一般的にリアルタイムPCRにおいてSYBR Green法を用い、融解曲線(Melt Curve)を作成することで目的領域の増幅確認を実施します。しかし、SYBR Green法はTaqMan法と比べ特異性に不安があるため、非特異的な増幅を起こしてないかを増幅物で直接確認したい!ということはございませんか。
そこで今回は、SYBR Green法を用いた増幅産物の塩基配列を検証する方法について、ご紹介します。
▼こんな方におすすめです!
・融解曲線のみでSNPタイピングをされている方
・はじめてSYBR Green法を用いられる方
・高解像度融解曲線(HRM)解析をされている方
シーケンス解析に向くSYBR Green法をもちいたPCR産物
SYBR Green法による実験では、融解曲線において増幅産物のピークが十分に独立していることを確認してください。増幅産物ピークが十分に独立していない場合は、非特異的産物が増幅している可能性が考えられます。
非特異的産物の存在は良好なシーケンス結果が得られない可能性があります。
SYBR Green法による増幅産物の精製
SYBR Green法をもちいたPCR反応液には、プライマーやdNTPなど余剰成分が含まれています。
これらの成分は、シーケンス反応に影響するため、除去する必要がありますので
下記のように状況に応じた精製方法を選択します。
・プライマーダイマーが存在しない融解曲線: Applied Biosystems™ ExoSAP-IT™ シリーズキット
・プライマーダイマーが存在する融解曲線: Invitrogen™ PureLink™ PCR 精製キット
ただし、この時点ではまだSYBR Greenは残存しています。
増幅産物のシーケンス反応と精製
SYBR Green法を用いたPCRの産物の増幅長は比較的短いため、十分な増幅量が得られていると推測されます。一方でSYBR Greenが残存しています。
これらをふまえ下記の条件を参考にしてシーケンス反応を実施します。
・鋳型となるSYBR Green法をもちいたPCR産物は10 ng以下が適しています。
・シーケンス試薬はApplied Biosystems™ BigDye™ Terminator v1.1 Cycle Sequencingキットが向いています。
・試薬調製は標準もしくは2倍希釈プロトコルを推奨します。
・シーケンス反応プログラムは、Fastプログラムも利用可能です。
・シーケンス反応後の精製はApplied Biosystems™ BigDye XTerminator™ 精製キットを用います。
まとめ
・プライマーダイマーが存在しないSYBR Green法をもちいたPCR産物はApplied Biosystems™ ExoSAP-IT™ シリーズキットを用いて精製します。
・シーケンス反応プログラムは、Fastプログラムが利用可能です。
・シーケンス反応後の精製はApplied Biosystems™ BigDye XTerminator™ 精製キットを用います。
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