シーケンス解析のトラブルシュート:まとめ

シーケンス解析の結果、「塩基配列が解析されなかった」、「解析された塩基配列が想定より短かった」、などのトラブルのご経験はありますか?このような場合、得られた波形の状態から原因を考察し、対処します。本シリーズでは、発生頻度が高いトラブルについて、症状ごとに、予測される原因と対処法をご紹介します。

シーケンシング解析のトラブル 症状例

塩基配列を解読できない場合は、まず、得られた波形を確認します。Applied Biosystems™ Sequencing Analysisソフトウエアでの波形の確認手順はこちらをご参照ください。図1は良好な波形の例です。Raw Dataではシャープなピークが適切な強度で検出され、Electropherogramでは一カ所に一つのピークが等間隔にみられます。

図1. 良好な波形の例 上段:Raw Data、下段:Electropherogram

図1. 良好な波形の例
上段:Raw Data、下段:Electropherogram



シーケンス解析がうまくいかない場合の症状例と波形の特徴を下表に示します。各リンク先で、症状の原因と対処法をご紹介しています。もし、皆さんが抱えているトラブルに合致するものがありましたら、ご参考になさってください。

症状 波形の特徴
データのシグナルが無いまたは低い Raw Dataで、シーケンス反応物のピークが検出されていない(a)、またはピーク強度が低く(b)、ベースラインが拡大された縦軸表示になっている。

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(a)(a)シーケンス反応物のピークが検出されておらずベースラインのみ

(b)
シーケンス全体で低シグナル

分離能の低下(ブロードピークの発生) ピーク幅が広く、裾野が広がったピーク形状(ブロードピーク)になっている。

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ピーク幅が広く、裾野が広がったピーク形状(ブロードピーク)

シグナルの開始が遅れる
(解読できた塩基長が短い)
Raw Dataのシグナルの開始が遅い(波形の途中でデータの取り込みが終了するため、解析できた塩基長が短い)。

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Raw Dataのシグナルの開始が遅い

ノイズピークと二重ピーク 幅の狭いスパイクノイズ(c)や、特定の領域に赤と青の大きなノイズピーク(d)が検出される。

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(c)
(c)幅の狭いスパイクノイズ

(d)

(d)特定の領域に赤と青の大きなノイズピーク

Electropherogramの波形が二重になっている。

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Electropherogramの波形が二重になっている

シグナルのドロップと
トップヘビーデータ
Raw Dataの波形の途中でシグナルがドロップしている。

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想定より早いシグナルのドロップ

Raw Dataの波形の最初から後半に向かい、シグナル強度が低下している。

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シグナルが初期のピークのほうが高く後半に向かい強度が低下


まとめ

本シリーズでは、お問い合わせの多いトラブルについて解説しています。皆さんの実験で、上記に該当しないトラブルが発生し、対処方法がわからないなど、お困りの際には、テクニカルサポート(jptech@thermofisher.com)へご相談ください。

キャピラリー電気泳動によるシーケンス解析について、より詳しく知りたい方は、こちらからサンガーシーケンスの基本原則を学べる資料をダウンロードしていただけます。シーケンシングラーニングセンターから、シーケンス解析に関する各種技術情報にアクセスいただくこともできます。また、シーケンス解析の基礎セミナーやハンズオントレーニングもございますので、ぜひご活用ください。

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