければ長いほど、増幅効率は悪化する傾向にあります。理想的には、150 bp以内に収まるよう、プライマー設計できると良いでしょう(第4回の図の検索例では80 bp未満です)。
リアルタイムPCRのプライマー設計をフリーのソフトウェアに任せるか? 論文の配列をにらんで自分の頭で考えるか? どちらにしても、結果が全てのプライマー設計。だからこそより簡単に、効率よく、確実な結果を得られるプライマー設計が必要なのですが…。
要因その2:増幅産物が短すぎる!
増幅産物の長さが短すぎても問題です。古いサンプルやパラフィン包埋サンプル等は、RNAの断片化が進んでいる可能性があるので、注意してください。逆転写産物からのPCRを行うときにも、なるべく短い増幅産物を検出できるよう、プライマーの設計をしなくてはなりません。
要因その3:テンプレートの質が悪い!
不純物の多いDNAやRNAには、PCR反応を阻害する物質が入っている可能性があります。このような阻害物質が要因で、増幅効率の悪化が生じることもあります。
現実的には、蛍光色素SYBR Greenなど通常のPCR用プライマーで増幅できるPCR産物の長さは、数百から1 kbくらいです。弊社のガイドラインでは、増幅産物の長さは最長でも400 bp以内になるような条件で実験していただくことを、推奨しております。
「増幅効率が悪くなる要因は?」は、アプリケーションサポートでもよく頂戴する質問です。調べてみますと、テンプレートの品質が要因であったケースも少なくありません。検量線の傾きがいつもと異なる場合は、用いたテンプレートを疑ってみることも大事です。GCの割合や、プライマーのTm値が要因となっている場合もあります。
検量線の画面からは、このように様々な実験のヒントが得られるのですね。
次回は、PCR増幅産物の検出について考えます。
リアルタイムPCRハンドブック 無料ダウンロード
このハンドブックでは、リアルタイムPCRの理論や実験デザインの設計など、リアルタイムPCRの基礎知識が掲載されています。リアルタイムPCRを始めたばかりの方やこれから実験を考えている方にうってつけのハンドブックです。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
ダウンロードする
リアルタイムPCRトラブルシューティング 無料ダウンロード
異常なS字状の増幅曲線、NTCでの増幅検出、増幅が見られないなど、リアルタイムPCRの実験中に困った際の手助けになる情報を紹介しています。PDFファイルのダウンロードをご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。