Super-resolution microscopy (SRM)超解像顕微鏡(SRM)とは、従来の光学顕微鏡が持つ回折限界を超えた分解能を発揮する光学的手法全てを指します。神経シナプス、 ゴルジ体、および核膜といった細胞構造の詳細なマッピングを行う際に、回折限界を超える解像度を用い、各コンポーネントの特徴をサブオルガネラ レベルで解明できれば、生物学的な情報をより多く得られます。

従来の顕微鏡では、可視光と周囲媒体間の干渉のため、1つの蛍光物質(直径が数ナノメートル未満)は点像分布関数としてしか解像できず、分解能は水平方向が光波長のおよそ1/2、z軸方向が光波長のおよそ2倍になります。つまり、2つ以上の蛍光物質が数百ナノメートル以内の距離に存在している場合、これらの蛍光物質の像は重なってぼやけてしまい、分解能に制限が生じます。

SRMの技術は、従来は電子顕微鏡でしか得られなかった分解能に近い性能を供し、生物学的なコンテクストにおいてターゲティングおよびマルチプレックス解析が可能であるという長所も併せ持っています。種々のSRM技術およびそれ以前から使われている二光子顕微鏡において最高のパフォーマンスを達成するためには、それぞれに異なる蛍光物質の必要条件が満たされている必要があります(詳細は以下をご覧ください)。

私たちは蛍光テクノロジーのリーディングカンパニーであり、Molecular Probes®の製品はSRMアプリケーション分野の論文で広く使用されています。Molecular Probes®の製品群は複数の色素の組み合わせを可能にし、全てのSRM技術におけるマルチプレックス解析にお選びいただけます。各SRM技術については下記で取り上げています。ご興味のあるSRM技術を選び、リンク先のページをご覧いただくと、アプリケーションに最適な色素を探すことができます。SRM技術は急速に発展している分野であり、製品および文献について定期的にアップデートを行っていますので、このページをこまめにチェックしてください。

確率的光学再構築顕微鏡(Stochastic optical reconstruction microscopy;STORM)

Stochastic optical reconstruction microscopy (STORM)

STORMは最も広く使用されているSRM法であり、光スイッチ可能な蛍光色素を逐次活性化し、時間分解された位置情報から高解像度なイメージを構築します。高品質なマルチカラーイメージを得るためには、直接標識、タンパク質コンジュゲート、または抗体染色を用いた特殊な標識が必要になります。STORMに最適な蛍光色素には、非常に強い蛍光強度および高速な光スイッチサイクルが求められます。また、チオールを含むバッファー中での光退色が最小限でなくてはなりません。適切な色素とバッファーを組み合わせると、最適化されたSTORMシステムでは5 nmの分解能でイメージを構築することができます。多数の公表論文で、Molecular Probes®の色素が様々なターゲティングおよび標識法と組み合わされ、マルチプレックスSTORMイメージの構築に使用されています。

構造化照明顕微鏡(Structured illumination microscopy;SIM)

Structured illumination microscopy (SIM)構造化照明法は空間分解能を向上させるために使用され、パターン状の光でサンプルを照明し、現れたモアレ縞に含まれている、通常の観察範囲外の情報をソフトウェアによって解析します。再構成を行うソフトウェアは、回折限界の約2倍、またはおよそ100 nmの分解能でイメージを解像します。SIMには、他のSRM法に比べて、より厚い切片、3Dイメージング、およびライブセルイメージングにも使用できるというメリットがあります。正確なターゲティングを行うと同時に明るく光安定性の高い色素を使用することで画像の品質が向上します。有機蛍光色素およびQdot®プローブとのマルチプレックス解析に加え、SIMによる生細胞観察には一般的に蛍光タンパク質が使われます。

誘導放出抑制(Stimulated emission depletion;STED)

Stimulated emission depletion (STED)STED顕微鏡は2種類のレーザーパルスを用い、 各焦点スポットで蛍光の位置情報を得ます。第一のパルスは蛍光物質を励起して蛍光状態にするために使用され、第二のパルスは励起焦点スポット周辺の蛍光物質を脱励起するために使用される変形ビームです。サンプル上の焦点スポットをくまなくラスタースキャンして画像を構築するため、広い視野の場には合画像の取得スピードは比較的遅くなります。この手法の大きなメリットは、高解像度でイメージングできる被写界深度(最大で10〜15 µmの深度)が深いことです。

適切な色素を使用すれば、x軸およびy軸方向の分解能は30 nmを達成でき、z軸方向の分解能は従来の共焦点顕微鏡と同等です。STEDで最大のパフォーマンスを達成するためには、装置のシステムで使用される励起および抑制ビームの波長に合った性質を持つ蛍光色素が必要です。非常に多くの論文で、STED顕微鏡と共にMolecular Probes®の色素が用いられています。

二光子励起(Two-photon excitation;TPE)

Two-photon excitation (TPE)TPEは、多光子吸収を利用して生体試料をイメージングする光学的なプロセスであり、本手法は従来の共焦点顕微鏡に比べ光毒性が低くなっています。二光子顕微鏡は赤外励起光を使用して組織の深部まで到達し、より長い波長で励起する場合に比べ散乱が最小限に抑えられています。蛍光色素が励起するごとに二光子の赤外線が吸収され、励起は非常に小さな焦点容積に限られているため、焦点を外れた蛍光の影響が少なくなります。

二光子イメージングは、イオン濃度測定、細胞骨格形成、活性酸素検出、および小胞リサイクルなど膨大な数のライブセルアプリケーションに利用されてきました。公表論文の中でMolecular Probes®の試薬はこれら全てのアプリケーションに使用されており、プローブ選択のガイドラインとなっています。

研究目的にのみ使用できます。 診断にはご使用になれません。