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Accelerating ScienceLearning at the Bench / 細胞培養・イメージング / これを読めばわかる! 微生物培養専用のシングルユースファーメンターを使用したワークフローと培養事例のご紹介(後編)

これを読めばわかる! 微生物培養専用のシングルユースファーメンターを使用したワークフローと培養事例のご紹介(後編)

Written by LatB Staff | Published: 04.25.2023

前編では、微生物培養専用に開発されたThermo Scientific™ HyPerforma™ Single-Use Fermentorの特長とシングルユース製品を使用したワークフローをご紹介しました。微生物培養専用のファーメンターには、大腸菌や酵母といった微生物が動物細胞と比較して増殖速度が非常に早く酸素要求量も大きいため、微生物培養の要求に応える攪拌効率や高流量排気システムを有することが求められます。HyPerforma S.U.F.は、3段のラシュトン型インペラとバッフル版を採用しており、一般的なステンレス製リアクターと同等のKlaを得られるように最適化されています。後編では実際にファーメンターを使用した培養事例を2つご紹介します。 

▼こんな方におすすめです!

  • 動物細胞を培養するバイオリアクターを改良したものではなく微生物培養に適した性能を有するファーメンターを探している
  • 微生物培養の要求に応える撹拌効率や高流量排気システムを有するファーメンターを探している
  • シングルユースワークフローについて知りたい
  • ファーメンターを使用した培養事例を知りたい

▼もくじ

  • 培養事例①E. coli 濃度:従来ステンレス発酵槽で行われていた大腸菌培養プロセスをシングルユースファーメンター(S.U.F)へ技術移転した事例
  • 培養事例②E. coli:プラスミドDNA生産
  • まとめ
    • 【無料ダウンロード】シングルユース関連製品情報

培養事例①E. coli 濃度:従来ステンレス発酵槽で行われていた大腸菌培養プロセスをシングルユースファーメンター(S.U.F)へ技術移転した事例

培養事例①E. coli 濃度:従来ステンレス発酵槽で行われていた大腸菌培養プロセスをシングルユースファーメンターへ技術移転した事例

培養事例①E. coli 濃度:
従来ステンレス発酵槽で行われていた大腸菌培養プロセスをシングルユースファーメンターへ技術移転した事例

通常、発酵槽として使用される他のシングルユースバイオリアクターでは、生物やプラスミドの品質に影響を与えるリスクを最小限に抑えるために、培養手順を大幅に変更する必要がありますが、先ほどご紹介した通りHyPerforma S.U.Fは細胞培養用のバイオリアクターを改造するのではなく、微生物培養に特有の要件を満たすように設計されています。そのため、ステンレス製の発酵槽からHyPerforma S.U.Fへの切り替えはP/VもしくはkLaを合わせるなどといった方法で比較的容易に行うことができます。
手順を簡単に説明します。まず、種培養液をS.U.Fに播種し、ワーキングボリュームの1/2、つまり30 Lの場合は15 L、300 Lでは150 Lにて培養を開始しました。培養開始から5.5時間後から培地のフィードを開始し、最終的に100%のワーキングボリューム、つまり30 LのSUFでは30 L、300 LのS.U.F.では300 Lにて、トータルで45時間培養を行いました。培養開始25.5時間後にIPTGを投与し、タンパク質発現を促進しています。30 LのS.U.Fと5 L, 100 Lのステンレス発酵槽での培養結果と、300 LのS.U.Fと1 Lのベンチトップ型ファーメンター,100 Lのステンレス発酵槽での培養結果をそれぞれ比較しています。

培養事例①E. coli 濃度の結果

培養事例①E. coli 濃度の結果

上図が培養の結果を示しています。紺色で示しているのが波長600nmの吸光度OD600、水色で示しているのが乾燥菌体重量(DCW)、緑色で示しているのが目的タンパク質の収量で、左のグラフにおいて左から5 Lステンレス発酵槽、100 Lステンレス発酵槽、30 Lシングルユースファーメンターの順となっています。右のグラフでは、左から1 Lベンチトップ型ファーメンター、100 Lステンレス発酵槽、300 Lシングルユースファーメンターの順で示ししています。30 L、300 L S.U.Fとベンチトップ型ファーメンター、ステンレス発酵槽で培養した場合のいずれも顕著な差はありませんでした。

培養事例②E. coli:プラスミドDNA生産

培養事例②E. coli:大腸菌を用いたプラスミドDNA生産

培養事例②E. coli:大腸菌を用いたプラスミドDNA生産

二つ目の事例として、大腸菌を用いたプラスミドDNA生産を紹介します。近年、遺伝子治療への需要が急速に高まっていることから、プラスミドDNAの製造も重要になってきています。こちらの事例では、ステンレス発酵槽から30 L S.U.Fへの技術移管を目標に、S.U.FにてプラスミドDNA生産を行った際の手順とその結果をご紹介します。
今回の培養も、ステンレス発酵槽の培養のプロセスを参考にしており、培地にはグリセロールベースの合成培地を使用し、700 nmの吸光度、OD 700が10に達した段階からグリセロールを総量の1/3量でフィードしていきます。溶存酸素濃度は30%を維持できるよう、撹拌速度およびAirの吹き込み量についてはカスケード制御を組んでいます。培養初期は温度を37℃とし、OD 700が20に達した時点で32℃に下げ、さらにヒートショックを与えるためOD 700が60に達した段階で43℃まで上げるように設定しています。本スライドの右上に、溶存酸素濃度、温度、Airの継時変化を示しています。右下にプラスミドDNAの収量が示されていますが、これによるとヒートショックを与えることで収量が増加していることがわかります。

まとめ

前編では、微生物培養には、動物細胞を培養するバイオリアクターを改良したものではなく、微生物培養専用のファーメンターが必要ということをお伝えしました。動物細胞の場合、一般的に数日かけて目的の細胞密度に達し、急激に酸素を必要とすることはないことから、単位体積当たりの撹拌動力P/Vや撹拌速度を比較的小さくし、細胞へのシェアストレスを抑えつつ、培養液中を均一な状態に保つことが要求されますが、微生物細胞の場合は急激に増殖するため、酸素の要求量も大きくなり、さらに動物細胞に比べてシェアストレスに強いため、効率よく酸素を供給するために高い攪拌速度で培養することが可能です。前編と後編で紹介させていただきましたHyPerfrma S.U.Fは微生物培養に特化して開発しており、ステンレス発酵槽での培養条件を大きく変更することなく使用することができ、迅速な技術移転を可能にします。

当社のS.U.Fにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問合せいただけますと幸いです。

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