二軸押出機の基礎シリーズでは装置の仕組みや特長、パラメーター設定やその意味、後工程オプションを組み合わせた押出成形について解説していきます。
▼こんな方におすすめです!
- なんとなく使っているけれど、もっと二軸押出機のことを理解したい
- 装置構成やパラメーターを変更したいけど、どうしたらよいか不安
- 二軸押出機をもっと使いこなしたい、もっと活用したい
今回は3Dプリンティング用フィラメントの混錬押出と巻取回収について紹介します。
はじめに
3Dプリンティングプロセスでは、コンクリート、生物の細胞、金属など、さまざまな材料への応用が進んできていますが、ポリマーは個人用から産業用まで最も一般的に利用されています。
溶融積層3Dプリンターに「インク」として利用されるポリマーフィラメントには、高い精度での一定の直径が求められます。
また、ポリマーに特定の機能、品質を持たせるために、さまざまな添加物を高い分散性で均質に配合することも必要とされます。
ベースとなるポリマーからフィラメントを作るために、一軸または二軸押出機が使用されます。
一軸押出機と二軸押出機の違い
一軸押出機は押出成型の安定性に優れているものの、複数の材料を均質に混錬するための能力が極めて低いため、高い分散性を必要とする場合は、別の手法(装置)でコンパウンディングを行う必要があります。
一方、二軸押出機は優れた混錬能力を持つため、材料のコンパウンディングと押出成型を同時に行えます。
しかし、一般的な二軸混錬プロセスでは、サンプルの押し出しにわずかな脈動が生じてしまい、フィラメント直径を一定に保つことが困難になります。
上の図は一軸押出機と二軸押出機で作成したフィラメント径を連続的にモニタリングした結果です。一軸の方がより誤差の小さい、安定した径でフィラメントを作製できていることが分かります。
フィラメント径の安定性改善
3Dプリンティングにおいてフィラメント直径の一貫性は、プリントされた製品の形状の品質と安定性を決定付ける不可欠な要素です。従って、安定した径で押し出しをすることが、理想的なフィラメント製造を実現するために必要です。
この課題を解決するには、押出混錬機の末端とフィラメント形成ノズルの間にギアポンプを配置することが極めて有効です。
上の図は一軸押出機とギアポンプを追加した二軸押出機との比較です。ギアポンプを追加することにより、フィラメント径の安定性が大きく改善したことが分かります。
まとめ
二軸押出機にギアポンプを組み合わせることで、高品質な3Dプリンティング用フィラメントをコンパウンディングからフィラメント巻き取りまで、一貫して行うシステムを構築できます。
このシステムは、新規材料の研究開発や製造において生産性を大きく向上させられるだけでなく、熱履歴を改善するというメリットももたらします。
上の図はポリマーコンパウンディング・フィラメント作製システムの装置構成例です。
上流となる右側から、フィーダー、二軸押出機、ギアポンプ、ウオーターバス、フィラメント径モニター、スプーラーで構成されています。
全ての装置は小型で、卓上に配置できるため、ラボスペースを有効に活用できます。特に新規材料の研究開発において、必要な時に必要な量のサンプルを迅速に作製できます。
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